もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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良いチームのために

チーム医療の必要性が叫ばれて久しいです.

チーム医療とは
医師を中心、頂点とした医療の遂行ということでなく
医療スタッフがお互い対等に連携し、患者中心の医療を
実現しようとすることです.

欧米では、すでに各医療分野、救急分野において
このチーム医療の考えの元に実践が行われています.

チーム医療について、これまでにいくつか記事を書いていますので
よろしければごらんください.

1)チームと仲間ー看護週間によせて
 http://tomochans.exblog.jp/3604815

2)看護師、薬剤師、医療スタッフの役割拡張を!
 http://tomochans.exblog.jp/3960017

日本のこれまでの現状では、医師をトップとしたヒエラルヒーが
形成され、特に地方や、医師の数が少ない地域では
医師に遠慮して自由な意見交換ができていないということもあります.

日本の法制度の現状では、ほとんどの医療行為が医師の指示のもとで
行う必要があるとされています.
スタッフ不足に悩む医療現場において、こうした長年の医師を主とし
他のスタッフを従とする意識が続いているゆえんです.

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限られた専門家集団だけの議論が時として
重箱の角をつつくような話に終止したり
現場のニーズから乖離したりすることがあります.

よくあることですが、医師に対しては、「大丈夫です」といいながら
看護師さんや医師以外のスタッフには
いろいろと体の不調を訴える患者さんは
けっこう見かけます.

医師を頂点とする医療モデルでは
いわゆるパターナリズムに陥りがちです.

つまりは「黙って、俺の言うことを聞け!」とか
「勝手なことをするな!」とか
「よけいなことはしなくていい!」とか、そんな感じでしょうか.

その根底には、医師が全能であり、チームスタッフの中で一番優秀であるという
幻想があります.

これは本当に幻想であって、医療の専門分化の中では
特定の分野でみれば各専門スタッフのほうが
実際的な知識が豊富なことはざらにあります.

例えば臨床薬剤師のほうが、患者さんへの薬の説明や服薬指導は
慣れています.

例えば臨床栄養士は、患者さんへの栄養指導や栄養評価の
トレーニングを受けています.

例えば理学療法士は、患者さんのリハビリに携わる専門職種です.

医師は医師でなければならないことを行うというのが
チーム医療を進めるためにあたって必要なことだと思います.

そのためには、チーム医療を日本でももっと積極的に取り入れるべきで
そのための法整備も進める必要があります.
同じ文脈で、救急関連の法整備も進めて
救命救急士の仕事ももっと専門性をいかせるように
救急での即時対応が可能なように、可能な救急手技の認可の早期実現も
必要です.

チーム医療の新しいリーダーとしての医師の役割を考えてみると
やはり監督、もしくはプレイングマネージャーということでしょうか.

残念ながら、専門職たる医師間には、科別の壁があり
いわゆる医師の裁量権の名のもとに
医師同士の自由な意見交換とかが、なかなか難しい現状があります.

私の努めている病院でも例えばリハビリカンファレンスとか
透析カンファレンスとか、行われていますが
医師以外のスタッフの意見統一というのは
話し合いの機会さえあれば、割りと簡単な印象です.

やはり問題は医師かもしれません.

内科、外科、脳外科、整形外科、放射線科、麻酔科などなど
いろいろな専門科の総合的な治療が必要な局面において
医師集団の意見をチームとして集約するためには
かなりの強いリーダーシップが必要になります.

医師と医師とのプライドの狭間に
患者さんが置き去りにされることのないように、と思います.

私たちの循環器の分野でいえば
例えば重症の狭心症の患者さんを、カテーテル治療で内科的に治療するのか.
バイパス手術で外科的に治療するのか
その判断は、チーム医療として、治療方針を考えていくということが
大切であるということです.

重症狭心症症例いおいて、いわゆる外科治療か、内科治療かについては
いまだに結論がでていない部分もあり
現場の医師としては常に悩む所ではあります.

わが病院では、少数精鋭のスタッフを糾合して仕事にあたらねば
とても現場を回せない状況であり
医師個人個人の思いは別として
チーム医療を押し進めなければ仕事になりません.

これからの時代にチーム医療の中で医師の責任、法的責任がどのようなものか.

先日こんなニュースが報じられました.

チーム医療の説明責任は? 最高裁、初判断示す - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080424/trl0804242056012-n1.htm

 外科医や麻酔医、看護師らが連携して医療を行う
 「チーム医療」の総責任者が、
 患者に手術の危険性などを説明する義務を負うかどうかが
 争点となった訴訟の上告審判決が24日、
 最高裁第1小法廷であった。
 甲斐中辰夫裁判長は「主治医の説明が十分ならば、
 総責任者は自ら説明しなかったことの責任を負わない」
 との初判断を示した。
 その上で、総責任者個人の説明義務違反を認めた
 2審大阪高裁判決を破棄、主治医の説明が十分だったかなどを
 審理するため大阪高裁に差し戻した。
 訴訟は、近畿大学医学部付属病院で平成11年、
 心臓手術を受けて死亡した男性の遺族が、
 チーム医療の総責任者だった医師らに損害賠償を求めたもの。
 1審大阪地裁は遺族の請求を退けたが、
 2審は「総責任者は手術の危険性を
 説明する義務があったのに怠った」として、
 330万円の支払いを命じていた。
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各科医師、そして各チームの専門職が
十分に腕を震えるように
それをささえる法的整備早く望まれる所です.

各メンバーは、スタッフの一員として、それぞれに腕を磨いて待ちましょう.

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by yangt3 | 2008-04-27 08:15 | 一般