もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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いわゆる「5分ルール」の話

この4月からの診療報酬改定で
再診時に5分以上の診察時間を必要とする
〝5分ルール〟が導入されました.

対象となるのは、診療所(クリニックや開業医)や
中小病院(一般病床200床未満)です.

その導入の目的としては、外来診療において懇切丁寧な診察を
してもらうためと厚生労働省は説明しています.

診療時間が長ければ長いほど、患者にとって質の高い医療になるという
コンセプトがその導入の要点のようです.

厚生省保険局の具体的な指導として、診察にかけた時間を
カルテに記録するように求められています.
調査する際に、1時間に12人を超える診療がないかが
チェックされるとのことです.

実際に、私が週一回、外来応援に出かけている
先輩のクリニックでは、4月からこの5分ルールが導入されています.
私自身も、なにはともあれ、この5分ルールに従って仕事をしています.

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その先輩のクリニックのでは
まず一般の外来の来られた患者さんを
先輩医師が診察して、循環器の専門診療が必要かどうかを
チェックします.

このため私の外来に回ってくる方々は、ほとんどが
カテーテル治療や専門的な治療を必要とする患者さんばかりとなります.

すでにはっきりとした狭心症の症状が出ている人も多く
診療では、かなり具体的な話や説明となります.

早急にカテーテル検査やカテーテル治療が必要になる人も多く
具体的な検査や治療の説明や
どこで検査を受けるか、どこで治療を受けるかなど
具体的、詳細な説明となり
あっという間に時間がたってしまいます.

5分ルールなどと、あえて言われなくても
十分に説明を行っていたのですが
4月からの5分ルール適用となってからは
少しく事務手続きが増えてしまいました.

つまりは5分ルールに乗っ取って診療を行ったことを
カルテに記載しなければならないわけで
個人的には、かえって煩雑となり
わずかとはいえ、この作業に時間を取られてしまいます.

限られた時間の中で数多くの患者さんの診療を行わなければならない
開業医の先生や小規模の病院の外来では
5分ルールにこだわるあまり、結果的に
待ち時間が増えてしまうように思います.

できるだけ時間を気にせずに、十分な説明を心がけておりますが
医療の質を果たして時間で計ることが
できるのかどうかは、また別の問題です.

先輩のクリニックでの循環器外来のお手伝いは
基本的に完全予約制をとっているため
一人一人の患者さんへの診療時間が十分とれるようにしていますが
それでも毎週、毎週、時間に追われ
待ち時間を気にしながらの診療です.

どの医療現場でも医師不足、医療資源の不足、スタッフ不足があり
根本的な人材補給を行わずして
建前だけの「5分ルール」を求められても
現場に混乱と、患者さんには、待ち時間の増大を
招くだけのような気がします.

5分ルールについては、このような記事も出ています.

 1)5分ルール「小児科の壊滅必至」
  http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15283.html

 2)4月から診療報酬改定、再診料「5分ルール」
  http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080324-OYT8T00415.htm

外来診療を担当する医師と、病棟の入院患者を担当する医師が
きちんと分かれているとか、それぞれに豊富な人材が
確保されていれば
わざわざ5分ルールを決めなくても
それぞれに患者さんに、十分な時間をとった診療が可能になるでしょう.

しかしながら日本のほとんどの病院では
特に地方や地域の病院においては
一人の医師が、外来も行い、救急も対応しながら
病棟入院患者のケアを行い、その合間に検査、手術、時間外対応など
全てを掛け持ちで行っているという現実があります.

研修医や若手医師、スタッフの補給があれば
皆で強力して、これだけの仕事をなんとか こなしていけるのですが
病院によっては各専門科が、一人というところも多く
本当に大変だと思います.

わが循環器においても
外来の後に、カテーテル検査、カテーテル治療を行っているため
いつも時間に追われています.

スタッフ不足のあおりで、特に緊急の検査や治療が入った場合には
しばしば外来診療を途中で休診とせざるを得ないことがあります.

いろいろ皆さんにはご迷惑をおかけしていますが
少ないスタッフの中、緊急、重傷の方優先で
診療を行わざるを得ないということで
なんとかご理解をいただきたいと思っています.

今回の5分ルールの適応が
その導入の目的通りに患者さんの診療のケアの質を上げるということならば
ぜひもっと本格的、抜本的な医療の改善を行ってほしいと思います.

もはやそれは、個々の現場の頑張りだけでは難しく
中央からの政策が必要だと思います.

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by yangt3 | 2008-04-19 00:33 | 一般