もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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かかりつけ医?専門医?

もう皆さんもご覧になったと思いますが
先日こんなニュースが流れました.

------毎日jp 2008. 4. 22
救急搬送:心疾患、専門病院満床でかかりつけに…男性死亡 
遺族、判断に疑問 /群馬 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20080422ddlk10040116000c.html

  渋川市の男性(当時69歳)が心臓疾患で救急搬送された際、
 家族が希望した専門病院が満床だったためかかりつけの病院に運ばれ、
 通報から31時間後に死亡していたことが21日、分かった。
 遺族は「容体を見れば心臓疾患と分かったはず。
 他の専門病院に運ぶなど最善を尽くしてほしかった」と
 救急隊の判断に疑問を抱いており、
 専門家からは「救急隊の教育が足りない」との指摘も上がっている。

このような記事もあります.
救急車「たらい回し」にひそむ国の「姥捨て」無策
: 私見「クローズアップ現代」 :J-CAST テレビウォッチ
http://www.j-cast.com/tv/2008/04/23019421.html

 本来、救急医療のための一般病床が療養病床的な役割まで
 果たさなければならないのだ。
 「療養型の施設、病院を充実させてほしい」
 「昨今は救命医療に対して手厚い診療報酬がつくが、
 救急病院の受け皿にも手厚い手当をしてほしい」と
 救急医療の現場は口をそろえた。
 このままでは入院ベッドは手の届かない存在になり、
 救急車は立ち往生、誰もがベッドを探して
 電話しつづけるという"戦場"の日も遠くないかもしれない。

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いわゆる「かかりつけ医」、いつも通院して見てもらっている
医師が患者さんの状況を把握しているというのが
一つの理想です.

救急搬送の際にも、「かかりつけの患者さんです」
と救急隊から一報が入ったりします.

一口に「かかりつけ」といってもいろいろなレベルがあります.
1)自分の身内や知り合いが通院している.
  ただし自分はかかったことはない.
  →このような場合でも かかりつけと表現されることがあります.

2)風邪とか胃腸炎とか、あるいは眼科などで
  病院にかかったことはある.
  ただし内科や循環器、外科など主要な科にはかかったことはない.

3)病院に通院して薬をもらっているが
  決まった担当医にかかってはいない.
  仕事が忙しくて、なかなか決まった日に外来に通えない.

4)同じく病院で薬をもらっているが
  検査やドックは、他の病院でやっている.
  →よく職場の人間ドックで高脂血症や高血圧を
  指摘されて来られた方が このパターンになります.
  内服を開始しますが、検査はよそでやります、と
  言われる方が時々みえます.

5)病院に通院して、できるだけ決まった担当医に
  かかるようにしている.
  ただし先生の専門が何かよくわからない.
  →たまたま最初に見てもらった先生がよくて
  そのまま通い続けることが多いと重います.
  難しい病状でなければ ほとんどの場合 大丈夫ですが
  結果として、脳外科医や外科医が糖尿病の治療をしたりと
  内科医が整形外科の薬を出したりと
  そんなことが起こってきます.

6)病院に通院して、治療を受けている.
  病気の説明、指導も十分に受けている.
  緊急、時間外おn対応についても指導を受けている.
  専門外の疾患についても相談している.
  他科での治療の内容も、主治医に把握してもらっている.
 
まだまだいろいろなレベルがあると思いますが
皆さんはいかがでしょうか.

私が今の病院に赴任した時には
たとえば高血圧の患者さんで、家庭血圧を測定している人は
非常に少ないという状況でした.

内科系の先生が少なかったという病院側の事情もあったのですが
高血圧、糖尿病、高脂血症という
循環器にとって重要な慢性疾患の管理に
実に様々な先生がいれかわり立ち代わり診療にあたっているという
状況では、病気の良好なコントロールというのも
なかなか難しいと思いました.

できるだけ一人の先生に.
専門的治療を必要とする疾患は、各専門の先生に.
血圧や糖尿病、高脂血症など自己管理を必要とする疾患については
手帳をしっかりと記載しt自己管理を行うこと
などなど、繰り返し患者さんにお願いしてきました.

これが私の考える「かかりつけ」の形でもあります.

緊急や時間外の対鵜の際に
普段かかっている病院や施設の情報にいかに迅速に的確に
アクセスできるかどうかが、重要な一つのポイントであると思います.

例えば 狭心症でステント植え込み治療を行って
通院されている方であれば
なにかあった場合には、治療をうけた「かかりつけ」の専門病院に
かかるのが一番別そであると思います.

とはいえ現在の医療の現状では
各科専門医が24時間、365日対応可能な施設は
かなり限られていると思います.

私たちのような民間病院では、少ないスタッフで
救急、時間外を対応しているため
時間外対応、救急対応の初期対応は、当番医があたることになります.

循環器疾患については、少数精鋭でもスタッフの個人的、
超人的努力によって、なんとか24時間対応、365日対応を
目指しています.

カテーテル治療を行っている病院では、どこの施設も
私たちと同じように、緊急、救急対応作りに
意を尽くしていると思います.

私が考える理想の「かかりつけ」医というのは
上で紹介した6)の状況です.

少なくとも、かかりつけ医 というからには
自分の体調、病状をどれだけ正確に、リアルタイムに
把握してもらっているか、ということだと思います.

時々、外来で、調子悪いときには
いつでも病院に来なさい、と患者さんに声をかけている風景を
よく見かけますが、これだけでは片手落ちだと思います.

本当のかかりつけ医であれば、もっと具体的な指示をだすべきであり
例えば 担当医、専門医が不在の時にはどうするのか.
より具体的な指示を、例えば外来のカルテに
あらかじめ指示をしておくとか
救急、時間外スタッフに 具体的な対応を伝えておくことが
必要だと思います.

「なにかあったら病院に来なさい」といわれたので来ましたと
夜間の時間外に患者さんが受診されて
いざカルテを見てみると、カルテの記載が不十分であって
病状がさっぱりわからず
最悪の場合は、誰が主治医なのかわからず
主治医とおぼしき先生に電話しても、つながらず...最悪!

病院にかかる、かかるつけ であるということは
こういう緊急の際に困らないようにすることです.

循環器でカテーテル治療を受けられた患者さんについては
カテデータベース、治療データーベースなどにより
患者さんの状態を把握するように努めています.

救急で初期対応が難しい場合でも
他施設からの問い合わせに、きちんと病状説明できるように
普段から準備は怠りなく行っています.

名医は、患者さんが作るとよくいわれることです.
同じ文脈において
よき「かかりつけ医」も患者さんが作るものだと思います.

自分がかかっている病院の担当医が
どのレベルのかかりつけであるか、
今一度チェックされてはいかがでしょうか.

私たち循環器スタッフは
よりよき かかりつけ医になるべく
皆さんのご意見を真摯に受け止めて努力をしたいと思います.

追記;「緊急」じゃない救急車利用が患者を殺すのか:
    私見「クローズアップ現代」 :J-CAST テレビウォッチ
  http://www.j-cast.com/tv/2008/04/24019443.html

 限られた医療資源を地域でどのように有効に使っていくか.
 救急トリアージの問題は、限られた医療資源の観点から
 地域全体のシステムの構築が必要です.
  
 ー東京消防庁はまた「救急搬送トリアージ」という
 新しい試みを始めた。
 7つの軽症(手足の切り傷、やけどなど)を基準に、
 現場で同意があれば、引き返すというものだ。
 「緊急性がないときは、運ばないこともありますよということ」と
 同庁はいう。が、実際に適用したのは半年間で100件、
 わずか0.02%にすぎなかった。
 「現場で断るのがいかにむずかしいか」ー

 救急搬送トリアージを地域全体のシステムとして
 構築してことがこれからの課題であると思います.

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もし私が病気になった時の主治医は、同僚の内科医にと
もう決めています.
by yangt3 | 2008-04-25 00:04 | ニュース