もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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カテゴリ:コンスタント先生( 12 )

今週は仕事に追われています.
火曜日は、朝に、夜に重症救急が搬送され
深夜2時まで対応に追われていました.

少数精鋭で循環器科診療をささえているため
カテーテル治療だけでなく術後管理も
カテ所見、治療所見などの事務的仕事も
行わなければならず
毎日、仕事がたまるばかりです.

いましばらくまともなブログの更新はできませんので
あしからず、ご了解ください.

年末は12月26日までステント治療の予定が入っています.

表題の件ですが
コンスタント先生の循環器教育の英語カセットの
日本語翻訳の仕事をお手伝いすることになりました.

忙しい中、とても意味のある仕事なので
こちらも頑張って行きたいと思います.

もちろん日本語版が出版された暁には
皆様が購入していただくと
いくばくかの印税がいただけるとのことですので
またよろしくお願いいたします(笑)

寒さがきびしくなりますが
医療人として、皆さん、頑張っていきしょう.
by yangt3 | 2006-12-21 00:05 | コンスタント先生
皆さんご存知のように、Dr コンスタント先生は
ニューヨーク州立大学の循環器教授であり
Bedside Cardiology(ベッドサイドの心臓病学)を
始めとする著作や、世界中での講演、教育活動も
精力的に行っている有名な先生です.

故 古高先生は、以前、このコンスタント先生の
もとに留学をされていました.
その縁あって、私もコンスタント先生の知己を得ることが
できました.

昨年春には、私たちの東可児病院のある可児まで
お越しいただき、講演会を開催しました.

コンスタント先生ですが、その後体調をくずされ
予定されていた夏の来日も延期となっていました.

とても心配していましたが
今はお元気にされているそうです.
そんなコンスタント先生の様子を Sさんが
メールで知らせてくれました.

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続きを読む
by yangt3 | 2006-12-09 07:48 | コンスタント先生
コンスタント先生 講演会の抄録 心不全の治療
H18年1月28日(土)に行われたコンスタント先生の
講演会の抄録の続きです.
コンスタント先生の講義の記事は、今回が最終回です.

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コンスタント先生の講義では、心不全の治療として
時間の関係で、ジゴキシン、利尿剤だけしか
語られませんでした.
ジゴキシン、利尿剤は、いわば、”古典的”な薬剤であり
実際の心不全の治療においては、これらの治療だけでなく
他の様々な薬剤が用いられています.
現在、心不全治療として主流なのはACE 阻害剤、AII受容体拮抗薬(ARB)、
β拮抗剤などです.
前回、コンスタント先生が講義された心不全の分類 NYHA 分類を元に
治療を考えると
NYHA I から段階的にこれらの薬剤を 心不全の進行、NYHA分類の
重症度の進行に合わせて考慮、組み合わせて治療を行います.

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特筆すべきは、利尿剤、ジゴキシンよりも
ACE阻害剤、AII受容体拮抗薬、βブロッカーを心不全の早期から
使用したほうがよいということです.
利尿薬に関しては、コンスタント先生の講義に準じて
NYHA 2 度以上の呼吸困難が出現した場合に、ラシックスを投与開始します.
(この場合、浮腫も出現する.もちろん浮腫のために利尿薬を投与するのではない)
ジゴキシンは、心房細動を伴う心不全において投与を開始します.(NYHA 2度以上)

心不全において最も有効な治療薬とは、心不全の神経系
(自律神経、カテコラミン、交感神経など)
を制御する薬剤、そして液性因子を調整する薬剤
(レニン-アンギオテンシン系の調節因子など)です.
これら心不全の異常な神経系の反応、液性因子の反応を制御、
治療する薬剤が
最も有効な薬です.ACE阻害剤、AII受容体阻害剤、β拮抗薬、
アルドステロン(スピロノラクトン)は
こうした有用な効果を持つ薬です.
利尿薬は、呼吸困難(SOB、肺うっ血)など、
容量負荷による症状を改善するための薬剤ということです.
いわゆる強心薬と呼ばれる薬剤(心筋細胞内のcyclic AMP、
カルシウム濃度を上昇させる薬)は
長期的には、心不全の死亡率を増加させることがわかっています.
急性心不全には有用な、これらの強心薬と呼ばれる薬剤も、
慢性心不全の長期的な予後はは、悪化させます.
強心薬の長期使用により、心筋ダメージが促進され、
心筋細胞のアポトーシスが進行することが原因です.
ジギタリスは長期予後に有用な神経液性因子調整作用と、
強心薬作用とを合わせ持っています.

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最近の慢性心不全治療の傾向としては
強心薬はできるだけ使用せず、これ以上の心筋ダメージを
起こさないようにすること、傷ついた心筋を休め、
余分な刺激を与えないようにするという方針になります.
心不全の長期予後を改善することが証明されている薬剤は、
・ACE阻害剤
・AII受容体阻害剤
・ベータ拮抗薬
・スピロノラクトン(アルドステロン阻害剤)などです.
利尿薬は、呼吸困難の症状軽快のために使用されます.
ジゴキシンは、心不全患者の運動耐用能の改善のために使用されます
あくまで少量投与で、腎不全、高齢者には慎重投与で.
それ以外の薬剤については(強心薬など)、
慢性心不全の治療には、有害ですらあります.

最近、重症心不全に対して、心臓再同期法
(CRT ; Cardiac Resynchronization therapy)が
行われることもあります.これは、両側心室へのペースメーカー植え込みにより
心不全の収縮の同期を行い、心不全の改善をはかる治療です.
日本でも、先進的な循環器施設で研究が進められています.

重症心不全であらゆる薬剤治療に抵抗性の場合は、
人工心臓を用いた治療や、心臓移植でしか救命できない症例もあることは
皆さんもご存知の通りです.

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今回のコンスタント先生の講義をきっかけにして
心不全の知識を整理し
今後も新しい知見について勉強する必要性を痛感しました.

コンスタント先生にあっては、今回
わざわざ可児の地までおいて頂きまして、本当にありがとうございました.
病院を代表して、ここにお礼を述べさせていただきます.
また機会があれば、先生のお話を
聞かせていただきたいと思います.

循環器科 進 文責
by yangt3 | 2006-02-04 23:57 | コンスタント先生
H18年1月28日(土)に行われたコンスタント先生の
講演会の抄録の続きをお届けします.

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心不全の治療として、前回 お話があったジゴキシン以外に
利尿薬もよく用いられる薬剤です.

利尿剤は、腎臓においてナトリウムの排泄を増加させることによって
尿量を増加させる薬剤です.
高血圧、急性および慢性心不全、浮腫などの使用されます.
コンスタント先生は、心不全において利尿剤を投与する時
浮腫を目安にするのではなく
呼吸困難(つまり肺うっ血の程度とか、左心房圧の上昇を意味する)を
目安にして利尿剤を調整するべきであることを
強調されていました.
心不全の呼吸困難を治療するための薬が利尿剤という考え方です.
患者さんへの説明としても、呼吸困難を改善するために投与するとします.
くわしくは、上昇した左心房圧を下げるため、
うっ血の改善のために利尿剤を投与することになります.

実際に使用されるのは次の3種類です
・ラシックス(フロセミド)ループ利尿薬
・フルイトラン(サイアザイド)
・アルダクトン(スピロノラクトン)
使用に当たって注意すべき点は、K保持性かK喪失性かということ、
腎機能低下症例に使用できるかどうかということです.
ラシックス、フルイトランはK喪失性であり
逆にアルダクトンは、K保持性です.

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1)ラシックス(フロセミド)ループ利尿薬
主に腎臓 腎尿細管のHenle 上行脚に作用し、ナトリウムの再吸収を阻害します.
結果的にナトリウムの排泄が増加し利尿が得られます.
心不全の治療に最も標準的に使用される薬剤です.
急性肺水腫や、急性心筋梗塞の左心不全による肺うっ血に対して
ラシックスは初期治療として有用です.
ラシックス投与により、利尿、尿量の増加が得られる前に
肺うっ血による呼吸困難の改善が得られます.これは、ラシックスの
血管拡張作用や、前負荷の軽減、およびそれによる左心房圧の軽減に
よるものです.
 ラシックスの特長としては、作用が強力であること、
腎機能低下症例でも使えることです.
さらに上記のようにK喪失性です.
 ラシックスの投与によって
カリウム(K)、カルシウム(Ca)、および水溶性ビタミン(Vit B、Vit C)の
喪失が起こりますので、補充が必要になります.
逆にラシックス投与により尿酸が上昇し、高尿酸血症も稀ではありません.

2)フルイトラン(サイアザイド)
 昔は高血圧の第一選択約として使用されていました.
(年配の医師によく処方されています)
作用として、腎臓 ネフロンの 遠位尿細管におけるナトリウムの再吸収抑制により
ナトリウム排泄の増加を介して、利尿ガ得られます.
ラシックスに比べて、利尿作用が弱く、心不全の治療としては弱い効果です.
ラシックスと同様に使用にて低K血症となります.
フルイトランに特徴的なことは、耐糖能異常があります.
フルイトランの投与により血糖の上昇が見られますので注意が必要となります.
この薬剤では、カルシウムの排泄は阻害されません.逆に高Ca血症に注意が
必要となります.
実際には心不全治療の第一選択として用いられることは少ないです.
日常診療では、
高齢者の軽症高血圧、女性の高血圧などへの使用
(カルシウム排泄が抑制されないため)
軽症心不全の浮腫の軽減のために 使用されることが多いようです.

もちろん、コンスタント先生の講演をお聞きになった方なら、おわかりのように
あくまで利尿薬は、呼吸困難(肺うっ血、上昇した左心房圧)を
改善するために使用する薬剤であるということです.

3)アルダクトン(カリウム保持性利尿薬)
 腎臓 ネフロンの遠位尿細管のおいてアルドステロンに拮抗し
アルドステロン依存性のナトリウム/カリウム交換を抑制する作用です.
この薬剤においては、ラシックス、フルイトランと違い
低カリウム血症は起こりません.逆に高カリウム血症を来すおそれさえあります.
特にラシックスと併用してカリウム製剤を投与している場合には、
アルダクトンの使用により、一気に高カリウム血症に至る恐れがあります.
その他の副作用としては、講義でも触れられていたように
女性化乳房があります.
 コンスタント先生が講義で触れられていた新しいカリウム保持性薬剤では
これらの副作用も軽減されています.
アミロライド(Amiloride)がそのお薬ですが、残念ながら日本では使用できません.
アミロライドは、アルドステロンとは関係なく遠位尿細管で
ナトリウム / カリウム交換を阻害し利尿をはかります.

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利尿剤で重要な知見として
SOLVD Study という臨床研究があります.この研究で、心不全において、
カリウム非保持性利尿薬
(ラシックス、フルイトラン)を使用した群では、カリウム保持性利尿薬を
使用した群と比べて不整脈による死亡が多いことが判明しました.
この話には、続きがありカリウム非保持性利尿薬と、
カリウム保持性利尿薬を併用することにより
このような不整脈による突然死のリスクを減少させることができます.
このようにスピロノラクトンの併用が心不全の予後改善に
優れた効果を示す臨床試験の結果が判明しています.

心不全の治療にあっては、ラシックスにアルダクトンを加えた治療が有用です.

カリウム非保持性利尿薬(ラシックス、フルイトラン)の使用にあっては、
電解質チェック、腎機能チェック、不整脈のチェックなどの
合併症に対する注意が必要です.
by yangt3 | 2006-02-04 08:43 | コンスタント先生
コンスタント先生の講演会の抄録の続きです.
心不全の治療についてのお話です.

心不全は、次のような原因で発症します.
1)狭心症、心筋梗塞などの冠動脈の病変に起因した虚血性心疾患によるもの.
2)僧帽弁狭窄症、大動脈弁狭窄症などの心臓弁膜症によるもの.
3)特発性心筋症など心臓の心筋の変性によるもの(心臓移植の適応となる)
厳密には、心筋症は、心不全と区別する必要があります.
著明な心臓の拡大を示す心筋症の人でも
いわゆる体の代償機構により、全く症状がない場合もあるからです.

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心不全とは、呼吸困難、肺うっ血、浮腫などの症状を伴った
臨床的状態です.
心機能の低下により心拍出量が低下(心臓のポンプ機能の低下)し
全身への血液を送りだす働きが低下し、さらに心臓への負担が増加する
悪循環となり、左心系
臨床的に心不全と判断したら、その心不全に至った原因を検索する
必要があります.

心不全の治療については
ジギタリスと、利尿剤についてのお話がありました.

ジギタリスは、強心薬として古くから世界中で使われています.

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 その作用機序としては
心臓の心筋細胞膜にあるイオンの出し入れに関与するNaポンプ(Na/K-ATPase)に
作用します.このポンプは、Naイオンを細胞外に押し出すことと
Kイオンを細胞内に取り入れることを同時に行います.

 作用としては、心臓の心筋収縮力を高める(強心作用)
房室伝動の抑制(不整脈の治療)があります.

 適応として、心不全の治療などや
心房細動、心房粗動などの頻脈性上室性不整脈の治療に用いられます.
心房細動を伴った心不全には、ジゴキシンを使用することは
理にかなっています.
心房細動の伴わない正常洞調律の心不全では
ジゴキシンの使用に関しては、意見が別れています.
心房細動、上室性頻拍の症例においても
以前よりは使用されることが少なくなりました.
心不全においてジゴキシンを使用することで
死亡率は、変わりませんが、運動耐用能は高める効果があります.
慢性心不全としての日常生活の質を高める効果は
あるということです.

 問題点としては、高齢者や腎臓機能障害のある方では
ジギタリス中毒が出やすいということがあります.

 ジギタリス中毒の症状として食欲不振、吐き気などの消化器症状などの他に
ジギタリス投与でかえって不整脈が増強することもあります.
場合によっては、房室ブロックが増強し、徐脈などを引き起こします.
ジギタリス中毒は、低カリウム血症で促進されます.
高齢者で食事摂取量が悪い場合、利尿薬を投与されている場合(ラシックスなど)
カリウムが低下し、ジギタリス中毒を引き起こしやすいです.

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 正常な投与量で管理されていても、食事摂取が不十分になりカリウムが減少すれば
容易にジゴキシン中毒となります.腎機能の低下も同様です.
ジゴキシン投与に当たっては、きめ細やかな管理、検査が必要になります.

 投与にあたっては、腎機能、電解質(特に低カリウム)、年齢などに注意します.
投与の目安として
腎機能正常の70歳未満ジギタリス1T(0.25mg)/ 1日
腎機能正常の70歳以上ジギタリス1/2T(0.125mg)/ 1日
腎機能低下で高齢者の場合には、注意して投与するか
他の薬剤の投与を検討する必要があります.

最近では、以前より投与量は少量を使うことが多くなっています.
心不全治療の薬剤としては、以前より重要性が少なくなっています.
心房細動を伴う心不全には、現在でもよく処方されます.
by yangt3 | 2006-02-03 08:50 | コンスタント先生
コンスタント先生の講演会の抄録の続きです.
心不全に関連して タラ肝油の話がありました.

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世間で悪玉脂肪酸として知られるのがヘキサコサン酸と呼ばれる脂肪酸です.
この脂肪酸は、加齢とともに増加し、細胞膜にかたよっています.
細胞膜に増加すると、細胞膜の流動性が低下、ひいては細胞膜の機能が低下.
細胞膜に存在する受容体、チャンネル、酵素の働きが低下し、
細胞の代謝、機能障害を生じ、ひいては、細胞の劣化、老化につながります.
この悪玉脂肪酸は、糖尿病、高血圧、高脂血症、虚血性心疾患などの原因になり、
痴呆などの神経系の病気の原因となります.
つまり、簡単にいえば、悪玉脂肪酸 ヘキサコサン酸が増加すると
動脈硬化、脳、心血管障害の発症のリスクが高まります.
メタボリック症候群の指標ともなりえます.
悪玉脂肪酸については 以下のページが参考になります.
http://www.kouhoukai.org/yanagawa/new_page_84.htm

ある研究では、妊娠後期から魚油サプリメントを飲み、母乳で育てた子供は
同時期にプラセボを飲んで母乳で育てた子供よりも
4歳児の時点でIQ のポイントが高いことが判明しています.
つまり魚をよく食べる人の子供は IQ が高いということになります.
これは、魚にふくまれるドコサヘキサエン酸(DHA)などの
油がよいと考えられています.
ここで使用された魚油サプリメントとは
ノルウェーの特産品であるタラの肝臓の油(Cod Liver Oil)です.タラ肝油です.
タラ肝油には、DHAのほか、ビタミンAなどの各種の脂溶性ビタミンも
豊富に含まれており、有効であると考えられます.

タラ肝油を服用することにより
上記の悪玉脂肪酸を低下させるだけでなく
コレステロールの改善作用も期待されます.

タラ肝油には、オメガ3不飽和類脂肪酸の他、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンE
DHA(ドキサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などが含まれます.

残念なことに日本では、健康食品という扱いであり
海外輸入物ともなれば、非常に高価です.

費用の点を除けば、上記のように
Cod Liver Oilは、動脈硬化の予防に非常に有用だと思います.
by yangt3 | 2006-02-02 00:14 | コンスタント先生
コンスタント先生の講演会の抄録の続きです.
心不全についてのお話がありました.

うっ血性心不全の症状からの診断として
呼吸困難についてお話がありました.

呼吸困難(Dyspnea)は、心臓病による肺うっ血の症状です.
心筋梗塞、狭心症などによる虚血性心不全、
僧帽弁狭窄、大動脈弁狭窄などの弁膜症による心不全、
左心不全などが原因となります.

心不全の重要な症状である呼吸困難の分類については
有名な NYHA 分類の説明がありました.
これは1994年にニューヨーク心臓協会
(NewYork Heart Association NYHA)による心機能分類です.
呼吸困難という症状から
心不全、心機能の程度を分類するものです.
これは軽症の I度から重症のIV度まであります.
具体的には
・NYHA I度;心不全を有するが、身体活動には制限はなく、通常の身体活動では   
      疲労、同期、呼吸困難、狭心痛などは生じないもの
・NYHA II度;心疾患のために、身体活動に少しの制限はあるが
      安静にすると楽に生活できる.通常の身体活動で疲労、動悸、
      呼吸困難、狭心痛を生じる
・NYHA III度;身体活動に強い制限のある患者であるが、安静にすると
      楽に生活できる.通常運動以下の身体活動で披露、動悸、
      呼吸困難、狭心痛を生じる
・NYHA IV度;心疾患を有し、いかなる身体活動をするときにも苦痛を伴う.
      心不全、狭心症などの症状が安静時にも認められることがある.
      いかなる身体活動によっても苦痛が増強する.
となっています.
これらを使って患者さんの心不全、呼吸困難の症状を
NYHA II度という風に表現します.
弁膜症などによる心不全の場合には、
NYHA III、NYHA IVはオペ対象となります.
実際には手術決定には、心エコーの所見、カテーテルの所見などを
参考にして決められます.
NYHA分類を用いる意味は、呼吸困難という簡単な指標から
だいたいのおおまかな、心不全の重症度の目安がつけられるという点です.
救急来院される心不全においては、安静時にも心不全、狭心症、呼吸困難が
出現した状態であるため、NYHA IV度ということになります.

コンスタント先生の講義の追加事項として
呼吸困難について説明します.呼吸困難も状況によって
さらに細かい分類がされています.

・労作性呼吸困難(Exertional Dyspnea)
 運動、歩行、階段昇降などによって呼吸困難が生じるものです.
 運動負荷により心臓の左心房の圧が上昇し、肺うっ血を生じ
 呼吸困難を生じます.

・起座呼吸(Orthopnea)
 臥位、横になると呼吸困難が増強し、起き上がり、座位になると
 呼吸困難が軽快する状態です.これも肺うっ血によります.
 救急搬送される心不全の方は、しばしばこのような起座呼吸の状態であり
 座位の状態で救急搬送されることがあります.
 無理に臥位、横にした状態で搬送すると、一気に呼吸困難が増悪し
 チアノーゼ、引いては、挿管、人工呼吸が必要な状態に
悪化してしまうこともあります.

・発作性夜間呼吸困難(Paroxysmal nocturnal dyspnea)
 これは、左心不全の重要な症状です.
 昼間は呼吸困難の症状がなく、夜間就眠後1〜2時間後に
 突然、呼吸困難が増強するものです.
 起座、立位になることで症状は改善します.
横臥位、横になった姿勢では、下肢からの心臓への血液の環流量が増加し
そのために心臓の負担が増え、心臓が負担に耐えきれず、結果として
肺うっ血となり呼吸困難を生じます.

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以上、呼吸困難についてまとめると
呼吸困難は、心不全の重要な症状であり、左心房圧上昇に伴う
肺うっ血により引き起こされます.
NYHA 分類は世界中で最もよく使用される分類です.
by yangt3 | 2006-02-01 12:45 | コンスタント先生
コンスタント先生の講演会のダイジェストを数回にわけて
お送りします.
今回の講演会のテーマは、うっ血性心不全、心房細動についてでした.
うっ血性心不全の治療において利尿薬を中心とした投薬が行われます.
うっ血性心不全の状態を把握するために
利尿剤を投与するか、増やすか、減らすか
判断するために、コンスタント先生は
頚静脈圧を用いた方法を紹介されました.

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頚静脈圧は、次のようにして特別な器具も用いず
簡単に患者さんのベッドサイドで測定可能です.
図のように患者さんを45度の角度でベッドに寝かせます.
胸骨角から物差しを当てて
頚静脈拍動の最高点(最もよく拍動を検出できる点)を
測定します.
測定は、外頚静脈ではなく、内頚静脈を用います.
頚動脈と頚静脈を区別しなければなりません.
頚動脈は拍動を触れることができます.
頚静脈は、拍動を触れることはできません.
座位をとることで、拍動、圧が減少します.

4.5cmが正常値です.
(45°で4.5cmと覚える)
4.5cmより低い時には、心拍出量が低下している、
利尿薬が過剰などが考えられます.
4.5cmより高い場合には、うっ血性心不全、利尿薬の不足などが
考えられます.

頚静脈圧、拍動と心臓との関係は次の図のようになっています.
収縮期には(図左)右心房と右室との間の三尖弁が閉鎖しており
頚静脈圧は右心房の圧を反映します.
拡張期には(図右)三尖弁が開放しており、頚静脈は
右室の圧を反映します.
つまり、頚静脈圧をみることにより
カテーテル検査を行わずに、右房、右室の圧を
測定することが可能となります.

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さらに専門的には、頚静脈圧は、頚静脈波として
詳細に検討することが可能です.
それぞれの細かい波の形の検討から
さらに細かい病気の鑑別診断が可能です.

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コンスタント先生は、聴診器 一本と
理学所見、診察、このような頚静脈圧などをしらべることにより
詳細に、精密に心臓病の診断ができる世界でも数少ない
名医の1人です.

頚静脈圧についての詳しい説明は
コンスタント先生の著書
Bedside Cardiology
(日本語訳 ベッドサイドの心臓病学)にあります.
上記の記事に ご著書から図をお借りしております.
by yangt3 | 2006-01-30 13:31 | コンスタント先生
1月28日に行われた
コンスタント先生の勉強会の模様です.

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コンスタント先生の
いくつになっても新しいことを学ぶ姿勢こそが
われわれが最も学ぶべきことであると
痛感しました.

新しいことを学ぶことに
年齢は、関係ないということですね.
学ぶことをやめた時
前に進むことをやめた時
人は歳をとるということですね.

いつまでも精神的には、若さを保つように
これから頑張るつもりです.

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by yangt3 | 2006-01-30 12:17 | コンスタント先生
平成18年1月28日(土曜日)
可児文化センターaLaにて 
循環器の世界的権威である Drコンスタント先生の
講演会が 盛会のなか 無事に終了しました.
近隣の開業医の先生方を始め、
救急隊、救急救命士のみなさん、看護師のみなさん
看護学生のみなさん、
そして循環器科、心臓外科の先生方にもご参加いただき
会場が満席となりました.
本当にありがとうございました.

当日は、桜井院長が開会の辞を英語を交えてお話され
そのあと、循環器科 進が 当院で経験した
心室細動にて来院した心筋梗塞の1例について症例報告を
行いました.
コンスタント先生の講演は、桜井院長が流ちょうな英語で
通訳を勤められ、私が ホワイトボードに
コンスタント先生の講演内容の要点を書きながら
進められました.
みなさん、熱心にメモをとったりされ
多いに勉強になったものと思います.

コンスタント先生は、今後も体の続く限り
今回のように日本に来られて また私たちに講演を行っていただける
とのことです.
ぜひ来年は、新病棟で、コンスタント先生のベッドサイドティーチングを
みなさんとともに受けたいと思っています.
診察と聴診器一本で、複雑な循環器疾患の疾患を
的確に診断していくスキルは、まるで神様のようです.

なお コンスタント先生のご著書については、
後日、ご購入のご案内をさせて頂く予定です.
(コンスタント先生のお世話をされている 鈴木さん
という方が 一括購入、日本で手に入りにくい
洋書などの購入の手間をとられるとのこと)

今後ともよろしくお願いします.

循環器科 進
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by yangt3 | 2006-01-29 00:09 | コンスタント先生