もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

私の十戒

以前の病院に勤めていた頃は
上の子供もまだ小さく幼稚園にも上がる前で
○△ハイツといった感じの借り家住まいでした.

当然、ペットを飼う事もできず
引っ越ししたら、犬を飼ってねって約束していました.

今の土地の一軒家に移り住んでもう何年かが過ぎ
子供たちも大きくなりました.

ご近所さんをみると、けっこうワンちゃんを飼っているお宅も多く
朝晩真面目にワンちゃんを散歩している姿をお見かけします.

うちもそろそろ、ワンちゃんを飼いたいのですが
仕事が忙しく、子供と過ごす時間さえ少ないのに
これでワンちゃんの散歩までは、多分無理なので
ちょっと我慢しています.

昔の同僚の外科の先生が大のワンちゃん好きで、
犬と結婚してもいいくらい(笑)でしたが
あるとき バウリンガルという当時のタカラトミーから出ていた
ワンちゃん翻訳機を購入して
ますますワンちゃんライフを満喫していました(笑)

私の十戒_a0055913_0899.gif






最近、「犬と私の10の約束」という本が映画化されて
話題になっているそうです.

アップルのページから予告編をみることができます.
アップルーTrailersー犬と私の10の約束
http://www.apple.com/jp/quicktime/trailers/shochiku/inu10/

私の十戒_a0055913_084049.gif


この映画のもとになっている
犬との10の約束 というのが
読んでいると、なんだかぐっと来るものがあります.

それはこんな感じです.

 1.私と気長につきあってください。
(Give me time to understand what you want of me.)

 2.私を信じてください。それだけで私は幸せです。
(Place your trust in me. It's crucial to my well-being.)

 3.私にも心があることを忘れないでください。
(Be aware that however you treat me I'll never forget it.)

 4.言うことをきかないときは理由があります。
(Before you scold me for being lazy,
 ask yourself if something might be bothering me.)

 5.私にたくさん話しかけてください。人のことばは話せないけど、わかっています。
(Talk to me sometimes. Even if I don't understand your words,
 I do understand your voice when it's speaking to me.)

 6.私をたたかないで。本気になったら私のほうが強いことを忘れないで。
(Remember before you hit me, I have teeth that could hurt you,
 but that I choose not to bite you.)
 7.私が年を取っても、仲良くしてください。
(Take care of me when I get old.)

 8.私は十年くらいしか生きられません。だからできるだけ私と一緒にいてください。
(My life is likely to last 10 to 15 years.
 Any separation from you will be painful for me.)

 9.あなたには学校もあるし友だちもいます。でも私にはあなたしかいません。
(You have your work, your entertainment, and your friends. I have only you.)

10.私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。どうか覚えていてください、
 私がずっとあなたを愛していたことを。
(Go with me on difficult journeys. Everything is easier for me
 if you are there. Remember I love you . . .)

犬の十戒 というのは欧米で詠み人知らずの文章、短詩として
犬を飼う人のための10戒として広く知られているそうです.

こちらにも紹介の文章があります.
 犬の十戒(犬の飼い主のための十戒
 The Ten Commandments of Dog Ownership
 http://www5.ocn.ne.jp/~select/Ten-Commandments.html

最近、何だか涙もろくなった私は
こんな文章を読むと涙ぐんでしまって全然だめです.

犬を飼った事のない私でさえ
大切なワンちゃんとの別れを思い浮かべていてもたってもいられない気分になります.

この十戒というのは、人と犬との関係だけではなく
大切な人、かけがいのない人、愛する人
永遠の別れによりもうあうことのかなわない人
そんな大切な人と人との関係(人、物、大切なこと)の
感情の機微を表しているように思います.

例えば、自分の子供のことや、家族のことを思い浮かべながら
この文章を再読すると、また違った意味で涙がこぼれます.

故 古高先生への思いも
この文章を読みながら、また心の底から込み上げてくる気がします.

私の外来に通っている女性のことを思い出しました.
早い時期に、ご主人を病気のためになくし
一人暮らしをしながら、外来に通っている方です.

寂しさを紛らわせる為に、少し前から小さな室内犬を飼い始めました.
外来に来て、話すことは
自分の体のことではなく、そのかわいいワンちゃんのことばかり.

ご主人を亡くされて一人暮らしで気丈にされていた方ですが
ワンちゃんとともに過ごされて
本当に久しぶりの笑顔の日々が続きました.

けれどこの映画のように
人よりも長く生きられないワンちゃんとの別れを
経験されることになりました.

ご主人との別れのあとでやっと見つけた小さな幸せだったのにと
その後数ヶ月は、私の外来に来ては
さめざめと泣いて過ごす日々が続きました.

もう二度と生き物なんか飼うものか.
こんなに別れがつらいのなら
もうワンちゃんの顔もみたくない、そういって
また彼女は、泣いているだけでした.

私としては、ただ彼女の悲しみを受け止めてあげるだけしか
できませんでした.
もう彼女は、二度と犬を飼う事はないのだろうか
そう思いました.

冬が過ぎ、夏がすぎ
最初の大切なワンちゃんとの別れから一年が過ぎようかというころに
久しぶりに明るい顔で外来にやってきました.

「今日は、うれしそうだけど どうしたの?」と聞いてみると
「いろいろあったけど やっぱり犬を飼う事にしたの
 やっぱりワンちゃんはかわいいよね」

そういって、あとはうれしそうに
以前の頃と同じように、外来で
新しいパートナーであるワンちゃんの話をひとしきり.

これからも彼女とワンちゃんとの暮らしが
平和でかつ幸福であることを願っています.

こんな素敵な関係があります.

悠久の歴史の中で人の一生も長いようで
あっという間の出来事なのかもしれません.
いつかは私自身の寿命もつきる日は、まちがいなくやってきます.

大切な人、大切な家族、大切な子供たちが
別れの悲しみを少しでもやわらぐことができるように
私の思いを残す事、私が生きた証を残す事.
そんなことを考えます.

皆さんも大切な人との十戒を、きっと心の中に
秘めているのでは無いでしょうか.
by yangt3 | 2008-02-26 00:09 | コーヒーブレイク(雑談)