もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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高齢者の方の治療

私の勤務する病院でも高齢者の方の心臓病の治療が
増えています.

病院がもともと脳外科を中心に始まったという歴史上
脳卒中の患者さんがメインでしたが
循環器診療を本格的に開始したこの数年で
心臓病の患者さんもかなり増えてきました.

高齢者の方の心臓病に対しても、可能な限り
カテーテル治療を行っています.

高齢者の方々の特徴なのでしょうが
病気となっても、自宅でぎりぎりまで我慢されることが
多いようです.

急性心筋梗塞となっても、自宅で我慢して数日してから
やっと病院に来院.
病院に搬送された時には、ひどい心不全となって
大変な状態、ということもよくあります.

脳卒中も他の病気も、高齢者の方は
ぎりぎりまで我慢される方が多い気がします.

家族に迷惑をかけたくないから、っていわれるのですが...

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家族の方にも、もう年だから、と言われることが多く
さてやっと病院に運ばれて、いざ治療を、と思っても
ご本人や家族の方の様々な思いが交差することになります.

高齢者の方は、さまざまな複数の病気を抱えていることがあり
たしかに治療に難渋することも事実です.

例えば高齢者にガンが見つかったとしても
若い方のように、手術に耐えられるかどうか
難しい問題があります.

手術そのものがうまくいっても、高齢者の方では
術後に肺炎や様々な合併症を起こしやすいため
手術がうまくいって命を落とすということも
あり得ることです.

高齢者に多くみられる転倒による骨折も問題です.
大腿骨頸部骨折などは、高齢者の方がちょっと転んだだけで
発症することがあります.
最悪の場合は、人口骨頭の手術となるわけですが
同様に手術の侵襲により、術後の経過は本当に心配です.

最近、高齢者の心臓病を診ることが多くなりました.
80代以上の方で重症3枝のような
バイパス手術を必要とする心臓病の場合は
治療方針に本当に悩みます.

バイパス手術も、オフポンプと呼ばれる
低侵襲の手術が行われ、麻酔の進歩もあり
高齢者の方でも安全に手術が行われるようになっています.

もちろん可能であれば、できるかぎり
カテーテル治療を行えるように努力します.

先日、救急搬送された高齢者の急性心筋梗塞の方は
なんとかカテーテル治療で
無事に元気になりました.

高齢者の方の急性心筋梗塞の治療も
・いかに早く病院を受診するか
・いかに早くカテーテル診断、カテーテル治療を行うか
が重要です.

高齢者の方でも
良い条件であれば、カテーテル治療で
急性心筋梗塞を乗り切ることは十分に可能です.

もともと元気な方であれば、高齢者であっても
カテーテル治療が可能です.

呼吸器疾患がある、喫煙している、その他の内科疾患がある
などの条件は、治療の予後に影響するでしょう.

急性心筋梗塞を引き起こす病変の状態も重要で
3本の冠動脈がぼろぼろであれば
本当に治療が大変です.

特に左冠動脈、左前下行枝と呼ばれる血管が
病変となった場合には、治療後にもひどい心不全や
心原性ショックなどとなり
こちらも治療に難渋することがあります.

さらに治療が遅れれば遅れるほど
心機能も体の状態も悪くなるため
せっかくカテーテル治療を行っても、その後の治療に難渋します.

極端なことをいえば
高齢者の方こそ、若い人以上に
治療は時間の勝負のような気がします.

ご存知 Kim先生の「救急科専門医の独り言」の中の
記事です.

 末期癌の人の治療をどうするか?
 http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2008-05-26

非常に考えさせられ参考になります.

高齢者の治療も同様であって
結局の所は、治療方針や患者さんの命について
患者さんご本人や家族が決められるものであるということです.

循環器の医者として協調しておきたいことは
たとえ高齢者の方が急性心筋梗塞となっても
迅速なカテーテル治療で救命できる可能性もあるということです.

もう年だからとあきらめずに
治療の可能性も考えて頂きたいと思います.

高齢者の方の治療は、たとえカテーテル治療がうまくいっても
その後の治療経過で、さまざまな合併症を起こしやすいのも事実です.

KIm先生と同様に
病状や治療方針をきちんと説明させて頂いて
本当に高齢者の方に一番よい方法を
(苦痛をとってあげるというのも大切なことだと思います)
考えていきたいです.
by yangt3 | 2008-05-30 00:43 | 一般