もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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幹細胞を利用した気管支移植

スペイン・バルセロナのクリニック医療チームが
幹細胞を利用した気管支移植に成功したという報告が
英医学誌ランセット(電子版)に19日に発表されました.

 1)患者の幹細胞を利用し「気管支」移植に成功 欧州の医師
 http://www.cnn.co.jp/science/CNN200811190030.html

 2)患者の細胞植え、気管支移植成功 拒絶反応なし、スペイン
 http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008112001000264.html

 3)British doctors help perform world's first transplant
 of a whole organ grown in lab
 http://www.telegraph.co.uk/health/healthnews/3479613/British-doctors-help-perform-worlds-first-transplant-of-a-whole-organ-grown-in-lab.html

最後の記事は、英文ですけれど
より詳細な動画を見ることができます.

記事によれば、患者は、結核が原因で左の主要な気管支がつぶれ、
呼吸困難になったコロンビア人の女性だそうです.
 提供を受けた約7センチの気管支を特殊な方法で洗浄し
細胞を除去、結合組織の管だけにしたそうです.
女性の腰の骨から骨髄を採取し、その中から
軟骨などに成長する幹細胞を取り出して気管支に植え、
6月、女性の患部に移植されました.

移植した気管支は正常に機能し、女性は10日後に退院され、
通常は移植後に投与する免疫抑制剤も使用せず、
現在は元気にダンスを楽しめるほど回復したといいます.

幹細胞の技術の応用の進歩は素晴らしいですね.

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この中でCNNの記事が一番詳しいです.

移植の対象となった疾患は、結核による左肺の
左気管支狭窄、狭窄であり、通常であれば左肺切除手術しか
治療方法がない状態でした.

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バルセロナのオスピタル・クリニックの医師パオロ・マキアリーニ氏が、
気管移植手術を提案し、各国の医師らから協力を得て、
移植手術の実施が決まったそうです.

まず、イタリア・パドヴァ大学の医師が、
ドナーから提供を受けた気管から表面の細胞や、
免疫反応に必要な遺伝情報を持つ
「主要組織適合遺伝子複合体(MHC)抗原」を除去.
気管を「骨格」部分だけの状態にしたそうです.

この作業と当時に、英ブリストル大学では
患者さんの腰から骨髄細胞を取り出し、
幹細胞の培養を開始。上皮細胞や軟骨細胞を作りだして、
イタリア・ミラノ大学の医師が、
骨格部のみとなった気管の表面で培養したそうです.

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カスティージョさんの幹細胞から作り出された各細胞が
気管表面をくまなく覆い、移植できる状態になった時点で
今年6月に患者さんの左肺気管支と、
新しい気管支を交換する移植手術を実施したそうです.

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術後の経過は良好で、拒絶反応も見られず
患者さんは2人の子供の面倒も問題なく見られるようになり、
近ごろは夜通しダンスできるまで回復したとのことです.

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本当に素晴らしい治療が可能になりましたね.

今後の移植手術において、今回のように、患者さんの幹細胞から
分化させた組織を使用する治療方法が
重要な役割を果たすようになるのでしょうか.

いろいろな分野、いろいろな疾患、臓器への応用も
期待されるところですが、まだまだ超えるべき技術的問題も
あるようです.

人の大脳組織をES細胞から作り出すことに成功したという
記事もありました.

 4)ヒトの大脳組織 ES細胞で作製…理研グループ
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20081106-OYT8T00244.htm

循環器分野でいえば、ES細胞で心臓組織、冠動脈、血管内皮などを
作成し、動物実験だけではなく
人と同じ心臓組織を用いた実験で
冠動脈病変の研究や、ステント再狭窄の研究などが
劇的に進展することが期待されると思います.

時期アメリカ大統領であるオバマしは
ES細胞研究の推進、研究助成の方針だそうです.

 5)ES細胞研究など現行大統領令見直し オバマ新政権
 http://sankei.jp.msn.com/world/america/081110/amr0811101809005-n1.htm

 日本でも ES細胞研究の発展を大いに期待したいですね.
by yangt3 | 2008-11-21 08:38 | ニュース