もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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新しい対側シース Destinationの使用経験

循環器の仕事として
心筋梗塞や狭心症に代表される冠動脈疾患の
カテーテル治療だけではなく
末梢動脈疾患の治療も行っています.

心臓のカテーテル治療については
患者の皆さんの関心も深く、早めに病院を
受診されて、治療も症状がひどくなる前に
行うことができます.

末梢動脈疾患、とりわけ下肢の動脈硬化については
なかなか病院に来ていただけません.

とりわけ高齢者の方々は、歩行時に足が痛くなっても
年のせいだからと、我慢されてしまいます.

けっこう病気が進んだ状態で病院を受診される例も多く
カテーテル治療を担当する側としては
いつもため息がでてしまいます.

そんなわけで下肢動脈に代表される末梢動脈疾患の治療については
かなり力を入れているつもりです.

もっかの悩みとしては、心臓のカテーテル用の医療器具に比べて
末梢動脈用の治療器具は、まだまだ使い勝手が悪いことです.

今回、テルモさんから 「Destination 」という
けっこう優れた対側シースを使ってみたのでちょっとお知らせします.

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ここで今回取り上げる
下肢動脈の末梢動脈疾患は、ASO(閉塞性動脈硬化症)と
呼ばれています.

一般の方向けにこちらにわかりやすい情報サイトがあります↓

 閉塞性動脈硬化症 情報サイト e-aso.info
 http://e-aso.info/

大動脈の分岐部直後より完全閉塞となっている病変では
閉塞部の末梢の大腿動脈から穿刺を行って治療を行うだけでは
なかなかうまく治療ができません.
(右総腸骨動脈の完全閉塞例

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そこで閉塞部の上方(近位部)からも治療を行うのですが
この例では、起始部直後での閉塞であるため
反対側の大腿動脈からのアプローチでは
やはり治療が不十分となります.

このような場合は上腕動脈または橈骨動脈からもう一本
カテーテルを通して、ちょうど
トンネルを両方から掘り進むように治療を行います.

このようにしてこの例では
無事に治療が完了しました.

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さらに反対側の動脈にも狭窄が残っていますが
この病変を治療する場合、狭窄が軽微であれば
同側の末梢の大腿動脈を穿刺して
下から治療を行います.
これが同側治療で使うシースが同側シースです.

この例の場合では、右側の大腿動脈を穿刺し
腕の血管も穿刺しており、3本目の血管を穿刺するのは
ためらわれます.
こういう場合に右側の大腿動脈のシースを入れ替えて
右側から(対側から)左側の血管の治療を行うことを
対側アプローチといいます.このような場合に使うシースを
対側シースといいます.

こうして最終的に治療が完了します.

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当院では、こうした末梢動脈疾患、ASOの患者さんの中で
比較的高齢者や透析患者さんのしめる割合も高く
つまりは、さまざまな動脈硬化や狭窄が多発していることが
多く見受けられます.

こうした場合に、何カ所も穿刺するのはできるだけさけたい
と考えます.

さらには足の付け根の動脈(総腸骨度脈、外腸骨動脈)だけでなく
足の末梢の動脈(大腿動脈、膝窩動脈、脛骨動脈)など
足の先までの狭窄が合併していることもあります.

このような足の上から下まで狭窄を認める場合に
私は、今でも対側アプローチによる治療を愛用してます.

問題は、こうした対側アプローチ用の血管シースに
あまりよいものがなかったことです.
問題点としては、
・シースが固めのことがあり、挿入が困難な場合がある
・上記の理由で対側の血管に送り込むことが困難なことがある.
・シースの手mのとの止血弁のできが、あまりよくなくて
 治療中に血液がもれてしまう.
などなどです.

とりあえず今までは、利用できる対側シースを文句をいいながら
我慢して使っていました.

今回、テルモさんからの新しい対側シースを
治療に使う機会があったので
ここで使用感などを書いてみたいと思います.

穿刺は、まず通常タイプの血管シースを使用して
治療する側と反対側の大腿動脈から行いました.

造影カテを使って反対側から病変側の動脈に挿入し
造影を行い、その後長いガイドワイヤーを
病変側の動脈に留置します.

このガイドワイヤーを使って
対側シースを進めていきます.

これまで使ってきた対側シースは、あらかじめ
対側に向けられるように先端がJ 型に曲げた形がついているのですが
それがあだとなってか、シースのできが硬く
皮膚からの挿入も対側側の血管へシースを進めるのもかなり
難儀することが多かったのでした.

今回使用した Destination 対側シースは、通常のガイドカテと
同様の感覚で、かなりするすると抵抗なく
目的とする部位まで進めることができました.

動脈硬化の強い、かなり屈曲した血管にも追従できそうな感じです.
ちなみにサイズは、6Frです.

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その後は型通りにカテーテル治療を行ったのですが
一番気に入ったのは、この対側シースの付属の
止血弁のできが とても素晴らしいと言うことです.

これまで使ってきた対側シースでは、
細いガイドワイヤーだけでも血液がもれ
バルーンを入れているときにも血液がもれ
けっこうストレスでした.

この新しい対側シースでは、通常冠動脈の治療で使っている
血管シースやYコネクタと同様で
ほとんど治療終了まで血液のもれもありませんでした.
これは素晴らしいです.

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今回使用した治療用のガイドワイヤーは
Treasureワイヤーで0.018 インチですが
たぶんもっと細いワイヤーでも問題ないかもしれませんね.

こういうできのい対側シースが使えるようになると
本当に治療に幅も広がるように思います.

メーカーさんのいうところの高い柔軟性と優れた止血弁性能が
気に入りました.

あえて苦言を呈せば、先端チップテーパリングの性能を
冠動脈用シースレベルまで高めてもらうこと.

あとは使用のためのTipsとして
シースが柔軟すぎるため、対側から病変側の血管に
かなり深く挿入しないと、デバイス交換を行っているうちに
だんだんとシースが自然に抜けてくるようです.

私たちカテーテル治療に携わる循環器医師は
カテーテル治療を通じて、なんとか患者さんに役立てるように
日々努力をしています.

こうしたカテーテル器具を扱うメーカーさんの方々は
カテーテルデバイスを通じて患者さんや社会に貢献しているという
気持ちを忘れないでいて欲しいと思います.

ぜひ現場ユーザーである現役医師の声で
どんどんアップデートして欲しいです.

新しいアンギオ装置の導入をひかえて
冠動脈診断用の 3Fr カテーテルのよいものを探しています.
また情報があれば教えてください.
by yangt3 | 2008-10-06 00:00 | 一般