最後の一球、最後の煌めき
2009年 05月 21日
最後の一球
島田 荘司 著
ー「母親が自殺を計った。幸い命はとりとめたのだが、
理由を知りたい」山梨から来た青年に、相談を受けた御手洗潔。
彼は翌日現地を訪れ、原因が母親の巨額の借金にあることを突き止める。
無知につけ込み、法を悪用して暴利を貪る金融業者。
仮に裁判をしても敗訴は必至―さすがの御手洗も頭を抱えるが、
後日突然彼女の訪問を受け、あまりに意外な顛末を知らされる…。ー
著者の言葉には、こうあります.
ー以前から、一度言いたいと思っていた.この作は、無数の御手洗潔作品に
埋もれて標準作と思われているだろうけれども、
自分としては、代表作のひとつだと言いたいくらいに
好きな作品だ.
生涯を二級で終える選手.人はひと握りのトップにだけ拍手を送るが、
そのスポーツへの思いに、一流も二流もない.
大勢の声なき声に背を押されるせいか、この作はするすると
筆が進み、書くのがひどく楽だった.
二流選手の、人知れぬ生涯ただ一度の煌めき.
こんなあり方が、自分は最も好きだ.ー
最後の一球 という言葉が何を意味しているか.
作品を読んで、それを理解した時に大きな感動を覚えます.
私も そんな 最後の一球の、最後の煌めきのために
生涯を送っているのかもしれません.