iPhoneでガンマ(γ)計算
2008年 10月 14日
重症患者や集中治療、循環期治療で使われる
心血管作動物質、カテコラミンなどのγ(ガンマ)計算です.
例えばショック状態となって血圧が下がったとき
心不全、心筋梗塞で心機能、心拍出量が低下したときなどに
いわゆる強心剤、昇圧剤が使用されるのですが
こうした心臓への薬剤を使用する場合に
医師は患者さんの体重と時間あたりの薬剤投与量を
指示することになります.
たとえば体重50㎏の人にドブタミン300mgを生食に溶解して
総量100cc液を作成し、一時間あたり1ccで投与すると
これが1γ(1μg/ kg/min)です.
つまりガンマというのは、体重(1kg)あたり1分(min)あたりの
薬剤投与量(μg)のことです.
ICU で使用される薬剤としては、ドーパミン、ドブタミン、
ミリスロール、ハンプ、ミルリーラなど沢山の種類がありますが
こうした薬剤の投与量は全てγで指示が出されるわけです.
さてさて前置きが長くなりましたが
わが病院の若手スタッフも、連日このγ計算に頭を悩ませています.
実をいえば、私も研修医の頃は
このガンマ計算に悩まされてきました.
一応、病院の中にガンマ投与量の一覧表があって
それを使えば、とりあえずの指示は出せるわけですが
研修医たるもの、一応いちいちガンマ計算をしていました(笑)
今の若い人たちがガンマ計算で苦労しているのをみると
思わずお父さんの気持ちになって なんとなく
かわいく思ってしまいます.
こうして重症患者さんへの薬剤投与のたびに
ガンマが出てくるので
決まった定型の投与量を病棟で決めておいて
各自それを自分でメモして仕事してます.
決まった投与量の時は、まずこれで問題ないのですが
ちょっと応用を聞かそうとすると、やっぱりガンマ計算です.
心不全があるからトータルの容量を減らしたいとか
体重が違ってきた場合とかですね.
一応こちらには、体重、薬液量、溶液量、投与するγを
入力すると流量が計算できるページがあります.
ガンマ計算
http://homepage3.nifty.com/Nowral/46_Kango/calcgamma.html
あまり話題になっていませんが
実は、iPhoneでも こうしたややこしいガンマ計算ができるんです!
それも無料のアプリで!
それが Medical Calculatorというアプリです.
似たソフトはいろいろ出ていますが、なんといっても
無料というのが強いです(笑)
PCでのWeb ページと同様の機能で
体重、薬液量、溶液量、投与したいガンマ数を入力するだけで
時間あたりの薬液投与量が
さっと計算できます.
けっこう便利です.
いろいろな状況で薬剤投与の応用を考えるときに
活用しております.
実は、こうした心血管系薬液の投与するガンマ数は同じでも
薬液の溶解するやり方が各病院毎で微妙に
違っていたりして
そうした指節間の薬剤の作り方の違いを
計算し直すときにも、iPhoneを使ってさっとスマートにできます.
iPhoneを持っている医療スタッフの人は
ぜひこのアプリを使って活用してください.
もうガンマ計算に頭を悩ませることはないと思います.
ちなみにこちらが Medical Calculatorのサポートページになります.
Medical Calculator
http://doctorcalc.com/medcalc
本当にこのソフトは多機能でして
現在のバージョンで使える項目はなんと58項目になります.
ガンマ計算だけでなく
循環器に関連したところでは例えば
・TIMI Score for STEMI
・TIMI Score for UA/NSTEMI
・Well's Criteria for Pulmonary Embolism (PE)
なんて項目もあります.
実は、私もまだ全部使いこなしていない状態でして
またどんどん活用して記事にしたいと思います
このソフトは、以前に紹介したACLSと同様で
デンバーの救命センターの救急専門医の先生が作られています.
こうしたコアでマニアックなドクターのおかげで
私たちも本当に助かっています(笑)
カテーテル治療に日々いそしんでいる循環器医の希望として
Kissing Balloon Techniqueで使われる
2本のバルーンサイズを簡単に iPhoneで計算できるアプリ
だれか作ってくれないでしょうかね.