もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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すべては患者さんのために

医療の仕事に携わる人間にとって
メイヨー・クリニックという名前は特別な響きがあります.

メイヨークリニックといえば
アメリカ合衆国ミネソタ州ロチェスターを拠点とした総合医療機関です.

1846年にアメリカ合衆国に移住した
イギリス人医師ウィリアム・メイヨー氏とその子息による医療活動から
その歴史が刻まれたのです.

メイヨークリニックは、医療のメッカとして、医療の最後の砦として
全世界から注目を浴びている病院です.

つまりは最良、最強の病院の代名詞でもあります.

「メイヨー・クリニック」を知らない新人さんがいるのは
ちょっと驚きだったりしますが
医療の現場で苦労して,仕事の悩みで行き詰まった時にも
メイヨー・クリニックの実践と哲学と理念が
私たちを助けてくれると思います.

そんなメイヨー・クリニックの秘密が語られた本です.

 すべてのサービスは患者のために
 ―伝説の医療機関“メイヨー・クリニック”に学ぶサービスの核心

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信頼の医療技術そして卓越した患者のケアで
全米屈指の医療機関として世界的に有名なメイヨークリニックが
100年以上の長きにわたり維持してきた
「原理原則」と「ホスピタリティ精神」とは次のようなものです.

 1.利益ではなく、サービスの理想を追求し続けること.

 2.個々の患者のケアと幸福を、第一にかつ真摯に考え続けること.

 3.スタッフ全員が他のすべてのメンバーの専門家としての進歩に
   関心を持ち続けること.

 4.社会の移りゆくニーズに対応して
   変化していく意欲を持つこと.

 5.やらなければならないこと全てに対して
   卓越した結果をめざす努力を続けること.
 
 6.絶対的な誠実さを持って全ての業務を行うこと.

当たり前のようでありながら、医療の現場で
これらの原則を実践していくことは、なかなか難しいのですが
メイヨー・クリニックでは、このクリニックの精神を
全職員が、きちんと実践しているということが素晴らしいですね.

「明るく」とか「笑顔で」とか小学校の黒板に書かれた標語のように
職場で語られるわけですが、現実は
単なる標語でかけ声で終わっているようです.

患者さんのニーズを最優先にするという理念は
実践は難しいのですがシンプルで、医療の本質であると感じます.

さらにメイヨー・クリニックで実践されている
デスティネーション医療(最終目的地医療)についても紹介されています.

デスティネーション医療とは
患者の医学的問題を効率的かつ短時間のうちに処理する
包括的医療システムのことです.

メイヨー・クリニックでは診察を受けた当日に
即座に診断に必要な検査がCT、MR、採血も含めて行われ
初診から2~3時間後には、全ての検査所見が
担当医の手元にそろっているというわけです.

ほとんどの場合には、受診当日に診断が完了し
手術や処置が必要と成った場合には、当日もしくは翌日に
素早く処置が完了します.

これがデスティネーションの威力です.

今の日本の地方の医療現場で、メイヨー・クリニックのような
デスティネーション医療を実践することは
マンパワーに於いても、医療機器の面にもいても
医療費の面でも、なかなか難しいのが現状です.

やるべき理想がわかっているのに、もどかしい思いです.

この本には、さまざまなメイヨー・クリニックでの実践の
エピソードが掲載されています.
その一つをここに紹介します.

 ーメイヨー・クリニックのある心臓専門医が
  メイヨー・クリニックにとって財政的な意味あいを持つ
  決定に直面していた.

  彼が担当していた患者にはペースメーカーの植え込みが必要であった.
  ひとつの選択肢はメディケア(米国の公的医療保険精度)で
  承認されたペースメーカーモデルを使うことだった.

  比較的複雑な手術と、合併症の危険を伴う手術後の数日間の
  入院が必要だった.

  もうひとつの選択肢は新しいペースメーカーモデルの使用で
  手術も簡単な上に、一日の入院で済む.

  しかし新しい後者のペースメーカーは、メディケアで
  まだ承認されていなかったので
  メイヨーはメディケアから医療費の償還をまったく受けることができない.

  しかしメイヨーの医師達にとって、これは全く簡単な選択だったのです.

  患者さんにとって最も良いペースメーカーを使えばよいのです.

  つまりは、留める者と貧しき者が、自分たちの収入に応じて
  この慈善的組織に支払い、一方、メイヨー・クリニックは
  そうした患者を分け隔てなく平等に治療し
  同時に自らの使命を果たし続けるのに十分なだけの収入を得るというやり方だ.

  ちなみにメイヨー・クリニックでは2007年度において
  医療費を払えない患者さんに対して
  5560万ドルに相当する医療を提供したそうです.

  さらに低所得者で医療扶助が必要な患者さんたち、医療費の支払いに
  困っている患者さんたちへの医療として
  驚くべき事に1億8200万ドル以上の医療を
  治療を必要とする患者に無償で直接提供したそうです.

これがメイヨー・クリニックなのです.

医療のひとつの理想を、きちんと実践している病院があるということは
患者さんのみならず、私たち医療スタッフにとっても
大いなる励みと希望となるものです.

諸般の事情や日本の医療事情などから
全く同じ事を行うことは、なかなか難しいのですが
困ったとき、悩んだときに、
このメイヨー・クリニックの精神を思い起こして
地道に仕事を続けていきたいものです.

参考;1)Mayo Clinic: Medical Treatment and Research Centers
   http://www.mayoclinic.org/

メイヨー日本人会という団体がありますので併せてご紹介指せていただきます.

   2)ようこそ メイヨー日本人会へ ‎(メイヨー日本人会 ホームページ )‎
   http://sites.google.com/site/mayojapan/

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by yangt3 | 2009-04-30 00:03 | 一般