もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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SiCKO シッコ

マイケル・ムーア監督の話題の映画「シッコ(SiCKO)」を
DVDで観ました.

米国の医療問題についてのドキュメンタrー映画です.

アメリカの医療が、進んだ医療、最高の医療として
日本では、よくモデルとして取り上げられるのですが
今のアメリカ医療の現状と問題点を
マイケル・ムーアが切り込み取材で暴いた作品です.

とはっても、別に肩ひじ張らなくても、細かいこと考えずに
映画として楽しめる内容です.

アメリカの医療問題を通じて
人と人が助け合うことの意味を深く考えさせてくれます.

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この映画の内容は
突撃取材で知られるマイケル・ムーア監督が、
米国の医療問題をあつかったドキュタリー映画です.

国民健康保険が存在しない米国では、
民間の保険に加入することがベストだと思われているが、
実際は保険会社は利益重視で、いざ保険金となると、
過去の病歴をあげ、手術を実験的だと判断し…と、
できるだけ保険金がおりないように画策するという
現実が、映画では描かれています.

儲け主義、営利主義の保険会社の経営方針により
何人もの保険加入者が、必要な医療を受けられずに
何人もの患者さんが、命を落としていくという現実が描かれます.
入院費用が支払えないから、
病院を道に捨てられる事実が淡々と描かれます.
(同様の事件は、先日日本でも問題になりましたが)

行き詰まったアメリカの医療と対比して描かれているのが
フランスの医療であり、イギリスの医療であり、
キューバなどの充実した医療制度です.

金の切れ目が命の切れ目という
映画的ではありますが、悲しいことにそれが現実である
アメリカの医療の負の部分を
あからさまに描き出しています.

皆保険制度を実践している日本の医療について
マイケル・ムーアの映画に取り上げられなかったのが
非常に残念です.

この映画を観る限り、日本がアメリカの医療制度を目標として
モデルとすることは、よくないことであると痛感させられます.

後期高齢者医療制度や年金問題を抱えた
この日本の医療の行く末が本当に心配です.

もし日本がアメリカの医療保険制度を取り入れるのであれば
もはや日本で暮らす意味はない、と思います.

もはや日本の医療の崩壊は歯止めがきかないのでしょう.
後期高齢者医療の問題もこうです.

1)東京新聞:後期高齢者医療の改善に課題 減免拡充なら混乱も:
  社会(TOKYO Web)
 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008042990105348.html

  後期高齢者医療制度をめぐり、福田首相から
 「国民目線での対応」を求められた厚生労働省は28日、
 改善点の検討を始めた。
 しかし、法改正を伴う制度そのものの見直しは困難。
 保険料減免措置の拡充などは可能だが、
 分かりにくい制度がさらに複雑となり、
 新たな混乱の引き金となる恐れもある
 (中略)
  年金からの保険料の天引きについても反発は強いが、
 厚労省幹部は「天引きをやめれば徴収コストが増えるだけ」
 と否定的。全員が満足できる保険料や制度にするのは至難の業で、
 厚労省側は
 「何をどう改善することになるのかまだ見当がつかない」としている。
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これでは事態の改善は望めそうにもありません.

さらに衝撃的なニュースもあります.

2)ジェネリック医薬品:生活保護者に安価薬 「違反者」割り出し徹底
 - 毎日jp(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/science/news/20080427ddm041040173000c.html

  生活保護受給者に対してジェネリック(後発)医薬品の使用を
 事実上強制する通知を厚生労働省が自治体に出していることが
 明らかになった。背景に医療費抑制を迫られる“国の懐事情”があり、
 通知書でも「後発医薬品は安く」「医療保険財政の改善の観点から」など、
 お金にかかわる文言が並ぶ。
 一方、指導に従わない生活保護者を割り出すため、
 薬局に1枚100円の手数料を払ってまで
 処方せんを入手するとしており、なりふり構わぬ様子がうかがえる。
 (中略)
 国は後発薬の使用を生活保護者だけでなく国民全体に呼びかけているが、
 窓口で3割負担をする患者は調剤薬局などと相談して
 先発薬を選ぶこともできる。
 しかし生活保護者は「医学的理由がない」と判断されれば、
 保護の停止や打ち切りにつながりかねず事実上、
 選択権が奪われた形だ。
 ある自治体の担当者は「停止や打ち切りにつながることを、
 どういう形で受給者に説明するか慎重に検討したい」と
 戸惑った様子で話す。
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生活保護者に限定した医療費抑制政策は
まさしく弱者切り捨ての何者でもないと思います.

まさしくマイケル・ムーア監督の映画に描かれたように
「あなたには、この薬の使用は許可されていません」
ということが、いままさにこの日本で行われようとしているのです.

たかが薬されど薬です.

医療亡国論を唱える厚生省が
医療費抑制を迫られる“国の懐事情”から、さらなる
医療の選別がなされないという保証はどこにもありません.

日本でもおなじく金の切れ目が命の切れ目になるのでしょうか.

マイケル・ムーア監督のシッコの映画では
9.11 の救急、救助活動に従事して、その後崩壊したビルの粉塵被害により
病気となった救命士、消防士たちが描かれています.

理想の医療を求めてキューバにわたった彼らが
キューバの救急隊、消防署を訪問するシーンが描かれていました.

9.11で、あなたたちが救助活動をしているとき
私たちは、応援に行けなかったが世界中の全ての人たちが
心は一つで兄弟だったのだと、彼らが話します.

アメリカの医療よりどこの医療が優れているかという問題ではなく
人と人とが当たり前に助け合える社会でありたいという
マイケル・ムーアのメッセージが重要なのだと思います.

この日本で老後を安心して暮らせるのか.
もし自分が死んだ後も、自分の家族や子供たちが
安心してこの日本で暮らせるのか.

今は不安な気持ちで一杯です.

日本は、医療亡国論を捨てて、医療立国となるべきです.

私が現役医師として働ける、これからのわずかな時間を
少しでも状況改善のために頑張れればと思います.

追記;その後 ジェネリックの使用は強制ではないとの答弁が
  あったそうです.

3)ジェネリック医薬品:「生活保護には安価薬」問題 
 厚労相「通知改める」 - 毎日jp(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/science/news/20080429ddm002040054000c.html

 舛添厚労相は「通知を見ていると、文章が役所的で、
 『生活保護の人は後発医薬品にしなさい』と
 取れるような文章があった。
 国民の目線に立っていない文章は直ちに改めさせる」と述べた。

この日本で、こんなことがあってもよいのでしょうか

4)asahi.com:「医療費上がり大変」58歳、87歳母と無理心中か - 健康
http://www.asahi.com/health/news/TKY200804210284.html
by yangt3 | 2008-04-30 00:02