もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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医療とエコロジー

学会に参加する楽しみの一つに
たいていの学会や研究会で併設されている
医学書販売ブースを覗くことがあります.

循環器関連の学会であれば、関連する医学書が
新刊も含めて一同に集められているので
けっこう重宝します.

分厚い洋書なども展示されているので
こちらも実際に手に取って中身を見ることができるので
地方の循環器医師としては、けっこう助かっています.

なんといっても医学書を置いてある専門書店に出かけるには
街まで出かけなければならないですから(笑)

今回は、ちょうと買いそびれていた雑誌を
CTO Clubに参加したついでに、購入することができました.

Coronary Intervention 2008年3月号

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メディアルファ
Slender Club Japan Slender PCIのすべて 後編

私が購入した時には、書棚に4〜5冊置いてあったのですが
帰り際に覗いてみたら、1冊だけになっていました.
けっこう売れていました.




この雑誌では、タイトルにあるように
スレンダークラブの中心メンバーの方々が
日頃の活動の内容を論文にして書かれています.

学会でご一緒した pentangle 先生もogatan 先生も
この特集号に論文を書かれています.
(さっそく拝読しました)

ちょうどこの雑誌の中に
ちょっと興味のある論文が掲載されていました.

「Slender PCI による経済効果」
「Slender PCIによる患者の安全と苦痛の評価」
の2本の論文です.

くわしくは、雑誌の方をみていただくとして
要点だけでいうと
スレンダーシステムと呼ばれる細径システムで
かつ大腿動脈アプローチではなく橈骨動脈アプローチで
治療を行うことによって
患者さんの苦痛が軽減され安全性が高まるということです.

さらにはスレンダーシステム、細径カテシステムの使用により
患者サービスの向上とコストダウンにつながるということです.

当院でもほとんど橈骨動脈アプローチで行っており
たまに大腿動脈アプローチを行う感じです.

自然と大腿動脈アプローチを余儀なくされる方は
重症な方が多い傾向なり
橈骨動脈アプローチに比べて
IABP駆動が必要となる率も高い印象です.

そんな風に自分の経験上も、
スレンダーで橈骨動脈アプローチの方がよいと感じているので
ちょっと印象に残りました.

さらにいうとスレンダーでエコロジーに
つながるでしょうか.

ちょうど最近読んでいたのがこの本です.

偽善エコロジー
「環境生活」が地球を破壊する

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幻冬舎新書
武田 邦彦 著

 いわゆる「地球に優しい生活」は、
 じつは消費者にとって無駄でしかない。
 「エコバッグにすると、かえって石油の消費が増える」など、
 環境を悪化させ、国や自治体の利権の温床となっている
 身近なエコ生活を一刀両断する。

この諸を読むとエコロジー、リサイクルという言葉や活動に対する
さまざまなホントとウソが分かります.
本当のエコを実践していくために何が必要か
それを自分で考えていくための
具体的な内容が書かれています.

医療の分野でエコロジーを考えるにあたり
一番大切なことは
患者さんの安全性を犠牲にしてはならないということです.

例えば最近、ニュースで騒がれている
採血器具使い回しの件もそうです.

エコロジーの世界では、リサイクル、再使用が必要とされるのですが
医療の世界では、再使用ということはほとんどありません.
患者さんに直接使用される物品
点滴、注射針、採血器具、カテーテルなどなどは
基本的にディスポーザブルが主流です.

もちろん特別な医療器具や手術器具については
ディスポとならないものもありますが
こちらは、厳重な滅菌管理が行われて安全性が保たれています.

治療の安全性を高め、患者さんの苦痛を減らし
よりよい治療があれば理想的です.

スレンダーシステムは、ひとつの方向性を示しているように
思います.

カテーテル治療は、やはりまだまだ職人技という感じがします.
マニュアルをみれば誰でもできるというものでもなく
いろいろな学会や研究会に参加して
カテオペレーターとしてのレベルをあげていくしかありません.

以前に見学にいったシンガポール国立大学病院では
一部のお金持ちだけが、トップレベルの医師に
ふんだんに高額な医療費を使って治療を受けていました.

一般市民は、それぞれの所得に応じて
例えば医療費を負担できなければ血管内超音波も使えず
最新の薬剤用出ステントも使用できず、
治療する医師も選べないというような状況でした.

医療費削減もエコロジーもそれぞれに大切なことだと思います.
しかしもし自分が患者の立場だとすれば
やはり少しでも良い治療を受けたいと思うのではないでしょうか.

もし医療の現場に経済効率や安全性を無視したエコロジー(リサイクル)が
導入されたら
ちょっと大変なことになるように思います.

以前は治療できなかった病気が
医療の進歩で治療できるようになる.

手術しか方法がなかった冠動脈の閉塞が
カテーテルで直るようになる.

何日も安静を強いられていたものが
短い安静時間で治療が可能になるなど

やはり医療の室を少しでもあげることに努力することが
私たち医療者の目標だと感じています.
by yangt3 | 2008-06-23 00:02 | 一般