もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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救急搬送

研修医の頃に勤めていた病院では
心臓血管外科がなく
心臓関係の重症患者は、近くの
心臓外科を併設している病院まで
救急搬送をしていました.

研修医の頃には、救急搬送の際も
先輩医師に、
「先生、ちょっと患者さんに
 付き添って言ってくれる?」といわれて
受け持ちではない患者さんの
救急搬送にも、しばしば出かけていきました.

研修医の修業中の身で、ただでさえ
心細いのに、医師として一人で
救急車内に同行していくことは、かなりの
ストレスでした.

何事もなく、患者さんの容体が急変することなく
無事に、搬送先の病院まで到着することだけを
必死に願いつつの道のりでした.

中堅医師となった現在も、種々の理由で
患者さんを他の施設に救急搬送する機会があります.

救急車内の、限られたスペースと人員の中で
もし患者さんが急変したら...
そういう思いは今も変わりありません.

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心肺停止や心室細動などの超重症の場合には
救急車内で、AEDによる除細動
心肺蘇生を行いながらの救急搬送となります.

一刻も早い病院への搬送が救命への鍵になります.

救急スタッフ、医療スタッフも必死ですが
もし家族の方が同乗していたら
その不安とストレスは、本当にはかりしれないものでしょう.

救急車に乗った体験をかかれたブログの記事を
紹介します.

-----むささびの視線
「もっと情報化が」
http://blogs.itmedia.co.jp/musasabi/2007/09/post_f0ff.html
(少し長いのですが、非常に有用な内容なので
 引用させて頂きます)

  私事で恐縮だが、今日の明け方に
 救急車のお世話になってしまった。
 (中略)
 
 で、119番で救急車を呼んで5分くらいでやってきて、
 いざ搬送されるのかと思いきや、
 なかなか搬送先の病院が見つからない。
 こっちは痛くて耐えている状態だったので、
 不安が募る。妊婦の方がたらい回しにあったなんていう
 ニュースも先ごろあったが、まさにそれを実感するような
 事態だった(私の場合はそこまで深刻な状況ではなかったが)。

 搬送先が決まるまでおよそ20分は待たされただろうか、
 いくつもの救急病院に救急隊の方が連絡するのだが、
 症状を伝えると断られるようだった
 (話をしている救急隊員の方の言葉しか聞こえないので、
 先方の病院がなんと答えているかまでは不明)。
 せっかくすぐ救急車がやってきても、これではなんとも厳しい。

 こういうときに、すぐに受け入れ先がわかるような
 ITの仕組みってないのかと真剣に思ったのだった。
 症状を入力すると、その時の救急受け入れ体制が瞬時に把握でき、
 救急車の位置から最適な病院候補を選び出す。 
 それほど難しい仕組みでは、ないと思うのだが。

 病院の多い都内でこのような状況なので、問題は情報の共有、
 伝達だけではないのかもしれない。
 いったい、こういった社会インフラの改善のためには
 どうしたらいいのだろうか。痛いなかで、
 いろいろと考えてしまう出来事だった。
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救急業務のIT化、電子化については
私も全く同感です.

一つの施設の院内、施設内では
院内LANやPACS、電子カルテなどの導入による
情報の共有、画像データ、検査データの共有などは可能には
なっています.

昔ならば、相手の所まで、カルテや画像フィルムをもって
走っていかなければいけませんでした.
だいたいの所、カルテをもって他の先生の所に
走るのは、研修医の仕事でしたが.

電子カルテや、PACS(画像配信システム)のおかげで
今は、病院内を、階段を走り回らなくても
電話で、患者さんのIDを告げるだけで
あとは、近くのパソコン端末で必要な情報を見てもらって
指示を電話で受ける事ができます.

ただ病院間の情報伝達や
病院と救急隊との情報伝達については
まだまだ整備が必要な状況です.

たとえば心電図の伝送システムはありますが
そもそも救急車内では
通常の12誘導の心電図をとる事が一般的では
ありません.

血圧やバイタル、患者さんの状況については
救急隊員が救急車の車内から
搬送中に、逐一、携帯電話で報告しているのが
現状です.

理想をいえば、病院の救急外来と同様の
環境であればと思います.

循環器疾患であれば
救急車内で12誘導心電図を記録し
病院救急外来に伝送できるように.

患者さんの様子も、ネットカメラを通じて
医師がリアルタイムでみられるように.
などなど、日頃思う事は
いろいろあります.

患者さんの搬送先の受け入れに対して
携帯ネットを使った試みが広島で始まったそうです.

--------中國新聞 2007.09.22
救急隊、携帯ネットで患者受け入れ一斉に要請 広島県
http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200709220371.html

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 広島県は、救急隊員が携帯電話でインターネットに
 接続するなどし、複数の医療機関に一斉に
 患者の受け入れを要請するシステムを導入した。
 搬送先選定の時間を短縮し、社会問題化している患者の
 「たらい回し」を防ぐのが狙いで、
 中国地方五県では初の試み。
 県は「全国でも例がないのではないか」としている。

 システムは八月から本格運用を始めた。
 現時点では県内に十四ある消防局・本部のうち、
 広島市消防局(広島市)
 福山地区消防組合消防局(福山市)
 東広島市消防局(東広島市)
 備北地区消防組合消防本部(三次市)
 の四局・本部が参加している。

 一方、患者の受け入れ要請対象は、
 県内五カ所の救命救急センター、
 一部の救急病院、二次救急医療圏ごとに
 市町が運営している「病院群輪番制病院」に
 参加する病院など計百二十の医療機関となっている。

 システムは、患者の搬送先が従来の電話による依頼では
 なかなか決まらない場合を想定。
 救急隊員は携帯電話でシステムのホームページ画面を表示し、
 診療科などを選択したうえで、
 現在地や患者の詳しい状態を肉声で吹き込んで送信する。

 すると、条件に合うエリア内のすべての医療機関が
 専用パソコンで受信。アラームが鳴り、
 付属スピーカーから救急隊員の音声が流れる。

 医師らは受け入れの相談に応じるか、
 受け入れないかを画面上で選択して送信。
 救急隊員は、携帯電話画面に表示された病院に
 確認の電話をして患者を搬送する—という仕組みだ。

 各消防局・本部によると、現場での活用例は
 これまで広島市消防局の五回だけ。
 いずれも病院との電話相談などの結果、搬送につながったケースは
 まだないものの、県福祉保健部は「救急出動が多い地域を中心に、
 素早い搬送先の選定に役立てたい」と期待する。
 医療機関側にアラームに気付きやすい場所への
 パソコン設置などを要請する方針だ。

 広島県は、医療情報をインターネットや
 電話で県民に提供する「救急医療Net」を構築。
 その運営費(本年度約七千百万円)の一部で
 今回の一斉要請システムを整備した。
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この携帯を使った受け入れ要請システムは
一つの答えになるかもしれません.

今の、IT技術で、この程度の環境を整備する事は
さほど困難でないと思われます.

問題は、やはりシステムの基盤となる
医療連携の整備ということになるかもしれません.

いくらシステムが完備したとしても
実際に医療を行う側が
きちんとシステムを活用していくこと.

例えば、祝祭日、深夜時間外も含めて
その時々の病院状況をリアルタイムに
システムに反映させられるかどうかということも
システム運用を成功させるための一つのかぎになります.

病院の側も、24時間の受け入れを可能にするための
スタッフ、人員の配置を
きちんと考えて実行することが
重要であることはいうまでもないでしょう.

IT機器は、あくまで道具であり
IT化したから、全ての問題が解決するというような
そんな簡単なわけがありません.

きちんと運用していくためには、
あくまでローカライズ、カスタマイズが
大切なことだといえるでしょう.

高額な機械よりも
昔ながらの、人と人との繋がりと連携が
勝る事もあるやもしれません.

道具に振り回される事なく
現場のスタッフ一人一人が、問題を真剣に考え連携を深める事.

そして救急の実践に必要な機材や医療機器や
人員整備も同時にきちんと進める事.
スタッフの連携をきちんと行った上で
はじめて、IT化が活かされると思います.

そんなわけで、もうそろそろ
オフ会を開きしょう.

病院と救急隊の合同勉強会、合同訓練会も
有志で早く開催したいと思います.

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by yangt3 | 2007-09-29 17:36 | ニュース