もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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心筋梗塞の搬送例の生存率較差

急性心筋梗塞は、寸時を争う緊急事態です.
症状が発症して、すぐに救急車を要請して
できるだけ早く循環器医師のいる病院に受診する必要があります.

状況によっては、急性心筋梗塞のの最初の症状が
心室細動と呼ばれる危険な不整脈のことがあり
症状の発症とともに
心肺停止状態になることもあり得るのです.

したがって急性心筋梗塞の救命率を上げていくためには
緊急のカテーテル治療が可能な循環器専門病院を
地域で整備していくだけでなく
病院前治療(プレホスピタルケア)を充実させていくことが
重要です.

具体的には、地域の救急隊、救急救命士さんたちの活躍に
かかっているといえます.

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とりわけ心筋梗塞で心肺停止となって救急搬送された症例では
搬送後の1ヶ月生存率に明らかな
地域格差があるそうです.

-------------Nikkansports.com 2007.09.07
心筋梗塞で搬送1カ月後地域生存率に格差
http://www.nikkansports.com/general/
f-gn-tp0-20070907-252770.html

 心筋梗塞(こうそく)などで心肺停止状態になり、
 救急搬送された患者の1カ月後の生存率が、
 都道府県によって約5倍の格差があることが7日、
 総務省消防庁が初めて行った調査で分かった.

 格差の背景には、家族らによる応急手当ての有無、
 心肺蘇生(そせい)に効果がある
 自動体外式除細動器(AED)の配備状況、
 消防と医療機関の連携などがあるとみられ、
 消防庁は今後、詳しく分析した上で、
 全国的な救急医療の水準の向上を図る.

 調査の対象期間は2005年の1年間で、
 交通事故などは心臓以外の外傷によって生存率に差が出るため、
 心臓病の症例に限定して集計した.

 心肺停止状態で搬送されたのは全国で延べ1万6257人で、
 1カ月後の生存率は7・19%(1169人)だった.

 都道府県別では、佐賀の生存率が最も高く、
 搬送した73人のうち10人で13・70%。
 次いで宮崎13・29%、高知12・75%だった.
 一方、最も低かったのは山口で、
 搬送187人のうち1カ月後の生存は5人で2・67%だった.

 消防庁は、心肺停止から10分以内に、
 心臓マッサージやAEDなどの応急手当てをすることで
 患者の生存率は高まるとして、
 一般市民向けの研修などに力を入れていく方針.
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この記事からわかることは
急性心筋梗塞による心肺停止状態の生存率には
地域格差が存在しているということが一つです.

そしてその地域格差は
循環器専門病院、カテーテル治療の施設の整備だけでなく
プレホスピタルケアの状況が
より強く関連していることがわかります.

さらに重要なことは、プレホスピタルケアを行うスタッフと
病院とのシームレスな連携が
心筋梗塞の救命に大切であるということです.

以前にも記事で紹介しましたが
救急車内で心室細動を発症した心筋梗塞の患者さんは
救急車内で救急救命士による
迅速で的確なAEDによる除細動により
自己心拍再開して当院に搬送され
その後のカテーテル治療により
無事に軽快退院しました.

救急のスタッフの充実や救急機材の整備
そして治療を行う病院の医療機器の整備と、スタッフの増員は
一番大切なことですが
機械や人員を増やしただけでは、まだ不十分だといえます.

地域の病院と救急スタッフが
有機的な連携と強固なシステムを構築して
初めてよりよい救急、救命活動が可能になるのだと思います.

昨今の医療、救急状況を考えるに
各地域単独の活動だけでも不十分であり
自治体のわくにとらわれない
個々の病院にとらわれない、グローバルなネットワーク作りを
これから構築していく必要があると思います.

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by yangt3 | 2007-09-14 08:41 | ニュース