もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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患者の思い、医者の思い

循環器の仕事は、お薬の治療だけでなく
カテーテル治療やペースメーカー植え込みなど
手術に相当する治療もかなりのウェートを占めています.

狭心症で来院した患者さんが
冠動脈造影検査で狭窄が見つかった場合には
よほどのことが無い限りは
狭窄した冠動脈をステント植え込み治療などを行います.

脈が遅くなる(徐脈)の患者さんが来院すれば
ペースメーカー植え込み治療を行います.

その他にも、現在の循環器診療においては
薬剤治療以外の様々な治療オプションが可能になっています.

そんな中で、薬の治療はいいが
カテーテル治療は絶対いやだ、といわれる患者さんが
時々おみえになります.

同じようにペースメーカーの適応なのにもかかわらず
ペースメーカー手術はしたくないと
言われる患者さんもおられます.

もちろん薬を飲むのも 嫌だと言われる方も
少なくはないです.

こうした患者さんたちの希望を聞くと
循環器の医者としては、本当に困ってしまいます.

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例えば長い糖尿病歴を持つAさんの場合は
ある時、狭心症症状でもって
外来を受診されました.

症状からは明らかに狭心症であって
本来はすぐにカテーテル検査だったのですが
どうしてもカテーテルは嫌だということで
心臓CTを施行しました.

心臓CTの結果
冠動脈の3本の血管の全てに動脈硬化があり
いずれもステント植え込みが必要な病変だと
いうことが判明しました.

さあそれから、患者さんと私の話し合いが
続きます.

患者さんは、お薬をもらったら
狭心症の症状はよくなったので
これ以上、カテーテルや手術は受けたくないの
一点張りでした.

おどしてもすかしても、なだめても
なにをしても、その患者さんの意思を曲げることは
できませんでした.
ご家族の方にも説明して説得してもらいましたが
ご本人の意思を変えることはできませんでした.

以来、狭心症のお薬だけは、きちんと服用されて
私の外来に通院を続けられています.

Aさんが私の外来に来るたびに
いや、外来と外来の合間にも
いつ救急車で病院に緊急搬送されるかと気が気ではありません.

当の本人は、全然気にするふうもなく
最近、調子も良くて、胸痛もないなあ.
もうすっかり直ったみたいだなあと
笑顔で話されたりします.

相変わらずカテーテル検査もカテーテル治療も
絶対いやだといいながら
外来には、きちんと通ってきてくれています.

私の外来に通院されて2年が経過し
その後、症状の悪化は見られずに本当にお元気で
びっくりします.

狭心症発作でもって救急搬送された時には
有無をいわさずにさっさと
カテーテルで治療しなければと
心で思いながら
Aさんとの付き合いは続いています.

今日の治療指針や教科書に書いてある通りには
実際の患者さんの診療は
うまくいかないことも多いです.

患者さんたちの、いろいろな思いを
なんとか少しでも多く組んであげて
少しでもよい治療をしてあげなければと思います.

患者さんの満足度と医療スタッフの満足度が
一致しない場合があるというのが
医療の難しいところかもしれません.
by yangt3 | 2008-06-06 00:04 | 一般