もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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地域のクリティカルパス委員会を作りましょう

平成19年4月1日に施行された 第五次医療法改正において
「医療計画の見直し等による医療機能の分化・連携の推進」が
明記されています.

具体的には
  従来の医療計画制度、即ち、急性期病院、亜急性期病院、
  慢性期病院、診療所、在宅といった病院の規模や
  患者の受療行動による流れを見直し、患者のシェアリングに基づき
  地域内で医療が完結できるシステムの構築、
  即ち、地域連携パス等を通じ医療機能の分化・連携を
  推進することで、患者に転院・退院後も考慮した
  切れ目のない医療を提供し、
  早期に在宅生活へ復帰できるようにすること。とされています.
  
医療計画と連動する医療連携体制の構築として
疾患別に次の9つの対策が示されています.
  1)脳卒中対策、2)がん対策、3)急性心筋梗塞対策、4)糖尿病対策、
 5)小児救急医療対策、6)救急対策、7)災害対策、8)周産期対策、
  9)へき地医療対策。 

ここでいう「クリティカルパス」とは
 良質な医療を効率的、かつ安全、適正に提供する為に開発された
 診療計画表のことをいいます.
さらに「地域連携パス」とは、急性期病院から回復期病院を経て
 早期に自宅に帰れるような診療計画を作成し、
 治療を受ける全ての医療機関で共有して用いる表のことをいいます.

こちらが参考ページです.
1)第五次医療法改正
http://www.monju-jp.com/pub/iryouhoukaisei0703.htm

2)急性心筋梗塞対策ー岐阜県の急性心筋梗塞に対する取り組みです.
http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s22706/iryoukeikaku/situpei/chunou_situpei_s3.htm

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熊本県では、県内の病院と県、消防局が一致協力、連携して
急性資金高速研究会を発足させたそうです.

3)急性心筋梗塞研究会が発足…県、19病院、消防局連携
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kumamoto/news/20090110-OYT8T00738.htm

  熊本県内の19病院と熊本県、熊本市消防局は、
  急性心筋梗塞(こうそく)(AMI)に関する調査研究会を発足し、
  1月から調査を始めた。県内で発生するAMIの症例を
  正確に把握し分析することで、発症時の対応や予防に役立てるほか、
  県内の医療体制の整備にもつなげる狙い。
  熊本県は「いつ、どこで病気になっても大丈夫な
  医療体制の構築に生かせる研究」と期待を寄せている。

  AMIは、国が地域の医療連携体制の構築に重点的に取り組むよう
  指定している4疾病の一つ。都道府県に具体的な対策が求められている。

雑誌 呼吸と循環 Vol.57 No.1 2009において
循環器疾患と地域連携の特集が組まれています.

急性心筋梗塞を中心とする循環器救急への対応を
より質の高いものにしていくために、地域連携が重要なことはいうまでもなく
具体的には 地域連携クリティカルパスの構築が
大切なポイントになるということが強調されています.

岐阜県保健医療計画(第5期)によると
急性心筋梗塞診療医療機関(心臓カテーテル対応施設)として
 急性心筋梗塞の疑いのある患者の救急搬送を受け入れ、
 心臓カテーテルを用いた急性心筋梗塞に係る標準的な検査及び治療を
 24時間行うとともに、合併症を防ぎつつ、
 心機能回復リハビリテーションを行う。とされています.

具体的な該当施設の基準としては
 ・診療ガイドラインに則した治療を実施
 ・心臓CT検査や心臓カテーテル検査など
  必要な検査が24時間実施可能
 ・急性心筋梗塞に係る専門的治療が24時間対応可能
  (=心臓カテーテル治療に必要な設備があり、
   治療可能な医師が3人以上常勤、かつ、24時間対応可能)
 ・急性心筋梗塞に係る急性期リハビリテーションを実施
とされています.

マンパワーの充実している大病院を覗けば
基準に挙げられている 人的、設備的基準を24時間満たすことは
なかなか難しいというのが現状です.

私どもの病院がある可児市においては
急性心筋梗塞のカテーテル治療が可能な施設は、数施設しかありません.

可児市内の病院のみで
急性心筋梗塞などの循環器救急に24時間対応しようというのは
人的、施設的には、かなり困難であるといえます.

当院でも、平日や日中はともなくとして
夜間、深夜、時間外はマンパワーの少ない当直体制となり
例えば1名の急性心筋梗塞症例が搬送されたとして
さらにそれ以上の重症患者n受け入れは、事実上困難となります.

そのため循環器救急や重症が重なった場合には
可児市に隣接する美濃加茂市、多治見市などの高次機能病院に
搬送、転院をお願いすることになります.

私たちの病院では、平成20年12月24日に
心臓カテーテル治療のための新しい血管造影装置をリニューアルし
さらには平成21年2月には、心臓CTが導入予定となっています.

地域の民間病院としては、かなり頑張って
循環器救急対応のための設備的基準を達成するべく努力しているのです.

しかしマンパワー、人的資源の不足はいかんともしがたい現実です.

心臓カテーテル治療が可能な専門医師を
24時間常時3名確保するというのは、本当に難しいのです.

私たちとしては、とにかく「自分たちができることを、できるだけ頑張る」
という方針で望むつもりです.

限られた医療資源において地域の医療崩壊を防ぐためにも
地域が一体となった計画的な 医療の「ワークシェアリング」が
必要だと思われます.

ひとつの施設で慢性期から急性期まで、全ての疾患を扱うのではなく
マンパワー、人的、設備的状況に基づいた
地域の医療計画、地域連携の構築が必要だと思われます.

幸いにして、私たちの病院のある可児市内および近隣の市町村には
循環器を専門とする開業医の先生方が沢山おられます.

狭心症、急性心筋梗塞の治療後の
外来通院加療は、たとえばそうした自宅に近い
循環器専門の開業医の先生に診療をお願いするというのが理想です.

治療後の経過観察のためのカテーテル検査、症状悪化時の対応、入院などは
入院施設のある病院で行うということになります.

実のところ、当院では、循環器診療は少数精鋭でマンパワー不足に悩んでおり
カテーテル症例、循環器症例の増加に伴い
循環器外来もパンク状態にあります.

近隣の先生からの紹介の患者さんは、病状が落ち着き次第
できるだけ早く、もとのかかりつけの先生に
お願いするようにしています.

こうして常に数名の地元の循環器専門クリニックの先生と
連携プレーを行っています.

できることならば、さらに一歩進んで
私たちの病院のある可児市における 地域クリニカルパスを
きちんとした形で構築したいと考えています.

地元の消防、救急との継続的な地道な連絡の場も
もっと充実していきたいものです.
関係各位の方々には、よろしくご協力のほどお願いしたいです.

医療設備をいくら整えたとしても
人がいなければどうしようもありあせん.

私たちの病院にさらに魂をいれるために
とにかく、人、人、人が必要です.

地域の循環器ステーション、前線基地として
もうしばらく頑張ってみるつもりですが
本当に補給、後方支援が待ち遠しい毎日ではあります.

私たちの地域で
地域連携クリティカルパス委員会を作りましょう.ぜひ!

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参考までに
信州大学医学部附属病院の胸痛センターのクリティカルパスが
こちらに掲載されています.

虚血性心疾患の「地域連携パス」が稼働中です|信州大学医学部附属病院 胸痛センター
http://dept.md.shinshu-u.ac.jp/i-div.cardio/cpc/path.html

 「薬剤溶出ステント(DES)」
 「ペアメタルステント(BMS)」
 「バルーン形成術(POBA)」の3種類のクリティカルパスが掲載されていて
  とても参考になります.
by yangt3 | 2009-01-15 00:02 | 一般