もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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For the patient

狭心症で来院され冠動脈造影検査を行った所
左主幹部、起始部を含む3枝病変が
見つかった患者さんの話です.

心エコー検査でも、左室機能の低下もあり
すぐに治療が必要な状態でした.

ここで問題になるのは、カテーテル治療かバイパス手術か
という選択です.

薬剤溶出ステントが使用可能になる一昔前であれば
限られた施設を除けば
このような重症の症例は、だいたいバイパス手術に
回していました.

最近では、再狭窄率、再発の少ない薬剤溶出ステントの登場により
こうした厳しい症例にも積極的に
カテーテル治療を行う施設が増えてきました.

さてこの患者さんの場合も
ご本人の強い希望もあって、つまり手術は嫌だ、ということで
カテーテル治療が選択されました.

念のため、心臓外科も併設した循環器病院にて
無事にカテーテル治療が行われ狭窄は全てステントできれいに
治療が完了しました.

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その後の経過も良好であり
外来通院中もさしたる症状もなく、
薬剤溶出ステント植え込み後の坑血小板薬内服の副作用も
全くみとめず、順調に過ごされていました.

治療から1年たって
フォローアップ、経過観察のために
治療した病院に、心臓CTを依頼しました.

驚いた事に、心臓CTでは、せっかくきれいに
ステント治療を行っていただいたのに
左主幹部、起始部病変のステントが再狭窄をきたしていました.
薬剤溶出ステントを用いた治療だったのにもかかわらずです.

ここでまた患者さんと相談ということになりました.

もう一度、カテーテル治療を頑張って行うか
それともバイパス手術をするか、です.

薬剤溶出ステントの再狭窄については
発表当時の夢のような再狭窄ゼロ!というわけにはいかず
さまざまな患者さんの条件で
例えば糖尿病、透析を受けている方、
起始部病変、分岐部の複雑なステントなどなど
狭窄を来す事がわかってきました.

薬剤溶出ステントの再狭窄に対して
再度カテーテル治療を行うことになりますが
日本国内では、使用できる薬剤溶出ステントの種類が限られており
(現実には2種類の薬剤のみ)
再治療に際して、どのように行うか
いつも頭を悩ませる所です.

結局この患者さんは、バイパス手術を選択されました.

先日、無事に手術を終えて、退院され
元気に私の外来に来られました.

本当にほっとしました.

循環器の医者としては、できることであれば
カテーテル治療で全てを治したいという思いがあるのですが
このような症例を経験すると
いろいろ考えてしまうのも事実です.

今後、薬剤溶出ステントの進歩が続いて
現在でもいまだ問題となっているステントの再狭窄も
技術革新で減らす事が期待されますが
それでもさまざなカテーテル治療の問題点は
これから頑張って取り組んでいかなければならないと思います.

循環器から心臓外科に患者さんをまかせるという
パターンだけでなく、逆もまたあります.

過去にバイパス手術を受けたものの
その後狭心症が再発し、再手術ではなく
カテーテル治療を行うというケースもあります.

循環器と心臓外科が優劣をきそうのではなくて
患者さんの治療という共通の目的のために
ともに闘う同士であります.

私自身は、心臓外科の先生と非常に仲良く付き合いを
させてもらっています.
患者さんが主治医に治療を委ねる時に
信頼が必要なように
大切な患者さんを預ける為には
循環器の医者が心臓外科医に信頼をもつことも必要になります.

患者さんのために最前の選択をするため
これからもカテーテル治療かバイパス手術か
悩んで治療を行っていくと思います.

よい意味で心臓外科の先生とも
治療方針について活発に議論をしていきたいものです.

循環器の医者として、患者さんから信頼される
カテーテル治療技術の向上のため
自分の腕を磨く事を、これからも頑張って行きたいと思います.

なによりも患者さんの元気が一番のエネルギーです.

長い闘病生活を乗り越えて
今日、無事に退院となりました.

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本当におめでとうございます.
治療中に尽力した院内スタッフ、様々なサポートをしていただいた
近隣の先生方には
この場を借りて感謝いたします.

なによりもご本人の強い気力が一番だったと感じます.
ご家族の方の支えも素晴らしかったです.

これからずっと元気でいられるように
またスタッフ一同で頑張りたいと思います.
by yangt3 | 2008-03-08 09:33 | 一般