もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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小惑星とパラダイス鎖国と救急と、今そこにある危機

最近、小惑星アポフィスの話が話題になっています.

古代ギリシャ語で悪神アベブに由来する名を冠した
この小惑星アポフィスが、2029年に
地球の軌道と交わる、つまりは地球と衝突するかもしれない
そんな危険が報道されて物議を醸し出しています.

先日もこの小惑星アポフィスが地球に衝突するという話が
かのノストラダムスの大予言の時のような
衝撃的で刺激的な内容の番組が放送されていました.

たしかに小さな小惑星でも、地球を直撃したとすれば
その被害は甚大で
まさしく映画の「ディープインパクト」や「ハルマゲドン」
の世界です.

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NASAの評価によると小惑星アポフィスが地球に衝突する
可能性は将来的にも0.0038% とされ
現在のところは、アポフィスが地球に衝突する可能性は
無視できるとされています.

少なくとも2029年の接近では衝突しないとされています.




「アポフィス(小惑星)」をWikipedia で検索してみると
 アポフィス (小惑星) ウィキペディア
 http://ja.wikipedia.org/wiki/アポフィス_(小惑星)

 直径は390メートル(約400メートル)
 質量は7.2 ×1010 kg
 この小惑星が衝突した場合のエネルギーは
 TNT火薬880メガトン相当とされている

 それ以降の2035年、2036年、2037年にも
 僅かながら衝突する可能性があるが
 2029年以後の軌道に関する正確な予測は困難である.

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映画「アルマゲドン」と「ディープインパクト」をご覧になった方なら
小惑星がもし本当に地球に衝突した時の衝撃がどのようなものか
おわかりになると思います.

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現実に地球に衝突する可能性のある小惑星を映画のように
破壊することができるかどうか、という点については
こんな記事がありました.

 映画「アルマゲドン」と「ディープインパクト」
 http://astro.ysc.go.jp/izumo/eiga.html

 これは次の3つの場合を想定し、 危険小惑星に
 直径150mの別の小惑星をぶつけて破壊しようとすると
 どううなるか、 というもの。
 (1)小惑星が単体でできている場合。
 (2)小惑星が連星の場合
 (3)小惑星が小さい小惑星の集合体の場合。
 計算結果は....

 (1)は運がいいと危険な小惑星が2つに割れる。
  しかし軌道はほとんど 変わらず両方ぶつかる。
 (2)は、ぶつかった方は粉々になるが、
 その破片が残った方にふりそそぎ、
 ぶつかる天体はやや小さくなるが破壊度は大きく、隕石落下が増える。
 (3)は、ぶつかった小破片はこなごな。しかし残りのほとんどはそのまま
 生き残り、変化はほとんどない。

 というわけで、映画のようにはいかないとのことです。

最近、小惑星の衝突に関連した興味深い記事が掲載されました.

ITmedia News 2008.03.21
[WSJ] 小惑星との衝突から世界を救うには
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/21/news042.html

 元宇宙飛行士のラスティ・シュワイカート氏は、
 地球に飛来する小惑星
 (その1つのマルチメガトン級の直撃が恐竜を絶滅させたとされている)
 の危険から世界を救おうとしている。
 同氏は、小惑星との衝突を防ぐ唯一の確実な方法は、
 何よりも外交術を駆使することだと考えている。
 
 小惑星は何世紀にもわたって研究されてきた。
 しかし、まだ分かっていないことが多いため、
 シュワイカート氏自身が小惑星の先駆的な研究を
 数多く手掛けなければならなかったという。
 「わたしは、小惑星を地球からそらす研究の世界的権威だ。
 だがこれは、今までの研究があまりに手薄だったということだ」(同氏)

 問題の基本は、Discovery Channelの視聴者にはおなじみだ。
 小惑星帯の中の膨大な数の小惑星の1つが、
 衝突によって軌道を変えることが時々あるが、
 その1つがいつか地球に衝突することになる可能性がある。

 小惑星に実際に対処するに当たっては、
 ハリウッド映画に出てきたような、
 核爆弾で粉々に破壊するという選択肢が一番非現実的だ、
 とシュワイカート氏は語る。残骸を管理できないのがその大きな理由だ。

 地球の破滅的な脅威となる小惑星には、
 ほかにも対処の行動を促しやすい面がある。
 比較的小額の資金で対策を打てることだ。
 10年にわたって年間1億~2億ドルを投入すれば、
 地球を脅かすすべてのNEOの完全な観測調査を行うのに
 必要な天体望遠鏡が整備されることになる。
 そうした観測プログラムが実施されれば、
 衝突が起こる何十年も前から予測することができるだろう。

 シュワイカート氏は、小惑星問題の難しい部分、
 そして同氏が今、ほとんどかかりきりになっている部分は、
 小惑星が地球と衝突する軌道にあることが判明した場合に
 どんな対応を取るかについて、
 グローバルな合意形成を図る方法を見いだすことだと語る。

 シュワイカート氏は、必要な対応を公平に進めるための唯一の方法は、
 意思決定方式を十分前もって策定しておき、
 危機が現実になったときに、意思決定に政治的な圧力が
 掛からないようにすることだと語る。
 (注1;NEO = Near Earth Object;つまりは地球接近物体ということです)

 (注2;Near-Earth Object Program で実際に現在まで観測されている
    小惑星の軌道をチェックすることができます.

    Near-Earth Object Program
http://neo.jpl.nasa.gov/)

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とまあ長々と小惑星の地球衝突についての話題を書いてきましたが
このような地球的規模の危機管理においても
結局のところ、必要な適切な対応を進める為には
グローバルは合意が必要となってくるということが重要な点です.

極端な話、人類滅亡の危機が迫って
ハリウッドの映画のように、人類が一丸となって
危機に立ち向かっていけるのかどうか、ということです.

小惑星のような極端な話ではないにしても
この地球上で日常的に発生している、地球温暖化も含めた
さまざまな危機の対策において
グローバルな合意がなかなか取り付けられないという現実があります.

地球規模のリスク管理、一国のリスク管理、さまざまな状況での
リスク管理においても、解決に向けての
グローバルな合意を取り付ける事が
いかに難しい事であるか.

小惑星の話から、かなりこじつけ気味の議論となりますが
日々の生活と仕事に追われる私たちにとっては
いつか衝突するかもしれない小惑星よりも
毎日の生活に関連するリスクや危機的状況のほうが深刻な問題です.

毎日のようにニュースとなる医療崩壊、救急医慮崩壊も
私たちの生活に直結する危機の一つです.

日本の優秀な人材と頭脳を結集して集中して事に当たれば
決して解決できない問題だとは思いません.

早期の解決に向けて
なにがそれを邪魔しているのか、ということです.

現場の医師、看護師、スタッフの怠慢でしょうか.
そんなことはありません.

小惑星の記事にもあったように
この医療の危機にあって必要なことは
 ー意思決定方式を十分前もって策定しておき、
  危機が現実になったときに、意思決定に政治的な圧力が
  掛からないようにすることですー.

今の日本の医療の状況は、まさに映画のアルマゲドン、ディープインパクトと
同様の迅速な対応が必要な時ではないでしょうか.

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本

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海部 美知 著
アスキー新書 54

 高度経済成長から貿易摩擦の時代を経て、
 日本はいつの間にか、世界から見て
 存在感のない国になってしまっています。

 国内を見れば、生活便利さや物の豊富さでは日本は先進国でも
 トップクラスの豊かさを誇り、外国へのあこがれも
 昔ほど持たなくなりました。
 そういった日本の様子を著者は「パラダイス鎖国」と呼んでいます。
 明治以来の「西洋コンプレックス」が抜けてきたという意味で、
 それ自体は決して悪いことではないものの、
 「パラダイス鎖国」は日本にとって、
 諸手を挙げて歓迎すべき出来事なのでしょうか?

 産業面においても「パラダイス鎖国」は現実のものとなっています。
 携帯電話、あるいはネットベンチャーなど、
 日本はブロードバンドインフラで先行しているにもかかわらず、
 情報家電やITのグローバル市場における新興勢力とみなされる企業は
 まだありません。高品質・高性能・先進的という
 ジャパン・ブランドはいまだ健在であるものの、
 その販路は縮小しつつあり、「値段が高いだけ」の製品を
 送り出しているだけになりつつあります。

 パラダイス鎖国状態にあると、長い目で見て問題があったとしても
 いまがそこそこ幸せなのだから、苦しい思いをしてまで
 現状を変えようと思えないものである.
 (本書、p92 より引用)

日本の誇る皆保険精度も医療体制も
日本人の勤勉さと真面目さも相まって、長らく
このパラダイス鎖国状態にあったといえるかもしれません.

 誰かが危機感を訴えることに成功し、
 痛みを伴う改革に着手したとしても、
 この大きな国の長年にわたる体質に起因した問題が
 そう簡単に解決するはずがない.

 現在の状況は、それなりに意味や経緯があって成立している
 わけだから、変えようとすればどこかにしわよせが来る.

 変化によって損をする人が騒ぎ出し、
 反動による逆行が始まる.

 かといって現状維持を続けていれば、
 いずれひずみが大きくなり、
 時代に後れて恐竜化し、
 とりかえしがつかなくなる.
 (同書、p92より引用)

これは、まさしく今の医療の状態を述べているように思います.

このような状況を解決していくために著者が述べているのは
軽やかなグローバル化という選択肢です.

 「日本は強い」という事実が既成事実でなくなる時代に
 生き残るためには、
 その中に生き残る日本人もまた、
 少しだけ新しい方向に足を踏み出して、
 昨日よりも一歩前に進む勇気が必要だ.

 その方向が日本国内だけでなく、他の国にも向かうという
 個人のグローバル化できる環境が、いまなら整っている.
 (同書、p176より引用)

日本の今の医療の問題の解決を考えていく上で
こうしたグローバル化、少しだけ新しい方向に足を踏み出すということが
大切な鍵になりそうです.

国レベルの話だけでなく、個々の組織、個々の病院においても
問題は同じです.

自分の病院さえよければという
パラダイス鎖国状態になった病院、施設は
ゆるやかな崩壊の道に進む事になります.

パラダイス鎖国状態を打ち破る為に、グローバル化をはかっていくために
救急医療が一つのキーワード、黒船になるのではと
考えています.

ひとつの病院で、全ての医療ニーズに応える事は無理な話であり
医療のロングテールに対応するためには
個人、個々の病院レベルに留まらず、地域全体で、
日本全体で、そして引いては、地球規模での
連携が重要だと思います.

私たち、そして私たちの大切な家族や、大切な仲間たちを
守っていくために、
少しでも一歩を先に進める勇気を持ちたいものです.

自らのパラダイス鎖国を打ち破り
恐竜化を防ぐ為に.

とりあえず、私なりのパラダイス鎖国をグローバル化するための
手だてがこのブログ活動ということになりそうです.
by yangt3 | 2008-03-24 00:07 | 一般