もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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我が町の名医を求めて

仕事が早く終わって、ちょっと時間がある時には
病院の近くにある書店に立ち寄るのが私の日課です.

以前に勤めていた病院でも、すぐ前に書店があって
遅くまで営業していたので
夜の外来が終わった後など重宝していました.

何か本を買う事がなくても、書棚をあれこれ探索しながら
ぶらぶらするだけで、ちょっと気が晴れます.

幾人か新書が出れば必ず購入する作家が何人かいますが
そんなにいつも新刊が出ているわけでは無く
面白そうな本をいつも探しています.

気分転換といいながら、医療関係、救急関係などの本は
書棚にあるとついつい買ってしまいます.

先日購入したのは、これです.

「我が町一番の病院・医者ガイド」

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患者さんの皆さんが、少しでもよい病院、よい医者を
探すのと同様に
私たち医療スタッフも、良き病院、良き医者を
常に探し続けています.

大きな総合病院であれば、ともかくも
この医療の専門分化が進んだ時代に
一つに医療機関で、あらゆる病気に対応することは困難となっています.

医療スタッフや施設の関係から
得意な疾患、不得手な疾患というものが存在します.

一般的な病気や救急疾患に対して
自分の病院で治療できることは、きっちりと仕事・治療を行い
専門外となる病気や、センター的な病院での治療が必要となる
状態においては、適切なタイミングに
適切な次の医療機関に転送することになります.

例えば私は循環器医師として、病院のある地域の
循環器救急に対応していますが
カテーテル治療を始めとする内科的治療で
対応可能な疾患は、自分の病院でそのまま治療が完結します.

心臓外科的治療やそれ以上の高度な治療が必要になれば
さらに3次救急病院をさがすことになります.

循環器以外の専門外の疾患に冠しては
院内のその他の科の先生と協議して
方針を決めています.

さてこのプレジデントの雑誌に取り上げられているのは
その他にも病気は沢山あるのですが
癌治療、心臓病手術、心臓カテーテル治療です.

ランキングに掲載されている病院は、おおむね
過去の病院ランキングに登場していた病院が並んでいます.

さてこの本に目を通しただけで
実際に自分のかかる病院を決められるか
もしくは自分の患者さんをお願いできるかというと
ちょっとムズカシイと思います.

病院、医者選びで、やっぱり頼りになるのは
このネット時代でも、口コミです.

例えば、普段から、私がお世話になっている春日井の開業医の先生は
近隣の病院についてのかなり正確な情報を持っていて
私も時々参考にさせてもらっています.

実際に患者さんを紹介して
その患者さんの経過や、治療などの対応、その後のアフターケアなどを
送られてくる紹介状や資料
さらには、患者さんその人からも情報を得て
本当に役に立つ口コミ情報を持っていて
それが常にアップデートされているというわけです.

そういえば雑誌には、国立がんセンター中央病院院長の
土屋 了介先生の話が掲載されていて、ちょっと参考になりました.

要点としては、土屋先生も
病院・医者選びでは口コミ情報が重要と書かれています.
1)患者さんの意見を聞く
2)医療関係者の意見を聞く
3)患者会で情報を入手する.

もう一つ土屋先生の重要な問題提起としては
専門医が多すぎるので、思いきった拠点集約が必要ということです.
言葉を変えれば人材の適材適所への配置ということであります.

さらに土屋先生は
朝から晩まで働きづめの医師も政策提言をするべきと書かれています.
その一つの形としてメディカルクラスター構想
(集約化された一大医療センターの構築、とでもいうべきもの)
を上げています.

この土屋氏の一文を読むだけでも
プレジデント1冊650円は安いものだと感じました.

私の専門の循環器の部門では、倉敷中央病院の光藤先生の
コメントが掲載されていました.
ここで少し引用しますと

「日本の医学界ではこれまで、大学で基礎的な研究を行って論文を書き、
博士になって、ゆくゆくは教授になるような人が「’よい医者」だと
思われてきました.
一方、難しい病状の患者さんを何百人、何千人治療しても、
医学界での評価は低いものでした.

 この傾向は今でもまだあります.
 「よい医者」と「よい研究者」は必ずしも同じではありません.
 こうしたゆがみを正すには、優秀な研究者と湯州な臨床医を
 別々に、きちんと評価できる仕組みをつくることが大切です」

はからずも最近読了した書と
同じような意見が、日本の有名な2人の先生から
述べられた事に、ちょっと驚き、そしてちょっと安心しました.

その書とはこれです.

心臓外科医の挑戦状

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南淵 明宏 著
中公文庫

私的には、テレビによく登場する評論家や医師の方々には
ちょっと批判的な気分をもっているのですが
この書は、きちんと読んでみると
うなずけることが多く書かれていました.

余談ですが、南淵先生が以前病院のホームページで
患者さんに手術の説明をするための資料について
紹介されていました.

難しい心臓手術の様子が判りやすく写真やイラストも含めて
書かれてあり、私の今の患者さんへの
カテーテル治療のMacを使った結果説明に
参考にさせてもらっています.

さてこの本で、南淵先生は
先の光藤先生、土屋先生の述べられた意見についても
同様の意見を書かれています.

大学病院についての話はちょっと過激すぎる気もしますが
医療関係者でなくても面白い本だと思います.

いずれにセよ 良き医師というものは
現場力、つまりは臨床能力、きちんと患者さんや病気に対応できる
力を持つ人のことです.
そんな当たり前のことを、改めて認識させてくれます.

学会での勉強も文献、書での勉強も
全て実際の患者さんや現場に癌元できるものでなければならないという
著者の意見に賛同します.

臨床医にとっては、こうした学会での勉強、文献での勉強、
ライブでの勉強は
ちょうど後方支援、補給のようなもので
もちろん補給を無視した無理な仕事は
いずれ立ち行かなくなること請け合いです.

さてそうして最初の話に戻りますが
良き病院、良き医師とは、結局の所、患者さんが
決めるものだと思います.

その病院で、その先生のもとで治療を受けた患者さんが
元気になれば、それが一番の名医ということになります.

大学の医局や人脈とか、先輩後輩などの縁故に捕われず
病院の垣根を越えて、現場で一生懸命頑張っている
医師の方々こそ是とします.

どこか遠くの有名病院よりも
地域に根ざした、近隣の先生がたと
これからも一層の強固でお互いに信頼し合える
ネットワークを築いていきたいと思います.

皆さんの わが町一番の病院・医師を
教えていただければ幸いです.
by yangt3 | 2008-03-29 00:02 | 一般