もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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カテゴリ:2005年CPRガイドライン( 16 )

4月15日(日曜日)に
東可児病院 新病棟 6階 大会議室に於て

G2005 第10回BLS for Healthcare Provider Course 

が開催されました.
ブログ管理人である私も医師として
この心肺蘇生コースに参加してきました.

この心肺蘇生トレーニングコースを主催されたのは
岐阜ACLS トレーニングサイトです.
ホームページはこちらです↓↓
 http://www005.upp.so-net.ne.jp/ahagifu/

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今回のBLSトレーニングコースのスタッフの皆さん
サイト長である間渕先生を始めとする
たくさんのインストラクタの皆さん、
タスクフォースの皆さんは
本当にお疲れさまでした.
非常に刺激的で有意義な時間を過ごさせていただき
本当にありがとうございました.

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by yangt3 | 2007-04-15 18:05 | 2005年CPRガイドライン
きたる4月15日、東可児病院で
新しい2005年心肺蘇生ガイドラインに基づいた
心肺蘇生コース(BLSコース)が開催されます.

当院としては開院以来、こうして病院を会場として
地域の医療関係者の皆さんの教育をお手伝いできることは
初めての試みであり、地域のこうした心肺蘇生コースの
会場となることに、非常に感慨深いものがあります.

まだまだ病院の職員全員がBLSコースを
受講するまでには、時間がかかりそうです.
いくいくは、BLSコースだけでなく
外傷初期プログラムのほうも、ぜひ受講者を増やしていって
将来的には、心肺蘇生、外傷初期治療に
職員全員が、自信をもって仕事に向かえるように
大きな目標をもって頑張りたいと考えています.

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by yangt3 | 2007-04-10 13:39 | 2005年CPRガイドライン
いつもお世話になっています
nozakoji先生のブログ
救急医療って難しい・・・。
http://nozakoji.exblog.jp/
(左のカラムのエキサイトブログリンクからたどれます)
で紹介されていました.

日本医療財団のホームページで
ALS(Advanced Life Support)についての最終案が
発表されているそうです.
近日中にテキストが発売されるので期待してまちましょう.

ひと足早く、そのホームページから
循環器に関連したACS (急性冠症候群)について
目を通してみたいと思います.

わが国の新しい救急蘇生ガイドライン(骨子)「ALS」
by 日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会
http://www.qqzaidan.jp/qqsosei/guideline_ALS.htm

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by yangt3 | 2006-09-03 00:14 | 2005年CPRガイドライン
いつも大変お世話になっております
Nozakoji先生の 
救急医療って難しい・・・。
nozakoji.exblog.jp 
によりますと
2005年AHA 心肺蘇生ガイドラインの改定を受けて
日本における新しい心肺蘇生ガイドラインがやっと
発表され 
日本救急医療財団 我が国の新しい救急蘇生ガイドライン(骨子)
http://www.qqzaidan.or.jp/qqsosei/guideline.htm

にて公開がはじまったのことです.
(記事を引用させていただいた Nozakoji先生に感謝いたします).

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続きを読む...
by yangt3 | 2006-05-01 10:49 | 2005年CPRガイドライン
2006年CPRガイドラインから
循環器疾患への対応に関する部分の抄訳です.

ーパート8 ACS(急性冠症候群)の安定化ー
-------------------------------------------
急性心筋梗塞や不安定狭心症などの疾患は
急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome; ACS)という
疾患概念のスペクトラムの一部です.
これらの疾患の病態生理は冠動脈の動脈硬化プラークの
不安定化もしくは破綻によるものです.
これらの疾患の心電図所見としては
・ST上昇を伴う急性心筋梗塞(STEMI)
・STの低下所見
・非診断的なSTとT波の以上
などです.

心電図でST上昇を認めない急性心筋梗塞は
NSTEMIとよばれます.
Non-ST-elevation myocardial infarction; NSTEMI
このNSTEMIの診断にあっては、血液検査での
心臓マーカーの上昇(トロポニンテスト、ラピチェックなど)が
必要であり、心電図所見は、STの低下かもしくは診断にいたらない
軽微な変化か、一見正常な心電図所見となります.

このACSの効果的な治療、インターベンションのためには
とりわけST上昇を伴う急性心筋梗塞(STEMI)においては
正しい診断に至るまでの時間が非常に大切です.

これらのACS患者さんと最初に接する
医療関係者の役割が非常に重要です.
(外来での対応で、必ずしも循環器専門医が
最初に患者さんを診察するとは限りません)
最初に急性冠症候群(ACS)の患者さんに対応した
医療者が迅速に正しい診断にいたることが
これらの患者さんのリスクを最小限にし
不安定な病状を安定化させ(心室細動なども含めて)
迅速に心臓カテーテル治療などの適切な治療に繋がります.

病院内や病院外で医療関係者や救急スタッフが
BLS、ACLSなどの救命処置を迅速に適切に行うことの
重要性はいうまでもありません.
これらに加えて 急性冠症候群(ACS)の患者さんの
病状の安定化を図る必要があります.
-----------------------------------------
新しい2006年CPRガイドラインでは
この急性冠症候群(ASC)のガイドラインがまとめられています.
対応については分かりやすい図表があり
参考になります.ぜひみなさん一緒に勉強しましょう.

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図表をもっと大きく見る........
by yangt3 | 2006-03-22 23:34 | 2005年CPRガイドライン
Adult Basic Life Support
成人BLS
 2005年ガイドライン パート4抄訳の続きです.
前回に引き続き
今回は、各種人工呼吸の比較、細かな注意について
書かれた部分の抄訳です.

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・口対口人工呼吸
マウスツゥーマウス人工呼吸は、患者に酸素と換気を供給する.
口対口人工呼吸を行う為に、まず患者の気道を
開き、鼻をつまんで閉じて、患者の口に自分の口を当ててしっかりと
空気がもれないように密着させます.(Airtight seal).
規則正しく(深呼吸でなく)、1秒以上かけて息を吸います.
その後1秒以上かけて患者に人工呼吸を行います.
深呼吸でなく規則正しい呼吸をすることで
蘇生する人がふらふらしたり目まいを起こすことを防げます.
この人工呼吸がうまく行かない原因として患者の気道が
十分に開かれていないことが多いです.もし一回目の人工呼吸で
患者の胸郭が十分に上昇していなければ
頭部後屈、下顎挙上(head tilt-chin lift maneuver)を
行って再度、気道を確保してから人工呼吸を続ける.

・バリアー器具を用いた口呼吸
その安全性にもかかわらず、多くの医療従事者、健康プロバイダー、
一般市民が蘇生を行う時には、上記のマウスツゥーマウス法を行うことを
躊躇することが多く、バリアー器具を用いた人工呼吸が好まれる.
しかし、バリアー器具を用いても感染の危険性は、減少しない.
そればかりか、器具により呼吸抵抗が増すこともある(人工呼吸が困難になる).
器具を用いることで、蘇生の人工呼吸が遅れることがあってはならない.
バリアー器具には2種類あり、フェイスマスク型とファイスシールド(防護膜)型があります.
ファイスシールドは、プラスチックかシリコン製で、直接患者さんの顔に触れることを
防ぎます.しかし完全には感染を防ぐことはできません.
蘇生を義務とする担当者は、ファイスシールドのみを口対口呼吸の代わりに
使用することができます.もし蘇生に反応があれば可能なかぎり速やかに
フェイスマスクやバックマスク換気に切り替えるべきです.
口対口呼吸に用いるマスクは1方向弁が付いていなければなりません.
蘇生者の呼気のみが患者さんに入り、患者さんの呼気は
外に流れて、蘇生者の方には戻りません.
いくつかのマスクには、酸素投与用の吸入口がついていおり
酸素が使用可能であれば、10〜12リットル / 分で投与すべきです.

・口対鼻呼吸、および口対ストーマ(気管切開口)人工呼吸
基本的には、口対口人工呼吸を優先すべきです.
口周辺の外傷がある時、患者さんの開口が困難な時.
患者さんが水中にあり、口対口では、完全なシールが困難な場合
などには、口対鼻呼吸が推奨されます.
症例研究によれば成人でも口対鼻人工呼吸は安全で
有効なことが確認されています.
 口対ストーマ(気管切開)人工呼吸は
気管切開を行っている患者に対しての人工呼吸です.
気管切開チューブを丸い小児用のマスクで完全にシールすれば
バック(口)対マスク対ストーマと言う風に換気も可能です.
口対ストーマ人工呼吸の安全性、効果についてのエビデンスはありません.
喉頭切開を受けた患者の研究では、通常の換気バックよりも
小児用の小さなフェイスマスクの方がストーマ周囲のよいシールが可能だと
されています.
(筆者注、病院内では、気管切開の患者さんでは、気管切開チューブに
直接アンビューバックもしくは、ジャクソンをつないで換気しています).

・バックとマスクを用いた人工呼吸
蘇生者は、ルームエアもしくは、酸素投与下にバックマスク換気ができます.
バックマスクデバイスによる換気は、高度な気道確保を行うことなく
陽圧換気を行うものであり、そのため
胃の充満や、それに伴う合併症も起こすことになります.
バックマスク換気の際には、1秒以上かけて一回の換気を行い、
十分な一回換気量により胸郭が持ち上がることを確認します.
 

  バックマスクデバイス
バックマスクデバイスは次の条件を満たす必要があります.
 つぶれない吸入弁があること
 圧解放弁がない、もしくは圧解放弁が迂回できること
 標準の15mmから22mmの部品(Fitting)である.
 酸素リザーバーで高い酸素濃度を供給できること.
 非再呼気排出弁が異物などで閉塞しないこと、
 30L/分の酸素流量でも閉塞しないこと.
 通常の環境でも、異常な外気温でも十分に機能すること.

マスクは、嘔吐がすぐにわかるように、透明な素材が必要です.
マスク装着により、鼻と口が十分にシール(密閉)されなければなりません.
マスクは、15mm/22mmが標準である酸素供給管に合う必要があります.
成人だけでなく、いろいろなサイズの小児のサイズも必要です.

 バックマスク換気
バックマスク換気は、非常に困難な手技であり、
有効な換気を実施するためには十分なトレーニングが必要です.
バックマスクを用いて1人で蘇生を行う場合
下顎挙上で気道確保を行い、同時にマスクを患者の顔面にぴったりと
密着するように保持しなければなりません.
下顎挙上と、マスク密着を行いながら、さらに同時にバックで換気を
行わなければなりません.さらには、換気で
胸郭が挙上していることも同時に確認しなければなりません.
バックマスク換気は、2人の訓練された蘇生者で行えば
最も有効な換気となります.
1人が気道を確保し、マスクを顔面に密着させるように保持します.
もう1人がバックをもんで、換気を行います.
2人で胸郭が上昇するのを確認します.

十分な一回換気量で胸部が十分に挙上するように、
1〜2Lの成人用バックを使用します.
もし気道が十分に確保されていて、マスクも完全に密着している場合
1Lのバックであれば半分から2/3のバックの容量で換気可能です.
2Lのバックであれば1/3の容量で換気可能です.
(力いっぱい、バックを全部押すのは、過剰換気となります).
患者さんが高度な気道確保(気管挿管など)がされていない場合は
蘇生は、30回の心臓マッサージに2回の換気で行います.
マッサージの間の換気は、一回の換気を1秒以上かけて行います.

ヘルスケアプロバイダーは、もし可能であれば、酸素を使うべきです.
(40%以上の酸素、酸素流量10L〜12L/分以上で)
さらに理想的には、バックをリザーバーに接続し
100%酸素が供給できるようにするべきである.

最近では、ラリンゲアルマスク、食道ー気管コンビチューブなどによる
高度か気道確保がいくつかの地域でBLSによって実践されている.
ラリンゲラルマスクは、十分に習熟したスタッフには
バックマスク換気の代わりになるものである.
バックマスクとラリンゲアルマスクとどちらが合併症が多いかのデータはない.
ラリンゲアルマスク、バックマスク換気の使用には
十分な訓練が必要である.

以後 続く.....


画像は ART in 119 からおかりしています.
http://ww2.tiki.ne.jp/~takano/hyosi1.html
消防隊関係の素晴らしい画像が満載です.
by yangt3 | 2006-02-21 08:41 | 2005年CPRガイドライン

成人BLSの流れ その2

2005年版AHAガイドライン Part 4
成人BLSの流れ の抄訳です.

ECC2000年のガイドラインでは、種々の
一回換気量や呼吸回数や、換気の間隔が推奨されていました.
しかし、これは実際のマウストゥマウス換気、バックマスク換気で
吸気時間や、換気量をチェックするのは現実的ではありません.
従って、2005年ガイドラインでは、心肺停止の換気について
簡単な推奨となっています.
・一回の換気は1秒以上かけて行う(Class IIa)
・目で確認して胸郭が上昇するまで、十分な換気量で
換気する(マウストゥマウス換気、バックマスク換気、
酸素の有無は問わない).
・速い換気は避ける.力任せの換気はさける.
・ラリンゲアルマスク、気管内挿管などの高度な気道確保が施行され
2人でCPR行う場合には、換気は、1分館に8回から10回で行い
心臓マッサージに同期させなくてもよい.これは、胸部圧迫を
換気のために中断させることがないようにするためである.

麻酔下の成人(肺血流は正常)において、一回換気量
8から10 mL / kg(60キロで480mlから600ml)で
正常な酸素化、正常な二酸化炭素の排泄を維持できることが判明している.
CPR中の心拍出量は、正常の時の25%から30%の拍出量である.
従って肺での酸素の取り込み、二酸化炭素の排出も低下している.
結果として、CPR中には、正常よりも少ない一回換気量と
少ない呼吸回数による分時換気量で
十分な酸素化と換気を維持することができることになります.
成人のCPRにおいて一回換気量はおよそ500mlから600mlとなります.
(6〜7ml/kg).
ただし通常の蘇生においては、一回換気量を正確に把握することはできないので
移動式自動人工呼吸器での換気量設定、およびマネキンを使ったCPRトレーニングでの目安となります.
バックやマスクで換気を行っている時には、成人用の換気バックを使用します.
(1〜2リットルの容量).
十分に胸郭が上昇するのを目で確認しながら換気を行います.
ある研究によれば、十分に訓練されたBLS プロバイダーにおいては
約400 mlの一回換気量によって、麻酔下で気管内挿管された成人の
胸郭の上昇を確認することがわかっています.
しっかりとした気道確保により最小限の一回換気量で十分であると
いうことです.
しかし現場において、気管内挿管、ラリンゲアルマスクなどの確実な
気道確保が為されていない場合には、もっと大きな一回換気量が必要になるかも
しれません.
従ってガイドラインとしては500 mlから600 mlの一回換気量を推奨します.
重要なことは、胸郭の上昇を視認することです.
窒息や不整脈によって心肺停止に至った患者においても
同様の一回換気量を推奨します.
現在、トレーニングに使用されているマネキンは
700 mlから1000 mlの空気をいれないと視認できる
胸郭上昇が起こりません.現場での経験に
マネキンを改良する必要があります.

気管内挿管やラリンゲアルマスクなどの確実な気道確保を行っていない場合
胃内へのガス貯留が発生します.
胃内へのガス貯留は、胃内容物の逆流や、肺への誤飲を起こす可能性があります.
横隔膜の挙上を引き起こすことにより換気を障害します.
十分な気道確保がされておらず、近位部での気道抵抗が高い場合には
胃内ガス貯留の危険性が高まります.
人工呼吸で送り込まれた空気は、食道内の圧力が下部食道の括約筋の
開放圧よりも高ければ、容易に胃の中に入って行きます.
胃内ガス貯留の危険は、高い近位気道圧、下部食道括約筋の開放圧の低下などで
増加します.短い換気時間や、大きな一回換気量、高いピーク吸気圧、不十分な
気道確保、肺コンプライアンスの低下などが胃内ガス貯留の危険を増やします.
これを防ぐ為には、一回の換気を1秒以上かけて、十分に胸郭が上昇するまで
ゆっくりと換気します.(1秒以下の速い換気では、胃内へのガス貯留の危険がまします).
胸郭を上昇させる換気量より、必要以上の大量の換気を行わないことが重要です.
大きな一回換気量での換気や、必要以上に強い力で換気を行うことも
胃内ガス貯留の原因となります.
by yangt3 | 2006-01-28 08:49 | 2005年CPRガイドライン

成人BLS の流れ その1

成人 のBLS の流れ Adult BLS Sequence
2005年版 CPR ガイドラインに沿って、成人BLSの説明を行います.
(Circulation 2005 ガイドライン Part 4 Adult BLSの抄訳です)

 
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1)反応を確認する.(Box 1)
周囲の安全を確認(外傷、事故の場合).反応を確認する.
肩をたたき(Tap)、大丈夫ですかと声をかける.反応を確認し
救急コールする.その後、さらに状態を詳しく調べる.

2)救命救急要請(EMS コール)(Box2)
蘇生者が独りの場合、反応のない人を発見した時(動かない、刺激で無反応)
すぐに救急要請を行う.利用できるならAEDを用意する.
すぐに患者のもとに戻り、CPR を開始する.必要があれば
除細動を行う.2人以上の蘇生者がいる場合には、
1人がCPR を開始し、もう1人は救急隊に連絡し、AEDを探す.
病院内などでの心肺停止の場合は、院内の救命システムに連絡.
ヘルスケア従事者(老健施設、介護など)は、心肺停止の最もよく起こり得る
原因について蘇生処置を行えるでしょう.
1人で成人、小児の突然の心肺停止を発見した時には
ほとんどの原因が心臓由来なので、救急要請を行い、AEDを探し
患者の元に戻りCPRを行い、AEDを使用します.
ヘルスケア従事者が1人で、窒息、溺水(お風呂でおぼれる)などの患者に
遭遇した時は、まず5サイクル(2分間)のCPRを行ってから
救急要請を行う.
救急隊に連絡した時には、場所、何が起きたか、患者の状態と人数
どのような処置(助け)が必要かを係員に伝える必要があります.

3)気道確保と呼吸の確認(Box 3)
CPR を開始するために、患者を仰向けにして高い床に横たえます.
反応がなく、うつ伏せになっている患者では、体を回転させて
仰向けにします.入院患者で種々の気道確保がされている場合
(気管内挿管、ラリンゲアルマスク[LMA]、コンビチューブ[ラリンゲアルマスクと
同様のデバイス]、もしくは脊髄手術後のように動かせない場合、
うつ伏せの状態でCPRを開始する.(Class IIb)

#一般の人の気道確保
 一般の人が蘇生を行う場合、
頭部後屈、下顎挙上(head tilt-chin lift maneuver)を
外傷、非外傷患者に行うように指導する.
下顎前方引き出し法は、一般、素人の人には
技術的に困難なので勧められない.

#ヘルスケア従事者の気道確保
 ヘルスケア従事者は、頭部、頚部損傷の所見がなければ
頭部後屈、下顎挙上により気道確保を行う.(Class IIa)
もともと頭部後屈、下顎挙上法は
成人の意識のない麻痺患者で考えられた気道確保であり、
心肺停止での有効性はいままで確認されていなかった.
最近の臨床的、放射線学的研究で
この気道確保の有効性が確認されています.
鈍的外傷の約2%の患者が脊髄損傷を併発していると考えられ、
頭部、顔面外傷がある場合やグラスゴーコーマスケール
(GCS)が8点以下の昏睡であれば、そのリスクは3倍となります.
もし脊髄損傷が疑われる場合は、頭部を動かすことなく
下顎前方引き出し(jaw thrust)のみで気道確保を行います.(Class IIb)
CPRにおいて十分な気道確保が優先されるべきで(Class I)、
もし下顎前方引き出しにて、気道確保が不十分であれば、
頭部後屈、下顎挙上にて気道確保を行う.
もし脊髄損傷が疑われる場合にっは、脊髄固定器具を用いるより
用手的に脊髄を固定する方が有用である(Class IIb).
用手的な脊髄固定の方が安全であり
脊髄固定器具(ネックカラー)などは
CPR中の気道確保に悪影響を与える(邪魔になる)
さらには頭部外傷患者においては、頭蓋内圧の上昇の原因ともなる.
脊髄固定器具は、患者の搬送の際には、必要、有用と思われる.

#呼吸のチェック
しっかりと気道確保を行ったら、胸郭の動きを見て、呼吸音を聞き、
呼吸のチェックを行います.あなたが一般の蘇生者であり
正常な呼吸が確認出来ない場合、
ヘルスケア従事者で十分な呼吸が確認できない場合
まず2回の人工呼吸を行います.もし人工呼吸を行うのが嫌だったり
人工呼吸が困難であれば、心臓マッサージを開始します.(Class IIa)
医療従事者であっても、
意識のない患者で十分な気道確保がされていない状態で
あえぎ呼吸をしているような時に、
呼吸のチェックは困難です.
不十分で間欠的なあえぎ呼吸は、
突然の心臓停止の最初の数分間には見られることがあります.
心臓が停止していても、あえぎ呼吸のために、
十分な呼吸と勘違いされることもあります.
このような不十分なあえぎ呼吸も呼吸をしていないと判断して(Class I)、
人工換気を始めないといけません.
CPRトレーニングにこのような意識のない患者の
あえぎ呼吸を認識して、きちんとCPRを行えるようにすることが重要です.

4)救命のための呼吸を行う(Box 4、Box 5A)
まず2回の人工呼吸を行う.
一回の人工呼吸は1秒以上かけて、胸郭の上昇を確認しながら
十分な空気を肺に送り込む.
マウストゥマウス、バックマスク換気、高度な気道確保下の
換気、酸素のあるなしに関わらず、CPR中の人工呼吸は、1秒以上かけて
胸郭が上がるまで行うがよい.(Class IIa)
CPR中の人工呼吸の目的は、十分な酸素を供給することです.
適切な換気量、呼吸回数、酸素濃度
については、データがありません.一般的には、以下のように推奨されています.
 1.心室細動による心臓突然停止(SCA)の最初の数分間は、
人工呼吸はあまり重要でなく心臓マッサージの方が重要です.
なぜなら心肺停止直後の数分間は、血液中の酸素濃度は
十分に保たれていると考えられるからです.CRP中の血流は適切で
十分な胸部圧迫にて得られます.蘇生者は、中断せずに、
十分で適切な 胸部圧迫、心臓マッサージを行う必要があります.

 2.心室細動による心肺停止で発症から時間が経過した症例では、
血中の酸素濃度も
低下していると考えられ、十分な換気と、心臓マッサージが重要になります.
小児や、溺水患者で心肺停止となった時に低酸素状態となっている
窒息性の心肺停止では、特に、換気と胸部圧迫が重要です.

 3.CPR 施行中は、肺への血流は低下しているため、
十分な換気ー血流比を得る為には(十分な肺胞での酸素化)、
通常よりも少なめの一回換気量、少なめの呼吸回数で
換気をする必要があります.大きな一回換気量や、頻回の呼吸回数による
過換気は避ける必要があります.
過換気は必要ないばかりでなく危険ですらあります.
過換気により胸腔内圧が上昇し、そのために心臓への静脈還流が低下、
右房、右室への血液流入が低下し、心臓拍出量の低下が起こり、
肺への血流がさらに低下し、引いては、生存率の低下に繋がります.

 4.大きな換気や、力任せの換気はさけるべきである.不必要に
大量で力任せの換気は、胃内への空気貯留につながり、
さらなる合併症を引き起こすおそれがあります.

(続きは、また次回に)
by yangt3 | 2006-01-24 16:35 | 2005年CPRガイドライン
治療可能な心肺停止 ー心タンポナーデー
治療可能な心肺停止の症例についてご紹介します.
心臓を包んで保護している心外膜と心臓の間に
液体や血液が蓄積した状態が心タンポナーデです.
胸部外傷や上行大動脈の解離性大動脈瘤(A型解離)
などの場合は、心タンポナーデを起こすと
急速に病状が悪化し、突然死、心肺停止などに
至ることがあります.

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これは心臓の周囲(心膜腔)にたまった液体、血液が
心臓を圧迫.心膜腔内の圧力が高まり
心臓の拡張期に心室が十分に拡張できないために
心臓への血液の充満が減少し、このために
心迫出量が低下し、血圧低下、ショックに至るものです.
心タンポナーデの治療としては、この心臓周囲にたまった
血液を早期に除去(ドレナージ)することです.
心タンポナーデを早期に診断し、心肺停止に至るまでに
早期に治療することが救命につながります.
心肺停止となった症例でも、心タンポナーデを早期に診断し
素早くドレナージを行うことにより
救命の可能性が高まります.
診断の方法としては、胸部レントゲンにて心陰影の拡大や
解離性大動脈瘤を併発していれば、縦隔の拡大、胸水貯留などが
認められます.多発外傷では、血胸、胸骨骨折などの所見も
認められます.
超音波検査を用いれば、比較的簡単にそして迅速に
心タンポナーデを診断することが可能です.
超音波検査にて余裕があれば、胸水の貯留や大動脈弁、僧帽弁の状態
上行大動脈の解離の有無なども調べることが可能になります.
胸部外傷であれば、中隔壁運動の異常などにより
心筋挫傷の可能性を知ることもできます.

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時間的に余裕があれば胸部CT検査を施行することにより
心タンポナーデが明らかになるだけでなく
大動脈解離の診断がさらに確実になります.

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自己心拍が保たれている状態であれば
救急室(もしくはすぐに血管造影室に搬送し)
超音波ガイドで、経皮的心のうドレナージを迅速に行うことが必要です.
当院では、専用の経皮的心のうドレナージキットを
血管造影室に常備しています.
心のうドレナージにて、血圧の上昇、バイタルの安定が期待されます.
その後、しかるべき外傷の治療を行うか
解離性大動脈瘤があれば心臓外科医の手にゆだねて
緊急手術となります.
外傷に伴う心タンポナーデも、外科的心のうドレナージを含めて
外科的管理が必要になることが多いようです.
特に胸部外傷の患者では、心タンポナーデのみならず
緊張性気胸なども合併している可能性があり
留意が必要であると思われます.
胸部レントゲンで診断は容易です.
私が研修医の時に指導を受けた救急専門医の先生は
理学所見から緊張性気胸を診断しなければならない、
胸部レントゲンをとるヒマがあったら、すぐに胸腔ドレナージを
しなさいと、言われました.
胸部レントゲンを取らずに緊張性気胸を診断したり、緊急脱気ドレナージを
行うには、かなりの経験が必要だと思います.

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手術で心膜腔にたまった血液を確認した図です.

心肺停止となった心タンポナーデにおいては
CPRを施行しつつ、救急外来で心タンポナーデを出来るだけ早く診断し
迅速に心のう穿刺ドレナージ、外科的ドレナージ(心のう開窓術)を
行うことにより救命の可能性が高まります.

多発外傷患者、悪性疾患患者、上行大動脈の解離性大動脈瘤は
リスクが高いため、心タンポナーデを見逃さないように
細心の注意が必要です.

胸部外傷で多発肋骨骨折を併発した場合
通常の胸郭外からの心臓マッサージが困難となりまます.
開胸心マッサージが必要になることもあります.
早急な外科的修復、手術が必要となることもあり
外科医、心臓外科医にコンサルトして治療を行います.

原因不明で、病因が不明の場合は、蘇生しながらでも検査可能である
心エコー、超音波検査を迅速に施行し
これらの治療可能な原因を見つけ出し
早期に必要な治療も同時に行うことが
救命に繋がると思われます.
by yangt3 | 2006-01-23 08:56 | 2005年CPRガイドライン
急性心筋梗塞では、突然の冠動脈の閉塞により
血圧低下、ショック、心室細動などを引き起こし
心肺停止を引き起こすこともあります.
今回は、右冠動脈の急性心筋梗塞について考えてみます
右冠動脈の心筋梗塞でも種々の不整脈が出現します.
右冠動脈には、Conus Branch、Sinus node arteryを始め
AV node arteryなど刺激伝導系にかかわる重要な領域への
血流を支配している動脈があり
右冠動脈の閉塞、急性心筋梗塞により
容易にこれらの重要な血管の血流が低下し不整脈が引き起こされます.

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症例を示します
急性心筋梗塞で来院された60代の男性です.
この方は、胸痛発作にて救急来院されましたが
血圧は安定し、脈拍も問題なく、不整脈も出現せず
ただちに緊急心臓カテーテル検査施行しました.
CAGにて右冠動脈#3の閉塞を認めました.

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型通りにカテーテル治療を行い、ステント植え込みにて
合併症を起こすことなく軽快退院されております.
このような症例でも、冠動脈の閉塞した病変に多量の
血栓があり合併症の原因となることもあります.
血栓をバルーンで拡張のさいに、微小血栓が
末梢に塞栓となり、血流低下、不整脈の原因ともなります.
(Slow Flow、No Reflow)
さらによく知られている現象として再潅流障害があります.
血栓で閉塞した冠動脈の血流が一気に末梢に流れる再に
種々の不整脈が出現します.場合によっては心室粗動、心室細動
なども出現します.治療中で厳重にモニターしている状況での
不整脈ですので、迅速な治療により だいたいは、問題なく
経過します.Slow Flow、No Reflow現象に対しては
IABPが挿入される場合があります.

次の方も急性心筋梗塞で救急来院された80代の女性です.
冠動脈造影では、右冠動脈の末梢で完全閉塞を認めました.
右冠動脈の近位部にも多発性の狭窄を認めた症例です.
この方も、カテーテル治療、ステント植え込みで
問題なく軽快しました.末梢血栓や再潅流障害、不整脈も起こさず
退院されています.
このように一般的に血栓による末梢塞栓、再潅流障害に注意すれば
右冠動脈の末梢病変では、心室細動になることは少ないようです.

ただし重症3枝病変で、左冠動脈にも多発性の狭窄があったり
左主幹部の病変があって、右冠動脈の急性心筋梗塞を起こした場合には
末梢病変でも 容易にショック、ひいては重症の不整脈、心停止などに
いたる可能性もあります.
これは、純粋な右冠動脈病変ではなく、3枝病変、左主幹部病変として
扱うべきことですね.

症例を提示します.
50代の男性の方です.胸痛発作にて他院受診.
心電図にて急性心筋梗塞と診断され、転院搬送となりました.
救急車内の心電図モニターでは、著明なST上昇が続き
強い胸痛が続いていました.病院に到着直後に
心室細動となりました.
ただちに心肺蘇生を施行.挿管、人工呼吸、心臓マッサージ施行しつつ
脈拍の改善がないため、PCPS(経皮的人工心肺)を装着、開始しました.
PCPSの開始により自己心拍再開し、血圧も改善.
そのまま緊急心臓カテーテル検査を施行しました.
CAGにて右冠動脈起始部の完全閉塞を認めました.
左冠動脈にも多枝病変を認め、3枝病変に伴った右冠動脈の急性心筋梗塞でした.

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ただちに右冠動脈の病変に対してカテーテル治療を施行.
ステントの植え込みにて右冠動脈は良好に拡張し
血流も改善しました.
その後は、血圧も安定、脈拍も安定、心室細動などの
不整脈も再発せず、バイタル安定しました.
問題なくPCPSウィーにングしました.
左冠動脈の残存狭窄に対しては、バイパス手術となりました.

このように多枝病変により心室細動、心肺停止に至った症例では
迅速な対応と、PCPSを含めた専門的治療が必要になることが多く
幅広い専門スタッフの協力が必要になります.

徐脈にて来院した症例を示します.
80台の女性の方です.
呼吸困難、胸部不快で近医を受診.
心電図にて著明な徐脈、房室ブロックを認め
救急搬送されました.
房室ブロックによる血圧低下のために
カテ室で緊急で一時ぺーシングカテーテルを
挿入、ぺーシングを開始しました.
一時ぺーシングにて血圧は回復.
そのままぺーシングバックアップにて緊急心臓カテーテル検査施行しました.
右冠動脈造影にて右冠動脈#1での完全閉塞を認めました.

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右冠動脈の急性心筋梗塞による房室ブロックと判断.
一時ぺーシングにて脈拍をバックアップしながら
カテーテル治療を施行、ステント植え込みにて
良好な拡張を得ました.
房室ブロックも改善し、軽快退院されました.
このような房室ブロックは、右冠動脈の急性心筋梗塞では
よく認めることがあります.
早期に適切な対応をすれば 治療することができます.
右冠動脈の急性心筋梗塞による房室ブロックは
一時的なぺーシングが必要になることはあっても
パーマネント(永久)ペースメーカーの植え込みが
必要になることは少ないようです.

次の症例は 60台の男性です.高血圧にて近医通院中でありましたが
突然の胸痛が出現.家族の車で病院に向かいました.
病院まであと3分というところで、顔面蒼白、眼球上転し
意識消失しました.病院到着時には、心室細動となっていました.
すぐに CPR開始.病院外の心肺停止としても
目撃者のいる心肺停止ということで、到着までの時間もわずかであったため
CPRにて良好に心拍再開、病歴、心電図より急性心筋梗塞が考えられたため
ただちに緊急心臓カテーテル施行.
まず状態安定のために大腿動脈より IABP(大動脈バルーンポンピング)を
挿入しました.
冠動脈造影にて、右冠動脈の起始部で完全閉塞を認めました.
右室枝がでる手前で閉塞していました.

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幸い、カテーテル治療、ステント植え込みにて右冠動脈の血流は
良好に再開.多少時間はかかりましたが、その後、特に合併症もなく
独歩退院されました.

一般的な原則として左冠動脈に問題がない場合
右冠動脈の急性心筋梗塞では右室枝が ひとつの目安になります.
右室枝の分岐部よりも手前の閉塞による心筋梗塞では
心室細動になる危険性が増えます.図の(1)
逆に右室枝分岐より末梢の心筋梗塞では
心室細動になりリスクは少なくなります 図の(2)

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以上、右冠動脈の急性心筋梗塞による不整脈について述べてきました.
右冠動脈の急性心筋梗塞は、心室細動となっても
早期のCPR、早期の血行再建が為されれば
救命が可能です.
救急隊、救命士のみなさんの初期治療に期待しています.
(本当にいつもお世話になっています、お仕事お疲れさまです.)

循環器科 進
by yangt3 | 2006-01-21 00:11 | 2005年CPRガイドライン