もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3

2006年 02月 17日 ( 2 )

ACE 阻害剤、ARBの作用

高血圧の治療薬として用いられる
ACE 阻害剤(アンギオテンシン変換酵素阻害剤)、
ARB(アンギオテンシン II 受容体拮抗薬)は
降圧剤としての作用だけでなく
体にとって有用なその他の作用もあります.a0055913_21495285.jpg

(1)心不全の治療
(2)長期の心臓保護作用
(3)糖尿病の合併症の予防
  ・腎臓保護作用
  ・動脈硬化の進展抑制
  ・インスリン感受性の改善

従って単なる高血圧の治療にとどまらず
生体にとって様々に有意義な作用を
期待してACE阻害剤、ARBを
使用することとなります.

具体的には、
・心筋梗塞後の患者さん
・慢性心不全の患者さん
・心筋障害を伴う高血圧の患者さん
・腎障害を伴う患者さんに腎臓保護
・糖尿病や高血圧を伴う高血圧.
・脳血管障害の予防効果を期待して併用
などとなります.

現在のところは、高血圧、慢性心不全の病名がついた方にのみ
処方される薬剤ですが
上記の様々な有用な効果を期待して、今後も
幅広く使用される薬剤です.

動脈硬化の予防としては
狭心症などの虚血性心疾患の予防効果や
脳出血、脳梗塞、TIAなどの脳卒中の予防効果
糖尿病のインスリン抵抗性の改善によって
糖尿病性腎症の進展抑制、様々な糖尿病の合併症の予防などが
期待されます.

動脈硬化予防のためだけには、まだACE阻害剤、ARBは
使用できないため
メーカーのさらなる努力を期待したいところです.
by yangt3 | 2006-02-17 21:50

胸痛の鑑別診断

狭心症、心筋梗塞以外にも胸痛の原因となる疾患は
様々あります.
心臓疾患としては
急性心膜炎、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症の患者さんで
狭心症のような胸痛を訴えることがあります.a0055913_8562486.gif
鑑別のためには心電図、胸部レントゲン
心臓エコーの所見などで行います.
これらの検査で鑑別が困難で
狭心症が否定出来ない場合には、カテーテル検査で
冠動脈の狭窄を調べる場合もあります.

心臓ではありませんが
急逝大動脈解離も重要です.
突然発症の胸痛であり、しばしば胸部だけでなく
背部、腰部、時に腹部に痛みが放散し持続します.
CT検査、エコー検査にて鑑別を行います.
造影CT を行っても小さな解離の場合は
診断が困難なこともあります.

さらに忘れていけないのが
胸部大動脈瘤の破裂(切迫破裂)です.
通常は、痛みだけでなく症状が進行し
緊急の診断、処置、手術を行わないと
不幸な結果になることもあります.
胸部大動脈瘤の拡大によっても胸痛が起こることがあります.

肺塞栓症も胸痛が起こることがあります.
通常は、呼吸困難、胸膜炎様の症状も伴います.

狭心症、心筋梗塞の診断のためにはa0055913_8565511.gif
年齢、冠動脈危険因子
(喫煙、糖尿病、高脂血症、高血圧、既往歴)などを
参考にします.

狭心症、心筋梗塞による胸痛は、心臓の冠動脈の狭窄、閉塞による
心筋虚血によって引き起こされます.
典型的には労作、運動によって引き起こされます.
胸を締めつけられるような感覚で、むしろ不快感に近い感じです.
疼痛というより、圧迫感、締めつけられるような絞扼感、
胸が焼けつくような灼熱感です.

逆に次のような胸痛は心臓以外の原因が考えられます.
・針で刺したような瞬間的な痛み
・指先でここ!と示すことのできる狭い範囲の痛み
・指の圧迫で痛みが増強する痛み
・呼吸や、咳、腕を動かすと増強する痛み
・食事と関連する胸痛(空腹、食後の胸痛)

心臓以外の胸痛で多いのは、やはり消化器疾患によるものです.
逆流性食道炎、GERDなどが最近増えている印象です.

高齢者の方の場合には、狭心症、心筋梗塞があっても
典型的な胸痛を起こさないことがあります.
全身倦怠感、食欲不振、失神、呼吸困難など
さまざまな訴えしかないことさえあります.

以前当院に来院された右冠動脈の心筋梗塞の患者さんは
柿を食べてから嘔吐、嘔気が出現.
急性胃腸炎、消化性潰瘍の疑いで来院されました.
心電図、血液検査を行うことにより
正しい診断にいたることができました.

結論としては
胸痛の診断は、経験ある医師にとっても難しいものであり
胸痛のない狭心症、心筋梗塞の診断もまた同様です.
いずれにせよ、症状が起きてから
できるだけ早く医療機関を受診していただくことが
肝要であるといえます.

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by yangt3 | 2006-02-17 08:57