もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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Mac、マック

学生、研修医、駆け出しの頃は
偉い人や、いわゆる請う成し遂げた人たちの話は
まだまだ自分には関係ないと思っていて
修行時代を描いた書物をよく読んでおりました.

たとえば
・どくとるマンボウ青春記
・どくとるマンボウ医局記

この2冊は、ご存知北杜夫先生の作品で
学生時代は、北杜夫先生にどっぷりとはまっていました.
その中でも、特にどくとるマンボウ青春期は
私のバイブルのような存在でした.

おかげで、作品の中にでてくる
「ムスクルスステルノクライドマストイデウス」
いわゆる胸鎖乳突筋のラテン語ですが
よく判りもしないのに、暗唱できるようになっていました(笑)

北杜夫先生の描く旧帝大医学部の印象が
長らく私に影響を与えていました.
つまり医学部には奇人、変人が多い、という思い込みです.

Mac、マック_a0055913_9315823.jpg






実際に、医学部を目指して受験勉強を始める頃となると
読む本も少し変わってきました.
具体的にいうと、渡辺淳一先生の初期の医学ものを
数多く読むようになりました.

特に白夜シリーズは印象に残っています.
・白夜 1 彷徨の章
・白夜 2 朝霧の章、などです.

 あらすじとしては、北杜夫先生の著作と違って
 医学生を志す若者にとっては、かなりリアルで
 怖いもの見たさで読んでいたような記憶があります.

 国家試験に合格した主人公が、母校の整形外科の医局に入局し
 医師としての経験も未熟なうちに、
 派遣医師として、とある病院に赴任させられます.

 そこでさまざまな医療の現実に出会って
 主人公が成長するというストーリーです.

渡辺淳一先生の初期の医学関連の作品も
私の学生時代に影響を与えています.

最近では、例の「鈍感力」が違った意味で
私の頭を揺さぶったものですが(笑)

私の修業時代から、時代も大きく変わって
今の医学生、新人さん、研修医の先生がたは
本当に大変だと思います.

勉強すること、身に付けることも遥かに高度に専門分化し
時代の要請としてさらにさまざまなことを
実習し身に付けなければならないからです.

もう一度医学部を受験して
医学部で勉強するだけの体力も知力も
今の私にはありません(笑)

もし自分の子供たちが医学部をめざす頃になって
子供たちの勉強にどれだけ私が役に立てるか
自信がありません.

新しい技術や新しい知識を吸収して発展させる力は
やはり若い人たちの仕事だと思います.

若い人たち、新人さんたちは
私たちを乗り越えて、さらに高みをめざして欲しいと思います.

私は、さすがに若い頃のように
体力にまかせて走り回る事がちょっとしんどくなってきたので
これからはコーチ業、監督業にいそしみたい考えです.

アップルジャパンの社長から
日本マクドナルドのCEO・社長に転身した
原田 泳幸 氏のインタービュー記事を見つけました.

今は、こうしてマネージメントや組織に関わる話が
やっぱり私には興味があります.

 「Macからマック」は運命だった
 ~日本マクドナルド 会長兼社長 原田泳幸氏(3)
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20080319/150664/?P=1

 いくつか刺激的で参考になる話がありますので
 一部を引用します.

  ー自分が自分のスタッフから、また店長がクルーから、
  「何を学んだか一週間に1回は振り返ってみろ」とよく言います。
  「自分のスタッフからは学ぶことがないと思ったら、
  そのチームはもう死んでいるぞ」と。
  それぐらい、上司が教えること以上に、部下から学ぶことがないと、
  その会社は発展しないわけです。
  そこを勘違いしているケースが多いでしょうね。

  10人の中に1人の天才がいる組織があるとしましょうか。
  それと逆に、中級クラスが10人集まった組織があるとします。
  戦ってどちらが勝つかと言ったら、1人の天才が指導する9人でしょう。

  ただし、言われた通りのことだけやる9人だったら、
  いつまでたってもそのトップの人の頭脳を超える事業には発展しない。
  いかに部下から学ぶか、いかに自分の後継者を育てていくか、
  これをおこなわない限り、事業は継続的に伸びません。

  戦略は緩めてはいけません。立ち上がりで失敗しても
  成功するまでやり続ける、ナビゲーションしていく、
  徹底してやらないと次が来ませんからね。

  社員に「どこが一番優先順位が高いのか、
  それは一番下だ」と言ってます。
  「下が崩れたら積み木のように全部つぶれるぞ」と。
  「これぐらい徹底して基本的なことをやり続ける。
  それでこそ新しいことが活きるぞ」と何百回も言っています。
  ロケットサイエンスでも何でもないんです。
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先日は、カンブリア宮殿という番組に
日清食品の 安藤 宏基社長が出演されていて
最後まで見入ってしまいました.

研修医の頃、新人の頃は、スーパーマン、スーパードクター
つまりは1人であらゆることができるという
夢のような医者を目指していたものです.

新人の頃、若い頃というのは、そういう夢のような
万能感、全能感というものを
躊躇なく受け入れてしまうものです.

世間の荒波と現実にもまれてみると
たった1人で、できることがいかに少ないか
そんな当たり前の事実を体でたたき込まれる事になります.

若者でなく、新人でない私としては
チームや組織の力を一つにして高めていく事にこそ
力を注いでいきたいと考えています.

新人さんや若い人たちの成長こそが
私の明日からの力になると信じているからです.

例を挙げれば、医者1人で循環器の診療なんてできるわけないです.
カテーテル検査・カテーテル治療が安全に、安心して
行えるのも病棟やカテ室で
日々努力しているスタッフのみんなのおかげだからです.

この春から新人さんや若い力が増えることによって
若い力をもらって
私たちもまたパワーアップできるものと期待しています.

1年後の自分と皆さんの成長がとても楽しみです.

Mac、マック_a0055913_9324187.jpg

by yangt3 | 2008-04-02 09:32 | 一般