もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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携帯写真でレポート作成

医学部の講義には、病理学実習、解剖学実習などがあって
実際に顕微鏡を覗きながら様々な標本のプレパラートを
確認しスケッチするという時間がありました.

病理学や解剖学、組織学の教科書をとっかえひっかえしながら
顕微鏡で覗いた画面を、色鉛筆などを使いながら
標本のスケッチを作成したものです.

携帯写真でレポート作成_a0055913_010310.gif


中には要領の良いヤツがいて、先輩の古いスケッチを借りてきて
そのまま丸写しで済ませている人もいました.

顕微鏡での観察はそこそこに、組織学書に掲載されている図を
そのままスケッチしたのは良いのですが
普通の光学顕微鏡では見えるはずもないミトコンドリアまで
書き込んでしまって、担当教官に
「君は電子顕微鏡の目を持っているのかね?」と
大目玉をくらっていたりして、まあなかなか楽しい実習でした.

最近の大学の学生さんの顕微鏡実習というと
私たちロートルとは違い、随分と様変わりしているようです.

 1)これって常識? 細菌の“写メ”でリポート作成
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0901/21/news075.html

携帯写真でレポート作成_a0055913_0101889.gif






 ー携帯電話のカメラのレンズを顕微鏡ののぞき口にあて、
  細菌を撮影する――
  ある大学の農学部で学ぶ学生に聞いた講義中の風景だ。
  撮影した写真は、Wordで作成した観察記録に張り付け、
  リポートとして教授に提出するのだという。

  講義中に携帯カメラで写真を撮ったり、
  リポートに使ったら教授が怒るのではと記者は心配になった。
  だが学生によると、携帯カメラの写真を使って
  リポートを作成するよう教授が指導するケースもあるそうだ。
  顕微鏡で観察したものをスケッチで残すより、
  携帯カメラで撮影した方が手軽で時間も短縮できるためだ。

  学生がソフトバンクモバイルの「913SH」で撮影したという
  歯垢の細菌の写真を見せてもらった。
  細菌の形が確認でき色も鮮明で、
  スケッチを使うよりも正確なリポートが作成できそうだ。
  ほかにも大腸菌のリポートに
  携帯カメラ写真を使ったことがあるという。

  今後は大学のリポートに、携帯カメラを活用するのが常識になるかも!?
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私が学生の頃は、まだまだワープロが主流であって
パソコンといえば、ノートパソコンなんでものはなく
NECの98シリーズと一太郎でした.

640キロバイト(ギガバイトではありません)に
あの昔懐かしい5インチフロッピードライブを2機搭載しているという
代物です.

なんていったって医学部の教養時代には
フォートランの実習がありましたし、ちまたでは
BASIC入門なる本を一般サラリーマンが、通勤途上で
一生懸命に勉強していた時代です.

そんな時代の学生生活では
一番の頼りは、やっぱりコピー!でした.今のようなきれいな
カラーコピーもありませんでした.

医学部の講義にしたって
配付される資料は、ガリ版印刷のものがまだ幅を聞かせていましたからね.

学生自治会とか生協で配られるチラシも
やっぱりガリ版印刷なのでした.

私が過ごした某医学部のある街では
まだコンビニもなく、カラオケもなく、やっと弁当屋があるくらいの
いかにも勉強に専念するしかないという感じでした.

医学部のけっこう高価な教科書を、全部そろえるのはなかなか大変で
先輩のお古をお借りしてなんとか講義と試験を乗り切るというのが
その頃の医学生の普通の過ごし方でした.

私も学生時代は、携帯もなく、パソコンもなく、ワープロもなく
武器は、自分の筆記用具とノートだけでした(笑)

講義で一生懸命ノートを取るのですが
一番肝心なところは、なぜか睡魔が襲ったためか
ミミズがのたくったような字となって、試験には役立たず
やむなく、ぎりぎりに綺麗な字の友人のノートを
コピーして なんとか試験をクリア でした.

いろいろな実習も ノートとスケッチで勉強でした.
リポートも、ひたすら手書きです.
小さい頃に一生懸命にきれいな字を書く練習をしなかったのが
悔やまれる学生時代でした(笑)

今でも カルテの自分の文字を見るたびに悔やみ続けていますが.
子供たちと一緒にボールペン習字でも習おうか
真剣に悩んだりして(笑)

さて医学部を卒業して研修医となっても
Macを手にするのはもう少しあとのこと
研修医生活の大半は、やはり学生時代と同じように
ノート代わりの手帳に、ひたすらメモ、書き込み、スケッチでした.

原書のワシントンマニュアルを、一冊、書き込みだらけで
真っ黒になるまで使ったものです.
いまは、なかなかそこまではやれませんが.

心臓カテーテルの修業時代も、カテの結果はシネフィルだったため
やはりカテ所見用紙には、ひたすら冠動脈を手書きで
スケッチしていました.

携帯写真でレポート作成_a0055913_011198.gif


まあ循環器に限らず、他の科の先生も
胃カメラの所見とか、手術の所見とか
やっぱり手書きのスケッチなのでした.

きれいに彩色されて、まるで教科書やアトラスと見まがうほどの
素晴らしいスケッチを見ると
その先生の力量や人柄までが伺えるようでした.

絵心も 医者の実力のうちと痛感しましたね.

優秀な実力のある先生の手書きのイラストは
一見ぶっきらぼうでおおざっぱなようにも 見えることがありますが
やはり なんというか独特の味があって
要所は押さえてあります.

容姿端麗、治療の腕も素晴らしくて、字もきれいで
理知整然として、カルテのスケッチも美しい先生には
同じ医者仲間としても、ほれぼれしてしまいます.

携帯写真でレポート作成_a0055913_0115618.gif


最近は、MacとiPhoneでカルテもカテ所見も
デジタルコピーで済ませています.

記事にあるように、デジタル画像のほうが見た目もきれいですし.

カテーテル検査を受けられた患者さんにも
カテのデジタル写真を記録としてプレゼントしています.

でもやっぱり きちんと患者さんに説明をする時には
イラストを描きながらのほうが
よくわかってもらえると実感します.

下手くそな走り書きの絵ではありますが
デジタルな写真をそのまま手渡すよりは
今の時代でも 患者さんには 喜んでもらっているような気がします.

あとはもう少し絵心を磨くだけですね!
by yangt3 | 2009-01-23 00:11 | iPhone