もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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肥満パラドックス

循環器の外来では、日々,冠動脈の危険因子を減らすように
指導の毎日です.

・タバコをやめましょう.
・コレステロール(LDL-chol;悪玉コレステロール)を下げましょう.
・血糖コントロールを頑張りましょう
・血圧をきちんと治療しましょう.
という具合です.

ウエイトオーバーの方には、低GI療法を進めて
適切な体重へのコントロールをお願いしています.

運動や食事、適切な治療の継続により減量すると
おおむね血圧が下がり、脂質代謝も改善し耐糖能も改善します.

最近の研究で、ちょっと困惑するレポートが出されました.

 
 医師を困惑させる "肥満パラドックス"-肥満の人は心疾患の経過が良好?
 http://health.nikkei.co.jp/hsn/hl.cfm?i=20090528hk001hk

 ー 余分な脂肪は心疾患の発症の原因となるが、
  同時に症状の悪化を抑える可能性があることが、
  これまでの心臓研究のレビューで示された。

  米オクスナーOchsnerメディカルセンター(ニューオーリンズ)の
  Carl J. Lavie博士は、この現象を
  「肥満パラドックス(obesity paradox)」と呼んでいる。

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(以下、記事より引用)
 「肥満は心疾患リスクおよび死亡リスクを大幅に増大させるが、
  高血圧、冠動脈の閉塞、末梢動脈障害(PAD)をいったん発症すると、
  肥満の患者は痩せた患者よりも経過が良好である。

  このパラドックスは数年前から報告されているが、
  未だ認識していない医師も多い)」と同氏はいう。
  
  今回の報告は、心疾患患者25万人を対象とする
  40の研究のデータを検討したもの。
  Lavie氏は、このパラドックスについて医師らの認識を促すと同時に、
  肥満の心疾患患者に減量させる必要はないというような誤った解釈を
  しないよう警告している。

  「肥満は糖尿病や高血圧など多数の危険因子をもたらすとともに、
  それ自体が独立した危険因子でもある」と同氏は指摘し、
  心疾患の患者で最も経過がよいのは体重を減らそうとしている
  肥満者であることを指摘し、
  肥満がよいものとは考えてほしくないと述べている。
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この記事の中の
「肥満は心疾患リスクおよび死亡リスクを大幅に増大させるが、
  高血圧、冠動脈の閉塞、末梢動脈障害(PAD)をいったん発症すると、
  肥満の患者は痩せた患者よりも経過が良好である。」
というくだりは、日々外来で頑張って治療を続けている
多くの患者さんに、ちょっとした勇気を与えてくれそうです.

体重を減らそう、冠危険因子を減らそうと
努力を重ねている状態が一番よいということは
うなずけることです.

余談ですが、肥満のある方の場合
足の付け根の動脈(大腿動脈)からの穿刺はちょっと
困難なことがあります.

最初の穿刺だけではなくて、検査・治療完了後の止血も
場合によっては難しいこともあります.

当院では、主に手首の動脈(橈骨動脈)からの検査・治療なので
なんとか穿刺も可能ですが
点滴をとるのが難しかったりします.

「肥満パラドックス」については、
その説明も含めて、まだこれから検討が必要なようです.

いずれにせよ、「肥満パラドックス」を十分に認識しながら
無理をせず、少しでもよくなるように
治療を続けていくことが大切ですね.

糖尿病、脂質の異常がある場合には
体重のコントロールで血液検査も改善するので、やっぱり一緒に
頑張って欲しいです.

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by yangt3 | 2009-06-02 00:22 | 一般