もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3

2006年 02月 24日 ( 3 )

急性心筋梗塞の1例

久しぶりに症例を提示します.
70台の男性の方です.高血圧、心房細動などで
外来通院されていた方です.
今回、胸痛にて来院されました.
心電図で以前の心電図と比べて、明らかに
前胸部誘導で、ST上昇があり
急性心筋梗塞と診断しました.
ただちに緊急心臓カテーテル検査を行いました.
カテーテル検査にて左前下行枝の起始部に 
90%狭窄を認めました.病変には、不安定な血栓を
認めています.

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ただちにカテーテル治療を施行.
治療は、右手首の血管から行っています(右橈骨動脈).
6Fr のガイドカテーテルで左冠動脈を選択.
ガイドワイヤーにて左前下行枝の病変をクロスします.
Thrombusterと言う名前の特別なカテーテルで
病変の血栓を吸引しました.
中等量の赤色血栓を吸引除去しています.

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血栓吸引後、血管内超音波で病変の状態を観察.
残存狭窄に対して治療を続行.
バルーンによる十分な拡張のあと(前拡張)
Cypherステント(薬剤溶出ステント)を植え込みしています.

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Cypher 3.0 x 23 mm 14 気圧にて植え込み

ステントは、さらに3.25 mmサイズのバルーンにて
十分に冠動脈血管壁に密着するように拡張を行っています.
(後拡張)
治療にて病変は良好に拡張し、冠動脈の血流も改善.
胸痛も消失、心電図変化も改善しました.

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急性心筋梗塞の急性期にあっては
胸痛も持続し、多彩な不整脈も出現します.
速やかな治療、閉塞した冠動脈の血行再建を行わなければ
容易に心室細動、ショックなどに移行することもあります.
いかに早く、心室細動などの重症不整脈を起こさずに
カテ室まで搬送し、いかに早く閉塞した冠動脈を開くかどうか.
循環器の治療においては、病院の全てのスタッフが
一致協力して、自分の役割を果たすことが重要です.

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今回の症例は、幸いにも、心室細動、ショックなどは併発することなく
無事に治療が終了.その後の経過も良好です.
by yangt3 | 2006-02-24 23:47 | カテーテルの話題
遺族支援のセンター発足へ 過労死問題で医師、弁護士
共同通信 2月23日

過労死、過労自殺の予防などに取り組んでいる
医師、弁護士らのメンバーが25日に、
長時間労働に悩む労働者や過労死の遺族らを支援する
「過労死・自死相談センター」
(代表・上畑鉄之丞 聖徳大教授)を発足させる。
 過労死の労災認定は、年間300件前後と依然高水準。
自殺全体も7年連続で3万人を超えており、
企業に対策を義務付けた改正労働安全衛生法が4月に施行される。
 具体的な活動としては、電子メールでの相談や、
労災申請、訴訟を支援する。
このほか、過労予防やメンタルヘルス対策を
どのように実行したらいいか、産業医や保健師らが企業、
労組に対してアドバイスすることも検討している。
 同センターは、1985年に発足した
「ストレス疾患労災研究会」が母体。
これまで、過労死、過労自殺の研究が中心だったが、
実践的な過労対策が必要だと判断。
一般の人からの相談も受けられる態勢に衣替えした。
 25日は、記念シンポジウムを東京都内で開き、
働き過ぎの社会の在り方や改正労働安全衛生法の実効性を議論する。
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過労死、過労自殺は、大切な問題です.
「下流社会」、格差の問題がマスコミを賑わせていますが
働きすぎによる過労死、過労自殺の問題は
まだまだ対策や支援が不十分な状況です.

以前に、大学病院の研修医が研修中に過労死した件は
記憶に新しいことと思います.
医療現場でも、小泉首相の医療費削減のあおりを受け
現場のスタッフの労働はより過酷なものとなっています.
もちろん、それ以上に患者さん、家族への
負担も増加しています.

少子化、そして近々定年を迎える団塊の世代の
大量のベテランの職場からの離脱.
これからますます、職場、現場では、
職場環境の悪化が心配されます.

今回「過労死・自殺相談センター」が発足されることで
この問題が改善されることを期待したいところです.

病院でも同僚の医師、看護師さんたち、パラメディカルのスタッフたちは
本当によく働いています.

心臓カテーテルチームのスタッフも、夜間、緊急の呼びだしに
嫌な顔ひとつせず、駆けつけてくれます.

自分の体のことは、自分で責任がもてますが
回りのスタッフまで 過労をし入らざるを得ない状況は
心苦しい限りです.

病院としても、ケア、医療レベルは向上させ
働く職員が過労の負担がかからないように
考えて工夫をしていく必要があります.
by yangt3 | 2006-02-24 19:08 | 一般

眼科医からのメッセージ

眼科医からのメッセージ
糖尿病網膜症について 東可児病院眼科 萩原 葉子先生に
お話を頂きました.

糖尿病網膜症は成人の失明の原因の第一位です.
目をカメラに例えると網膜はフィルムに当たる部分で繊細な血管が
網目のようになっています.
糖尿病は糖の代謝異常によって全身の血管を置かしますが、
網膜の血管もしばしば障害されます.
糖尿病網膜症は3段階に分けられます.

軽症なものから
・1.単純糖尿病網膜症
   毛細血管瘤や小さな出血

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・2.前増殖性糖尿病性網膜症
   虚血による白斑の出現

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・3.増殖性糖尿病性網膜症
   新生血管や増殖膜の出現や視力に影響するような大きな出血や
   網膜はく離

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です.
糖尿病が重症であるほど、糖尿病の羅病気管が長いほど、
網膜症も重症になる確立が高いです.

重症なものでは緑内障や網膜はく離のような合併症も引き起こします.
軽度であれば経過観察のみ、
進行していくとレーザー治療(網膜光凝固術)、
さらに進行すると手術(硝子体手術)となります.
硝子体手術を行う医師・病院が限られていたり(当院では困難です)、
白内障の手術と異なり手術を施行しても現状維持にとどまり
視力が回復しないこともしばしばあります.
しかし、全ての症例が末期の経過をたどるわけではなく、
早期の段階で定期健診を受けられれば視力に影響しないことが
多いのです.
糖尿病と診断されたら眼科受診をお勧めします.
検診は最寄りの眼科で可能です.
なお眼底検査の際は点眼で瞳を開きますので(散瞳)
帰りの車は運転できません.
どなたかに付き添っていただくか公共の交通手段でいかれた方が
いいと思います.
糖尿病はその他にも、白内障の進行、ピント調節障害などを
きたすこともあります.

ブログ管理人より
眼科定期検査のために
東可児病院眼科 萩原先生を受診しましょう.
優しい女医さんです.(そして美人です)
by yangt3 | 2006-02-24 14:32 | 一般