東可児第13同盟:2005年CPRガイドライン
2007-04-17T00:27:58+09:00
yangt3
もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)
Excite Blog
東可児病院にて心肺蘇生コース開催!
http://tomochans.exblog.jp/5425991/
2007-04-15T18:05:00+09:00
2007-04-17T00:27:58+09:00
2007-04-15T18:05:54+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
東可児病院 新病棟 6階 大会議室に於て
G2005 第10回BLS for Healthcare Provider Course
が開催されました.
ブログ管理人である私も医師として
この心肺蘇生コースに参加してきました.
この心肺蘇生トレーニングコースを主催されたのは
岐阜ACLS トレーニングサイトです.
ホームページはこちらです↓↓
http://www005.upp.so-net.ne.jp/ahagifu/
今回のBLSトレーニングコースのスタッフの皆さん
サイト長である間渕先生を始めとする
たくさんのインストラクタの皆さん、
タスクフォースの皆さんは
本当にお疲れさまでした.
非常に刺激的で有意義な時間を過ごさせていただき
本当にありがとうございました.
当院からも私以外に
2名の病棟看護師がこのコースを受講しました.
すでにBLSコースを終了している
当院スタッフもタスクフォースとして
参加していました.
他施設の看護師さん、救急救命士さんの間に混じり
1日がかりのBLSコースを勉強しました.
私のブースのインストラクタは
中濃厚生病院 麻酔科の増江 先生でした.
終始和やかに、楽しく
新しいガイドラインに沿ったBLSを学びました.
こうした心肺蘇生のコースでは
実際に人形を使って、人工呼吸や
心臓マッサージの実技を行います.
朝から夕方までなんどもなんども
人形相手に心臓マッサージを繰り返して
それはそれで結構疲れるもので
よい汗をかきました.
BLSを終了したスタッフは
次なる目標として2次心肺蘇生である
ACLSコースも積極的に受講しようという
意欲に充ち満ちていました.
当院からも栄えあるACLSインストラクターが
誕生するのもそう遠くないかもしれません.
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東可児病院で心肺蘇生コース開催!
http://tomochans.exblog.jp/5395280/
2007-04-10T13:39:00+09:00
2007-04-10T13:52:00+09:00
2007-04-10T13:39:20+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
新しい2005年心肺蘇生ガイドラインに基づいた
心肺蘇生コース(BLSコース)が開催されます.
当院としては開院以来、こうして病院を会場として
地域の医療関係者の皆さんの教育をお手伝いできることは
初めての試みであり、地域のこうした心肺蘇生コースの
会場となることに、非常に感慨深いものがあります.
まだまだ病院の職員全員がBLSコースを
受講するまでには、時間がかかりそうです.
いくいくは、BLSコースだけでなく
外傷初期プログラムのほうも、ぜひ受講者を増やしていって
将来的には、心肺蘇生、外傷初期治療に
職員全員が、自信をもって仕事に向かえるように
大きな目標をもって頑張りたいと考えています.
心肺蘇生に興味を持って勉強されている方は
もうご存知のことかもしれませんが
最近の心肺蘇生の話題について少し
ご紹介します.
-------------NIKKEI NET 2007.03.16
心臓発作患者には人工呼吸をしないほうがよい
http://health.nikkei.co.jp/hsn/hl.cfm?i=20070322hk000hk
心停止を来たした患者の蘇生を行う際に、
胸部圧迫に加えてマウスツーマウスの人工呼吸をすると、
胸部圧迫のみの場合よりも効果が低くなることが、
駿河台日本大学病院救急医学助教授の長尾建氏らの
研究によって明らかにされた。この知見は、
英医学誌「Lancet」3月17日号に掲載された。
今回の研究では、心停止で倒れた際に、
居合わせた人の応急処置を受けた成人4,000人以上について
調べた。その結果、神経機能が比較的良好であったのは、
心停止から4分以内に胸部圧迫のみを受けた人では
10.1%であったのに対して、人工呼吸も受けた人では
5.1%であった。心拍異常や呼吸停止を来たした患者でも、
胸部圧迫のみではこれに近い効果がみられたが、
人工呼吸を加えることによる利益を示す根拠は認められなかった。
米アリゾナ大学サーバー心臓センターの
Gordon Ewy博士によると、人工呼吸を取り入れた場合、
身体の接触に対する躊躇(ちゅうちょ)や、技術の複雑さから、
蘇生そのものをしたがらない人が多いという。
また、人工呼吸を行うと一時的に胸部圧迫が
中断されることになるため、圧迫にかける時間が半減してしまう。
米国心臓協会(AHA)では、すでに2005年11月に
心肺蘇生法(CPR)のガイドラインを改定しており、
人工呼吸2回あたりの圧迫回数は15回から30回に変更されている。
米国では年間45万人が心停止を来たしていると推定されており、
胸部圧迫のみを行う人がもっと増えれば、
結果に大きな違いが出るはずだとEwy氏は述べている。
別の専門家は、ガイドラインの変更などは重要な問題ではないと指摘。
今回の研究からいえるのは、どのような蘇生法でも
何もしないよりはいいということだと述べ、
人工呼吸に自信がなければ、胸部圧迫だけでも
試みるべきだとしている。
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この研究は、SOS-KANTO(関東地方院外心停止患者に対する
他施設共同研究)と名図狩られた前向きの他施設研究です.
SOS-KANTO
Survey of Survivors after Out-of-Hospital Cardiac Arrest
in Kanto region of Japan)は、
人工呼吸なしに胸部圧迫のみが行われた患者と、
通常のCPRが適用された患者の神経学的予後の比較を目的として、
日本救急医学会関東地方会により、関東の58の救急施設で
2002年9月1日から2003年12月31日に行われたそうです.
対象は、院外で心停止を起こした人であり、
現場に到着した救急隊員が、その場にいた人から、
救命手当の方法や患者の発症時刻について聞き取り調査し、
ウツタイン様式に基づいて記録しています.
主要エンドポイントは、心停止から30日以内の
神経学的予後に置いています.
5段階からなるグラスゴー・ピッツバーグ脳機能カテゴリーで、
1(脳機能良好)または2(中等度の障害)を予後良好、
3-5(重度障害から死まで)を予後不良としています.
2次エンドポイントは30日時の生存に設定しています.
解析対象は4068人の成人であり、院外で心停止状態になり、
その場に人が居合わせたケースを登録されたそうです.
現場で救命手当を受けていたのは1151人(28%)、
うち439人(11%)には胸部圧迫のみ、
712人(18%)には通常のCPRが適用されていました.
残りの2917人(72%)は救命手当なしでした.
神経学的予後が良好だった患者は、救命手当なし群に比べ、
手当あり群に有意に多かった(2.2%と5.0%、P<0.0001).
また胸部圧迫のみ群の方が、CPR群より
神経学的予後良好患者が多い傾向が見られたとのことです.
得られた結果は、胸部圧迫のみの救命手当は、
院外で心停止に陥った患者、特に、無呼吸の患者、
徐細動により救える患者、心停止からの時間が短い患者に対して、
従来からのCPRと同等か、
より好ましい措置であること考えられました.
医療関係者や医療スタッフが新しいガイドラインに沿った
正しい心肺蘇生を行うことは基本であると思いますが
記事のコメントにもあるように
どのような蘇生法でも
何もしないよりはいいということだと述べ、
人工呼吸に自信がなければ、胸部圧迫だけでも
試みるべきだ
ということです.
深夜の病棟での心肺停止においては、人手も少なく
また手元にすぐに蘇生に必要な機材もないこともあり
まずは人手とドクターをコールしながら
胸部圧迫をすぐに行うという
シチュエーションもあり得ます.
少数精鋭でマンパワー不足の中で
重症患者さんたちの多数入院する病棟を切り盛りしている
医療スタッフにとっては、心肺蘇生が必要な時に
迅速に的確に行うことは、当たり前のこと.
むしろもっと大切なことは、
予期せぬ急変をつくらないこと、です.
病院には、さまざまな病態、病状でたくさんの患者さんたちが
入院しています.
急変の大部分は、それまでに十分な検査や症状の詳細な検討
病状の十分な把握を行うことにより
全てとはいわないまでも、起こり得る合併症や
急激な症状の変化の可能性が予測されるものです.
それでも絶対大丈夫ということはなく
病院の中では、常に突然の心肺停止に対応できるように
万全の注意と体制と、準備をもっているべきです.
私の昔の経験でいいますと
重症の心不全の患者さんの付添の方が
突然に病室でショック状態となりました.
すぐに救急室に運び、検査の結果
急性心筋梗塞であることが判明.
大事に至る前に、カテーテル治療を行い
元気に退院されています.
研修医の頃は知恵も回らず、知識も技術も不足する中
病状の把握も不十分で、自分にとっての急変の連続でした.
もちろん優秀な先輩医師、スタッフの影の支えで
何事もなく治療が無事に済んでいました.
病状の変化をあらかじめ予想していた先輩たちが
先に適切な手を打って居てくれたおかげで
本当に助かりました.
足らないものを補うために
ぺいぺいの研修医にできることは
ただひたすら患者のベッドサイドに向かうこと
夜も心配で眠れず、病院に泊まり込むこと
いわば知力でだめなら体力勝負でした(笑)
今の若い人たちには、体力で勝負するだけでなく
新しいガイドラインなどを早い時期からマスターして
自信をもって現場に出かけられるように
なってもらったらと思います.
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救急蘇生ガイドラインに学ぶ ー急性冠症候群ー
http://tomochans.exblog.jp/4222769/
2006-09-03T00:14:00+09:00
2006-09-03T00:28:23+09:00
2006-09-03T00:14:05+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
nozakoji先生のブログ
救急医療って難しい・・・。
http://nozakoji.exblog.jp/
(左のカラムのエキサイトブログリンクからたどれます)
で紹介されていました.
日本医療財団のホームページで
ALS(Advanced Life Support)についての最終案が
発表されているそうです.
近日中にテキストが発売されるので期待してまちましょう.
ひと足早く、そのホームページから
循環器に関連したACS (急性冠症候群)について
目を通してみたいと思います.
わが国の新しい救急蘇生ガイドライン(骨子)「ALS」
by 日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会
http://www.qqzaidan.jp/qqsosei/guideline_ALS.htm
日本版救急蘇生ガイドラインー急性冠症候群
http://www.qqzaidan.jp/qqsosei/guideline/ACS.pdf
上記資料を参考にしてコメントをつけてみました.
-------------------------------------------------------------------
・市民と患者、家族への啓発
1)急性冠症候群がどのようなものであるか
市民教育を積極的に行って行く必要性が強調されています.
各地域毎に組織だった市民教育システムの構築のために
消防、医療機関、行政が協力していく必要がある.
こうした市民教育を通じて
急性冠症候群(狭心症、急性心筋梗塞を含む)への社会の
関心を高め、市民の心筋梗塞に関する知識を増やす.
あらゆる地域において
救命の連鎖、救急の迅速な通報、迅速な心肺蘇生
迅速な除細動、二次性救命処置を構築していく.
2) PAD(Public Access defibrillation)
「市民によるAEDを用いた除細動」プログラムを
地域社会で推進していく.
地域での院外心停止への早期心肺蘇生と市民AED使用による
早期除細動を可能にしていく体制をつくる活動が重要.
学校、集合住宅、公共施設、駅、市役所など人が集まる場所への
AED設置を進めること、突然の心肺停止が起きた時には
まず身近にある一般市民がすぐにAEDを持ちいて救命処置を
行い、心停止を救命できるように地域のシステムを構築する.]
3)心臓疾患、狭心症、心筋梗塞の既往のある地域の患者さんや
その家族の方に向けて、上記の流れを理解していただく.
救命の連鎖の最初の3つの鎖を習得してもらう.
さらに市民向けの講習会を各地域で行う.
・主治医による患者・家族の教育
狭心症、心筋梗塞、および急性冠症候群の既往患者さんに対して
急性冠症候群の発症危険因子(生活習慣病、喫煙など)を
持つリスクの高いと見なされる市民に対して
主治医、かかりつけ医から
救急の対応について指導を行う.
胸痛時のニトログリセリンの使用方法やその効果判定について、
ニトリグリセリンが効かない時の対処法の指導.
胸痛が持続する場合の救急を含めた対処の仕方を指導する.
緊急時の受診病院、受診医師も指導するべきです.
------------------------------------------------------------------------------------
特に過去6ヶ月以内に心臓カテーテル治療、ステント植え込み治療を
受けている患者さんにおいては、冠動脈造影などで問題ないと
確認されるまでは、ステントのトラブル(再狭窄、ステント血栓など)
を念頭において対処するべきです.
カテーテル治療を受けていない患者さんの胸痛については
4つの致死的疾患である
急性心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓症、緊張性気胸を
除外できるまで、まず念頭において対処します.
東可児病院循環器では、当院で治療を行った患者さんには、全ての方に
カテーテル治療の資料をお渡しています.
心臓の冠動脈のどの部分を治療したのか
ステントをどのように植え込みして治療したのか
その他に狭いところが残っていないかどうか
こうした情報を、治療終了時にお渡ししています.
左冠動脈の根元(左主幹部、左前下行枝起始部)の病変や
右冠動脈の起始部病変、びまん性の病変の方においては、
ステント植え込み後の胸痛に対しては
慎重に対処する必要があります.
きちんと病院で診察と診断を早急にうけるべきで
様子をみるとか放置するのは、ちょっと心配です.
狭心症の患者さんには、胸痛、発作出現時の対応について
指導させて頂いていますが
軽い症状であっても、無理せず、
早めに病院を受診していただくのが
大切だと思います.
私の経験では、一度発作を経験して病院で治療された方
病院でカテーテル治療を受けられた方については
上記のように、自分の病状について、かなり慎重に
考えられて、適切な対処を身に付けられているように思います.
最近経験した急性心筋梗塞の患者さんにあっては、
普段の検診や、かかりつけ医での心電図で
特に異常を指摘されていなかっった方が多いようです.
軽い発作で、本人、家族が急性冠症候群、狭心症、
急性心筋梗塞と考えない場合
救急コールや病院への受診が遅れると
場合によっては、悲惨な結果を招く事があります.
救急ガイドラインに必要性が述べられている
市民教育については、医療機関、消防、行政だけでなく
こうして急性冠症候群から無事に生還した
患者さんたちの貴重な体験も
非常に役に立つのではないかと感じます.
今回の心肺蘇生ガイドラインー急性冠症候群ーの項において
こうした予防、市民教育、PADシステムの構築が
強調されているのが非常に印象的です.
東可児病院としても
こうした地域のPADシステム、市民教育システムに
少しでも協力していきたいと考えます.
市民教育の一環としまして
平成18年9月3日(日曜日)
春日井市大留町100 の久保田脳神経外科クリニック
(Tel; 0568-53-0081)において
午後16;15分より
狭心症、心筋梗塞についての医療講演を行います.
市民教育として、皆さんに
わかりやすい講義をお届けする予定です.
急性冠症候群の残りの項目の考察は
また次回に、ということで.
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新しい心肺蘇生ガイドラインの日本語版が出ました!
http://tomochans.exblog.jp/3551716/
2006-05-01T10:49:08+09:00
2006-05-01T10:49:08+09:00
2006-05-01T10:49:08+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
Nozakoji先生の
救急医療って難しい・・・。
nozakoji.exblog.jp
によりますと
2005年AHA 心肺蘇生ガイドラインの改定を受けて
日本における新しい心肺蘇生ガイドラインがやっと
発表され
日本救急医療財団 我が国の新しい救急蘇生ガイドライン(骨子)
http://www.qqzaidan.or.jp/qqsosei/guideline.htm
にて公開がはじまったのことです.
(記事を引用させていただいた Nozakoji先生に感謝いたします).
この辺の事情に関しましては
直接 Nozakoji先生のブログの記事をご覧下さい↓↓
日本における新しい心肺蘇生ガイドライン(骨子)が発表!
http://nozakoji.exblog.jp/3547202/
日本版の新しい救急蘇生ガイドラインは
財団法人日本救急医療財団の小委員会でおける
日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会の最終案となっています.
ファイルはそれぞれPDFファイルとして公開されています.
ぜひご覧ください.
公開されている内容は以下のとおりです.
#一次救命処置(BLS)
・主に市民が行うためのBLS(成人・小児・乳児) (PDF 4P 22KB)
・主に日常的に蘇生を行う者のためのBLS(成人) (PDF 6P 30KB)
・主に日常的に蘇生を行う者のためのBLS(小児・乳児) (PDF 5P 26KB)
#二次救命処置
・小児を対象とするALS 準備中
・成人を対象とするALS 準備中
・電気的治療 (PDF 5P 41KB)
・不整脈治療 準備中
#急性冠症候群(ACS) 準備中
#脳卒中(Stroke) 準備中
#応急手当(first aid) 準備中
#その他
・倫理・教育 (PDF 1P 9KB)
6月下旬ごろにこの日本版の新しいガイドラインの出版が予定されているとか.
それまでにこの公開されているPDFを使って
しっかりと予習をしておきましょう!
]]>
2006 CPRガイドライン ー パート8 ACS(急性冠症候群)患者の安定化
http://tomochans.exblog.jp/3378577/
2006-03-22T23:34:34+09:00
2006-03-22T23:34:34+09:00
2006-03-22T23:34:34+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
循環器疾患への対応に関する部分の抄訳です.
ーパート8 ACS(急性冠症候群)の安定化ー
-------------------------------------------
急性心筋梗塞や不安定狭心症などの疾患は
急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome; ACS)という
疾患概念のスペクトラムの一部です.
これらの疾患の病態生理は冠動脈の動脈硬化プラークの
不安定化もしくは破綻によるものです.
これらの疾患の心電図所見としては
・ST上昇を伴う急性心筋梗塞(STEMI)
・STの低下所見
・非診断的なSTとT波の以上
などです.
心電図でST上昇を認めない急性心筋梗塞は
NSTEMIとよばれます.
Non-ST-elevation myocardial infarction; NSTEMI
このNSTEMIの診断にあっては、血液検査での
心臓マーカーの上昇(トロポニンテスト、ラピチェックなど)が
必要であり、心電図所見は、STの低下かもしくは診断にいたらない
軽微な変化か、一見正常な心電図所見となります.
このACSの効果的な治療、インターベンションのためには
とりわけST上昇を伴う急性心筋梗塞(STEMI)においては
正しい診断に至るまでの時間が非常に大切です.
これらのACS患者さんと最初に接する
医療関係者の役割が非常に重要です.
(外来での対応で、必ずしも循環器専門医が
最初に患者さんを診察するとは限りません)
最初に急性冠症候群(ACS)の患者さんに対応した
医療者が迅速に正しい診断にいたることが
これらの患者さんのリスクを最小限にし
不安定な病状を安定化させ(心室細動なども含めて)
迅速に心臓カテーテル治療などの適切な治療に繋がります.
病院内や病院外で医療関係者や救急スタッフが
BLS、ACLSなどの救命処置を迅速に適切に行うことの
重要性はいうまでもありません.
これらに加えて 急性冠症候群(ACS)の患者さんの
病状の安定化を図る必要があります.
-----------------------------------------
新しい2006年CPRガイドラインでは
この急性冠症候群(ASC)のガイドラインがまとめられています.
対応については分かりやすい図表があり
参考になります.ぜひみなさん一緒に勉強しましょう.
]]>
2005年ガイドライン抄訳 続き
http://tomochans.exblog.jp/3231498/
2006-02-21T08:41:52+09:00
2006-02-21T08:41:52+09:00
2006-02-21T08:41:52+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
成人BLS
2005年ガイドライン パート4抄訳の続きです.
前回に引き続き
今回は、各種人工呼吸の比較、細かな注意について
書かれた部分の抄訳です.
・口対口人工呼吸
マウスツゥーマウス人工呼吸は、患者に酸素と換気を供給する.
口対口人工呼吸を行う為に、まず患者の気道を
開き、鼻をつまんで閉じて、患者の口に自分の口を当ててしっかりと
空気がもれないように密着させます.(Airtight seal).
規則正しく(深呼吸でなく)、1秒以上かけて息を吸います.
その後1秒以上かけて患者に人工呼吸を行います.
深呼吸でなく規則正しい呼吸をすることで
蘇生する人がふらふらしたり目まいを起こすことを防げます.
この人工呼吸がうまく行かない原因として患者の気道が
十分に開かれていないことが多いです.もし一回目の人工呼吸で
患者の胸郭が十分に上昇していなければ
頭部後屈、下顎挙上(head tilt-chin lift maneuver)を
行って再度、気道を確保してから人工呼吸を続ける.
・バリアー器具を用いた口呼吸
その安全性にもかかわらず、多くの医療従事者、健康プロバイダー、
一般市民が蘇生を行う時には、上記のマウスツゥーマウス法を行うことを
躊躇することが多く、バリアー器具を用いた人工呼吸が好まれる.
しかし、バリアー器具を用いても感染の危険性は、減少しない.
そればかりか、器具により呼吸抵抗が増すこともある(人工呼吸が困難になる).
器具を用いることで、蘇生の人工呼吸が遅れることがあってはならない.
バリアー器具には2種類あり、フェイスマスク型とファイスシールド(防護膜)型があります.
ファイスシールドは、プラスチックかシリコン製で、直接患者さんの顔に触れることを
防ぎます.しかし完全には感染を防ぐことはできません.
蘇生を義務とする担当者は、ファイスシールドのみを口対口呼吸の代わりに
使用することができます.もし蘇生に反応があれば可能なかぎり速やかに
フェイスマスクやバックマスク換気に切り替えるべきです.
口対口呼吸に用いるマスクは1方向弁が付いていなければなりません.
蘇生者の呼気のみが患者さんに入り、患者さんの呼気は
外に流れて、蘇生者の方には戻りません.
いくつかのマスクには、酸素投与用の吸入口がついていおり
酸素が使用可能であれば、10〜12リットル / 分で投与すべきです.
・口対鼻呼吸、および口対ストーマ(気管切開口)人工呼吸
基本的には、口対口人工呼吸を優先すべきです.
口周辺の外傷がある時、患者さんの開口が困難な時.
患者さんが水中にあり、口対口では、完全なシールが困難な場合
などには、口対鼻呼吸が推奨されます.
症例研究によれば成人でも口対鼻人工呼吸は安全で
有効なことが確認されています.
口対ストーマ(気管切開)人工呼吸は
気管切開を行っている患者に対しての人工呼吸です.
気管切開チューブを丸い小児用のマスクで完全にシールすれば
バック(口)対マスク対ストーマと言う風に換気も可能です.
口対ストーマ人工呼吸の安全性、効果についてのエビデンスはありません.
喉頭切開を受けた患者の研究では、通常の換気バックよりも
小児用の小さなフェイスマスクの方がストーマ周囲のよいシールが可能だと
されています.
(筆者注、病院内では、気管切開の患者さんでは、気管切開チューブに
直接アンビューバックもしくは、ジャクソンをつないで換気しています).
・バックとマスクを用いた人工呼吸
蘇生者は、ルームエアもしくは、酸素投与下にバックマスク換気ができます.
バックマスクデバイスによる換気は、高度な気道確保を行うことなく
陽圧換気を行うものであり、そのため
胃の充満や、それに伴う合併症も起こすことになります.
バックマスク換気の際には、1秒以上かけて一回の換気を行い、
十分な一回換気量により胸郭が持ち上がることを確認します.
バックマスクデバイス
バックマスクデバイスは次の条件を満たす必要があります.
つぶれない吸入弁があること
圧解放弁がない、もしくは圧解放弁が迂回できること
標準の15mmから22mmの部品(Fitting)である.
酸素リザーバーで高い酸素濃度を供給できること.
非再呼気排出弁が異物などで閉塞しないこと、
30L/分の酸素流量でも閉塞しないこと.
通常の環境でも、異常な外気温でも十分に機能すること.
マスクは、嘔吐がすぐにわかるように、透明な素材が必要です.
マスク装着により、鼻と口が十分にシール(密閉)されなければなりません.
マスクは、15mm/22mmが標準である酸素供給管に合う必要があります.
成人だけでなく、いろいろなサイズの小児のサイズも必要です.
バックマスク換気
バックマスク換気は、非常に困難な手技であり、
有効な換気を実施するためには十分なトレーニングが必要です.
バックマスクを用いて1人で蘇生を行う場合
下顎挙上で気道確保を行い、同時にマスクを患者の顔面にぴったりと
密着するように保持しなければなりません.
下顎挙上と、マスク密着を行いながら、さらに同時にバックで換気を
行わなければなりません.さらには、換気で
胸郭が挙上していることも同時に確認しなければなりません.
バックマスク換気は、2人の訓練された蘇生者で行えば
最も有効な換気となります.
1人が気道を確保し、マスクを顔面に密着させるように保持します.
もう1人がバックをもんで、換気を行います.
2人で胸郭が上昇するのを確認します.
十分な一回換気量で胸部が十分に挙上するように、
1〜2Lの成人用バックを使用します.
もし気道が十分に確保されていて、マスクも完全に密着している場合
1Lのバックであれば半分から2/3のバックの容量で換気可能です.
2Lのバックであれば1/3の容量で換気可能です.
(力いっぱい、バックを全部押すのは、過剰換気となります).
患者さんが高度な気道確保(気管挿管など)がされていない場合は
蘇生は、30回の心臓マッサージに2回の換気で行います.
マッサージの間の換気は、一回の換気を1秒以上かけて行います.
ヘルスケアプロバイダーは、もし可能であれば、酸素を使うべきです.
(40%以上の酸素、酸素流量10L〜12L/分以上で)
さらに理想的には、バックをリザーバーに接続し
100%酸素が供給できるようにするべきである.
最近では、ラリンゲアルマスク、食道ー気管コンビチューブなどによる
高度か気道確保がいくつかの地域でBLSによって実践されている.
ラリンゲラルマスクは、十分に習熟したスタッフには
バックマスク換気の代わりになるものである.
バックマスクとラリンゲアルマスクとどちらが合併症が多いかのデータはない.
ラリンゲアルマスク、バックマスク換気の使用には
十分な訓練が必要である.
以後 続く.....
画像は ART in 119 からおかりしています.
http://ww2.tiki.ne.jp/~takano/hyosi1.html
消防隊関係の素晴らしい画像が満載です.]]>
成人BLSの流れ その2
http://tomochans.exblog.jp/3099232/
2006-01-28T08:49:04+09:00
2006-01-28T08:49:04+09:00
2006-01-28T08:49:04+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
成人BLSの流れ の抄訳です.
ECC2000年のガイドラインでは、種々の
一回換気量や呼吸回数や、換気の間隔が推奨されていました.
しかし、これは実際のマウストゥマウス換気、バックマスク換気で
吸気時間や、換気量をチェックするのは現実的ではありません.
従って、2005年ガイドラインでは、心肺停止の換気について
簡単な推奨となっています.
・一回の換気は1秒以上かけて行う(Class IIa)
・目で確認して胸郭が上昇するまで、十分な換気量で
換気する(マウストゥマウス換気、バックマスク換気、
酸素の有無は問わない).
・速い換気は避ける.力任せの換気はさける.
・ラリンゲアルマスク、気管内挿管などの高度な気道確保が施行され
2人でCPR行う場合には、換気は、1分館に8回から10回で行い
心臓マッサージに同期させなくてもよい.これは、胸部圧迫を
換気のために中断させることがないようにするためである.
麻酔下の成人(肺血流は正常)において、一回換気量
8から10 mL / kg(60キロで480mlから600ml)で
正常な酸素化、正常な二酸化炭素の排泄を維持できることが判明している.
CPR中の心拍出量は、正常の時の25%から30%の拍出量である.
従って肺での酸素の取り込み、二酸化炭素の排出も低下している.
結果として、CPR中には、正常よりも少ない一回換気量と
少ない呼吸回数による分時換気量で
十分な酸素化と換気を維持することができることになります.
成人のCPRにおいて一回換気量はおよそ500mlから600mlとなります.
(6〜7ml/kg).
ただし通常の蘇生においては、一回換気量を正確に把握することはできないので
移動式自動人工呼吸器での換気量設定、およびマネキンを使ったCPRトレーニングでの目安となります.
バックやマスクで換気を行っている時には、成人用の換気バックを使用します.
(1〜2リットルの容量).
十分に胸郭が上昇するのを目で確認しながら換気を行います.
ある研究によれば、十分に訓練されたBLS プロバイダーにおいては
約400 mlの一回換気量によって、麻酔下で気管内挿管された成人の
胸郭の上昇を確認することがわかっています.
しっかりとした気道確保により最小限の一回換気量で十分であると
いうことです.
しかし現場において、気管内挿管、ラリンゲアルマスクなどの確実な
気道確保が為されていない場合には、もっと大きな一回換気量が必要になるかも
しれません.
従ってガイドラインとしては500 mlから600 mlの一回換気量を推奨します.
重要なことは、胸郭の上昇を視認することです.
窒息や不整脈によって心肺停止に至った患者においても
同様の一回換気量を推奨します.
現在、トレーニングに使用されているマネキンは
700 mlから1000 mlの空気をいれないと視認できる
胸郭上昇が起こりません.現場での経験に
マネキンを改良する必要があります.
気管内挿管やラリンゲアルマスクなどの確実な気道確保を行っていない場合
胃内へのガス貯留が発生します.
胃内へのガス貯留は、胃内容物の逆流や、肺への誤飲を起こす可能性があります.
横隔膜の挙上を引き起こすことにより換気を障害します.
十分な気道確保がされておらず、近位部での気道抵抗が高い場合には
胃内ガス貯留の危険性が高まります.
人工呼吸で送り込まれた空気は、食道内の圧力が下部食道の括約筋の
開放圧よりも高ければ、容易に胃の中に入って行きます.
胃内ガス貯留の危険は、高い近位気道圧、下部食道括約筋の開放圧の低下などで
増加します.短い換気時間や、大きな一回換気量、高いピーク吸気圧、不十分な
気道確保、肺コンプライアンスの低下などが胃内ガス貯留の危険を増やします.
これを防ぐ為には、一回の換気を1秒以上かけて、十分に胸郭が上昇するまで
ゆっくりと換気します.(1秒以下の速い換気では、胃内へのガス貯留の危険がまします).
胸郭を上昇させる換気量より、必要以上の大量の換気を行わないことが重要です.
大きな一回換気量での換気や、必要以上に強い力で換気を行うことも
胃内ガス貯留の原因となります.
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成人BLS の流れ その1
http://tomochans.exblog.jp/3078808/
2006-01-24T16:35:23+09:00
2006-01-24T16:35:23+09:00
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yangt3
2005年CPRガイドライン
2005年版 CPR ガイドラインに沿って、成人BLSの説明を行います.
(Circulation 2005 ガイドライン Part 4 Adult BLSの抄訳です)
1)反応を確認する.(Box 1)
周囲の安全を確認(外傷、事故の場合).反応を確認する.
肩をたたき(Tap)、大丈夫ですかと声をかける.反応を確認し
救急コールする.その後、さらに状態を詳しく調べる.
2)救命救急要請(EMS コール)(Box2)
蘇生者が独りの場合、反応のない人を発見した時(動かない、刺激で無反応)
すぐに救急要請を行う.利用できるならAEDを用意する.
すぐに患者のもとに戻り、CPR を開始する.必要があれば
除細動を行う.2人以上の蘇生者がいる場合には、
1人がCPR を開始し、もう1人は救急隊に連絡し、AEDを探す.
病院内などでの心肺停止の場合は、院内の救命システムに連絡.
ヘルスケア従事者(老健施設、介護など)は、心肺停止の最もよく起こり得る
原因について蘇生処置を行えるでしょう.
1人で成人、小児の突然の心肺停止を発見した時には
ほとんどの原因が心臓由来なので、救急要請を行い、AEDを探し
患者の元に戻りCPRを行い、AEDを使用します.
ヘルスケア従事者が1人で、窒息、溺水(お風呂でおぼれる)などの患者に
遭遇した時は、まず5サイクル(2分間)のCPRを行ってから
救急要請を行う.
救急隊に連絡した時には、場所、何が起きたか、患者の状態と人数
どのような処置(助け)が必要かを係員に伝える必要があります.
3)気道確保と呼吸の確認(Box 3)
CPR を開始するために、患者を仰向けにして高い床に横たえます.
反応がなく、うつ伏せになっている患者では、体を回転させて
仰向けにします.入院患者で種々の気道確保がされている場合
(気管内挿管、ラリンゲアルマスク[LMA]、コンビチューブ[ラリンゲアルマスクと
同様のデバイス]、もしくは脊髄手術後のように動かせない場合、
うつ伏せの状態でCPRを開始する.(Class IIb)
#一般の人の気道確保
一般の人が蘇生を行う場合、
頭部後屈、下顎挙上(head tilt-chin lift maneuver)を
外傷、非外傷患者に行うように指導する.
下顎前方引き出し法は、一般、素人の人には
技術的に困難なので勧められない.
#ヘルスケア従事者の気道確保
ヘルスケア従事者は、頭部、頚部損傷の所見がなければ
頭部後屈、下顎挙上により気道確保を行う.(Class IIa)
もともと頭部後屈、下顎挙上法は
成人の意識のない麻痺患者で考えられた気道確保であり、
心肺停止での有効性はいままで確認されていなかった.
最近の臨床的、放射線学的研究で
この気道確保の有効性が確認されています.
鈍的外傷の約2%の患者が脊髄損傷を併発していると考えられ、
頭部、顔面外傷がある場合やグラスゴーコーマスケール
(GCS)が8点以下の昏睡であれば、そのリスクは3倍となります.
もし脊髄損傷が疑われる場合は、頭部を動かすことなく
下顎前方引き出し(jaw thrust)のみで気道確保を行います.(Class IIb)
CPRにおいて十分な気道確保が優先されるべきで(Class I)、
もし下顎前方引き出しにて、気道確保が不十分であれば、
頭部後屈、下顎挙上にて気道確保を行う.
もし脊髄損傷が疑われる場合にっは、脊髄固定器具を用いるより
用手的に脊髄を固定する方が有用である(Class IIb).
用手的な脊髄固定の方が安全であり
脊髄固定器具(ネックカラー)などは
CPR中の気道確保に悪影響を与える(邪魔になる)
さらには頭部外傷患者においては、頭蓋内圧の上昇の原因ともなる.
脊髄固定器具は、患者の搬送の際には、必要、有用と思われる.
#呼吸のチェック
しっかりと気道確保を行ったら、胸郭の動きを見て、呼吸音を聞き、
呼吸のチェックを行います.あなたが一般の蘇生者であり
正常な呼吸が確認出来ない場合、
ヘルスケア従事者で十分な呼吸が確認できない場合
まず2回の人工呼吸を行います.もし人工呼吸を行うのが嫌だったり
人工呼吸が困難であれば、心臓マッサージを開始します.(Class IIa)
医療従事者であっても、
意識のない患者で十分な気道確保がされていない状態で
あえぎ呼吸をしているような時に、
呼吸のチェックは困難です.
不十分で間欠的なあえぎ呼吸は、
突然の心臓停止の最初の数分間には見られることがあります.
心臓が停止していても、あえぎ呼吸のために、
十分な呼吸と勘違いされることもあります.
このような不十分なあえぎ呼吸も呼吸をしていないと判断して(Class I)、
人工換気を始めないといけません.
CPRトレーニングにこのような意識のない患者の
あえぎ呼吸を認識して、きちんとCPRを行えるようにすることが重要です.
4)救命のための呼吸を行う(Box 4、Box 5A)
まず2回の人工呼吸を行う.
一回の人工呼吸は1秒以上かけて、胸郭の上昇を確認しながら
十分な空気を肺に送り込む.
マウストゥマウス、バックマスク換気、高度な気道確保下の
換気、酸素のあるなしに関わらず、CPR中の人工呼吸は、1秒以上かけて
胸郭が上がるまで行うがよい.(Class IIa)
CPR中の人工呼吸の目的は、十分な酸素を供給することです.
適切な換気量、呼吸回数、酸素濃度
については、データがありません.一般的には、以下のように推奨されています.
1.心室細動による心臓突然停止(SCA)の最初の数分間は、
人工呼吸はあまり重要でなく心臓マッサージの方が重要です.
なぜなら心肺停止直後の数分間は、血液中の酸素濃度は
十分に保たれていると考えられるからです.CRP中の血流は適切で
十分な胸部圧迫にて得られます.蘇生者は、中断せずに、
十分で適切な 胸部圧迫、心臓マッサージを行う必要があります.
2.心室細動による心肺停止で発症から時間が経過した症例では、
血中の酸素濃度も
低下していると考えられ、十分な換気と、心臓マッサージが重要になります.
小児や、溺水患者で心肺停止となった時に低酸素状態となっている
窒息性の心肺停止では、特に、換気と胸部圧迫が重要です.
3.CPR 施行中は、肺への血流は低下しているため、
十分な換気ー血流比を得る為には(十分な肺胞での酸素化)、
通常よりも少なめの一回換気量、少なめの呼吸回数で
換気をする必要があります.大きな一回換気量や、頻回の呼吸回数による
過換気は避ける必要があります.
過換気は必要ないばかりでなく危険ですらあります.
過換気により胸腔内圧が上昇し、そのために心臓への静脈還流が低下、
右房、右室への血液流入が低下し、心臓拍出量の低下が起こり、
肺への血流がさらに低下し、引いては、生存率の低下に繋がります.
4.大きな換気や、力任せの換気はさけるべきである.不必要に
大量で力任せの換気は、胃内への空気貯留につながり、
さらなる合併症を引き起こすおそれがあります.
(続きは、また次回に)
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治療可能な心肺停止 ー心タンポナーデー
http://tomochans.exblog.jp/3071139/
2006-01-23T08:56:40+09:00
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2005年CPRガイドライン
治療可能な心肺停止の症例についてご紹介します.
心臓を包んで保護している心外膜と心臓の間に
液体や血液が蓄積した状態が心タンポナーデです.
胸部外傷や上行大動脈の解離性大動脈瘤(A型解離)
などの場合は、心タンポナーデを起こすと
急速に病状が悪化し、突然死、心肺停止などに
至ることがあります.
これは心臓の周囲(心膜腔)にたまった液体、血液が
心臓を圧迫.心膜腔内の圧力が高まり
心臓の拡張期に心室が十分に拡張できないために
心臓への血液の充満が減少し、このために
心迫出量が低下し、血圧低下、ショックに至るものです.
心タンポナーデの治療としては、この心臓周囲にたまった
血液を早期に除去(ドレナージ)することです.
心タンポナーデを早期に診断し、心肺停止に至るまでに
早期に治療することが救命につながります.
心肺停止となった症例でも、心タンポナーデを早期に診断し
素早くドレナージを行うことにより
救命の可能性が高まります.
診断の方法としては、胸部レントゲンにて心陰影の拡大や
解離性大動脈瘤を併発していれば、縦隔の拡大、胸水貯留などが
認められます.多発外傷では、血胸、胸骨骨折などの所見も
認められます.
超音波検査を用いれば、比較的簡単にそして迅速に
心タンポナーデを診断することが可能です.
超音波検査にて余裕があれば、胸水の貯留や大動脈弁、僧帽弁の状態
上行大動脈の解離の有無なども調べることが可能になります.
胸部外傷であれば、中隔壁運動の異常などにより
心筋挫傷の可能性を知ることもできます.
時間的に余裕があれば胸部CT検査を施行することにより
心タンポナーデが明らかになるだけでなく
大動脈解離の診断がさらに確実になります.
自己心拍が保たれている状態であれば
救急室(もしくはすぐに血管造影室に搬送し)
超音波ガイドで、経皮的心のうドレナージを迅速に行うことが必要です.
当院では、専用の経皮的心のうドレナージキットを
血管造影室に常備しています.
心のうドレナージにて、血圧の上昇、バイタルの安定が期待されます.
その後、しかるべき外傷の治療を行うか
解離性大動脈瘤があれば心臓外科医の手にゆだねて
緊急手術となります.
外傷に伴う心タンポナーデも、外科的心のうドレナージを含めて
外科的管理が必要になることが多いようです.
特に胸部外傷の患者では、心タンポナーデのみならず
緊張性気胸なども合併している可能性があり
留意が必要であると思われます.
胸部レントゲンで診断は容易です.
私が研修医の時に指導を受けた救急専門医の先生は
理学所見から緊張性気胸を診断しなければならない、
胸部レントゲンをとるヒマがあったら、すぐに胸腔ドレナージを
しなさいと、言われました.
胸部レントゲンを取らずに緊張性気胸を診断したり、緊急脱気ドレナージを
行うには、かなりの経験が必要だと思います.
手術で心膜腔にたまった血液を確認した図です.
心肺停止となった心タンポナーデにおいては
CPRを施行しつつ、救急外来で心タンポナーデを出来るだけ早く診断し
迅速に心のう穿刺ドレナージ、外科的ドレナージ(心のう開窓術)を
行うことにより救命の可能性が高まります.
多発外傷患者、悪性疾患患者、上行大動脈の解離性大動脈瘤は
リスクが高いため、心タンポナーデを見逃さないように
細心の注意が必要です.
胸部外傷で多発肋骨骨折を併発した場合
通常の胸郭外からの心臓マッサージが困難となりまます.
開胸心マッサージが必要になることもあります.
早急な外科的修復、手術が必要となることもあり
外科医、心臓外科医にコンサルトして治療を行います.
原因不明で、病因が不明の場合は、蘇生しながらでも検査可能である
心エコー、超音波検査を迅速に施行し
これらの治療可能な原因を見つけ出し
早期に必要な治療も同時に行うことが
救命に繋がると思われます.
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心肺停止を引き起こす心筋梗塞
http://tomochans.exblog.jp/3057796/
2006-01-21T00:11:37+09:00
2006-01-21T00:52:47+09:00
2006-01-21T00:11:37+09:00
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2005年CPRガイドライン
血圧低下、ショック、心室細動などを引き起こし
心肺停止を引き起こすこともあります.
今回は、右冠動脈の急性心筋梗塞について考えてみます
右冠動脈の心筋梗塞でも種々の不整脈が出現します.
右冠動脈には、Conus Branch、Sinus node arteryを始め
AV node arteryなど刺激伝導系にかかわる重要な領域への
血流を支配している動脈があり
右冠動脈の閉塞、急性心筋梗塞により
容易にこれらの重要な血管の血流が低下し不整脈が引き起こされます.
症例を示します
急性心筋梗塞で来院された60代の男性です.
この方は、胸痛発作にて救急来院されましたが
血圧は安定し、脈拍も問題なく、不整脈も出現せず
ただちに緊急心臓カテーテル検査施行しました.
CAGにて右冠動脈#3の閉塞を認めました.
型通りにカテーテル治療を行い、ステント植え込みにて
合併症を起こすことなく軽快退院されております.
このような症例でも、冠動脈の閉塞した病変に多量の
血栓があり合併症の原因となることもあります.
血栓をバルーンで拡張のさいに、微小血栓が
末梢に塞栓となり、血流低下、不整脈の原因ともなります.
(Slow Flow、No Reflow)
さらによく知られている現象として再潅流障害があります.
血栓で閉塞した冠動脈の血流が一気に末梢に流れる再に
種々の不整脈が出現します.場合によっては心室粗動、心室細動
なども出現します.治療中で厳重にモニターしている状況での
不整脈ですので、迅速な治療により だいたいは、問題なく
経過します.Slow Flow、No Reflow現象に対しては
IABPが挿入される場合があります.
次の方も急性心筋梗塞で救急来院された80代の女性です.
冠動脈造影では、右冠動脈の末梢で完全閉塞を認めました.
右冠動脈の近位部にも多発性の狭窄を認めた症例です.
この方も、カテーテル治療、ステント植え込みで
問題なく軽快しました.末梢血栓や再潅流障害、不整脈も起こさず
退院されています.
このように一般的に血栓による末梢塞栓、再潅流障害に注意すれば
右冠動脈の末梢病変では、心室細動になることは少ないようです.
ただし重症3枝病変で、左冠動脈にも多発性の狭窄があったり
左主幹部の病変があって、右冠動脈の急性心筋梗塞を起こした場合には
末梢病変でも 容易にショック、ひいては重症の不整脈、心停止などに
いたる可能性もあります.
これは、純粋な右冠動脈病変ではなく、3枝病変、左主幹部病変として
扱うべきことですね.
症例を提示します.
50代の男性の方です.胸痛発作にて他院受診.
心電図にて急性心筋梗塞と診断され、転院搬送となりました.
救急車内の心電図モニターでは、著明なST上昇が続き
強い胸痛が続いていました.病院に到着直後に
心室細動となりました.
ただちに心肺蘇生を施行.挿管、人工呼吸、心臓マッサージ施行しつつ
脈拍の改善がないため、PCPS(経皮的人工心肺)を装着、開始しました.
PCPSの開始により自己心拍再開し、血圧も改善.
そのまま緊急心臓カテーテル検査を施行しました.
CAGにて右冠動脈起始部の完全閉塞を認めました.
左冠動脈にも多枝病変を認め、3枝病変に伴った右冠動脈の急性心筋梗塞でした.
ただちに右冠動脈の病変に対してカテーテル治療を施行.
ステントの植え込みにて右冠動脈は良好に拡張し
血流も改善しました.
その後は、血圧も安定、脈拍も安定、心室細動などの
不整脈も再発せず、バイタル安定しました.
問題なくPCPSウィーにングしました.
左冠動脈の残存狭窄に対しては、バイパス手術となりました.
このように多枝病変により心室細動、心肺停止に至った症例では
迅速な対応と、PCPSを含めた専門的治療が必要になることが多く
幅広い専門スタッフの協力が必要になります.
徐脈にて来院した症例を示します.
80台の女性の方です.
呼吸困難、胸部不快で近医を受診.
心電図にて著明な徐脈、房室ブロックを認め
救急搬送されました.
房室ブロックによる血圧低下のために
カテ室で緊急で一時ぺーシングカテーテルを
挿入、ぺーシングを開始しました.
一時ぺーシングにて血圧は回復.
そのままぺーシングバックアップにて緊急心臓カテーテル検査施行しました.
右冠動脈造影にて右冠動脈#1での完全閉塞を認めました.
右冠動脈の急性心筋梗塞による房室ブロックと判断.
一時ぺーシングにて脈拍をバックアップしながら
カテーテル治療を施行、ステント植え込みにて
良好な拡張を得ました.
房室ブロックも改善し、軽快退院されました.
このような房室ブロックは、右冠動脈の急性心筋梗塞では
よく認めることがあります.
早期に適切な対応をすれば 治療することができます.
右冠動脈の急性心筋梗塞による房室ブロックは
一時的なぺーシングが必要になることはあっても
パーマネント(永久)ペースメーカーの植え込みが
必要になることは少ないようです.
次の症例は 60台の男性です.高血圧にて近医通院中でありましたが
突然の胸痛が出現.家族の車で病院に向かいました.
病院まであと3分というところで、顔面蒼白、眼球上転し
意識消失しました.病院到着時には、心室細動となっていました.
すぐに CPR開始.病院外の心肺停止としても
目撃者のいる心肺停止ということで、到着までの時間もわずかであったため
CPRにて良好に心拍再開、病歴、心電図より急性心筋梗塞が考えられたため
ただちに緊急心臓カテーテル施行.
まず状態安定のために大腿動脈より IABP(大動脈バルーンポンピング)を
挿入しました.
冠動脈造影にて、右冠動脈の起始部で完全閉塞を認めました.
右室枝がでる手前で閉塞していました.
幸い、カテーテル治療、ステント植え込みにて右冠動脈の血流は
良好に再開.多少時間はかかりましたが、その後、特に合併症もなく
独歩退院されました.
一般的な原則として左冠動脈に問題がない場合
右冠動脈の急性心筋梗塞では右室枝が ひとつの目安になります.
右室枝の分岐部よりも手前の閉塞による心筋梗塞では
心室細動になる危険性が増えます.図の(1)
逆に右室枝分岐より末梢の心筋梗塞では
心室細動になりリスクは少なくなります 図の(2)
以上、右冠動脈の急性心筋梗塞による不整脈について述べてきました.
右冠動脈の急性心筋梗塞は、心室細動となっても
早期のCPR、早期の血行再建が為されれば
救命が可能です.
救急隊、救命士のみなさんの初期治療に期待しています.
(本当にいつもお世話になっています、お仕事お疲れさまです.)
循環器科 進
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心肺蘇生にかかわる医療機器ーPCPSの蘇生への応用
http://tomochans.exblog.jp/3052227/
2006-01-19T23:49:42+09:00
2006-01-19T23:49:42+09:00
2006-01-19T23:49:42+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
心停止現場での早期で迅速な CPRが開始させるようになり
救命率の向上が期待されています.
しかし病院外の心肺停止で目撃者のいない症例では
病院搬送後の蘇生率や、救命率は、やはり低く
厳しい状態です.
大学病院などの救急救命センターを中心にして
心肺停止で病院に搬送された患者さんに
積極的に 経皮的人工心肺(PCPS)が臨床応用されています.
その報告をみると、症例が限定されているという条件付きながら
従来の高度2次救命処置の約10倍の社会復帰率 13%という
数字でした.
PCPSは蘇生法としては強力なものですが
救命蘇生法としては、しっかりと適応を満たす必要があります.
CPRでのPCPSの使用適応
1.従来の一次およびニ次救命処置に反応しない院内心停止患者
2.従来の一次およびニ次救命処置に反応しない院外心停止患者
(1)目撃者のある心停止
(2)明らかな一次性頭蓋内疾患をのぞく非外傷性疾患
ただし、刺創等の出血コントロールが可能な外傷症例を
含める
(3)年齢が60歳以下の症例
(4)20分以上の二次救命処置でも心拍の再開を認めない症例
除外項目
・心停止から救急隊のCPR開始まで15分以上経過している症例
・大動脈瘤破裂、低拍出量ショック、頭蓋内出血(脳出血)
コントロール不能な出血性疾患
・その他CPRリーダーが不適当と認めたもの.
上記の適応症例で、若く、心肺停止からすぐに適切なCPRが
施行された症例が、中断することなくPCPSを導入した例では
かなりの生存、社会復帰が期待されるものと思われます.
急性心筋梗塞、心室細動など治療可能な心臓疾患で心肺停止となった
症例では、心肺停止からシームレスにCPR、PCPS、カテーテル治療
もしくは、バイパス手術まで進めることができれば
治療効果が期待できるかもしれません.
ただし、実際に臨床現場でPCPSを導入するためには
いくつかの問題があります.
・高額な医療器械であり、導入できる医療機関が限られてくること
・PCPSの機械があっても、実際に患者が搬入されて
短時間で患者さんに装着し、人工心肺を回すためには専門の治療スタッフが
24時間体制で待機する必要があること
・限られた情報と限られた時間の中でPCPSの適応、不適応を決めるのは
非常に難しいこと
・高額医療となり適応を拡げた場合に今の保険医療制度で
カバーできるかどうか
実際に現場の立場で見てみますと、救急隊、救急救命士の方の努力で
速やかなCPRが行われたとしても
上の適応であるように心肺停止から20分以内にPCPSを開始することは
事実上困難なことが多いです.
PCPS可能な施設に搬送するだけで、すでに20分を越えてしまいます.
私の経験では、心肺停止から時間が経てば経つほど
PCPSを動かしても蘇生、生存の可能性が低くなります.
逆に、病院内で心肺停止となった(目撃者のいる)心室細動の方は
CPR後、PCPSをすぐに導入し
そのままカテーテル治療で冠動脈の治療を行いました.
この方は、蘇生、生存が可能でした.
基幹となる病院の全てにPCPS(経皮的人工心肺)を備え
24時間専門スタッフが 常時待機して備えるというのが
二次救命処置での救命率、生存率をあげるための最前の方法だとは
思われますが、なかなか現実には、難しいでしょうね.
先のガイドラインの話、PCPSの適応などを考え合わせますと
やはり早期のAED、早期の適切なCPRの開始が
やはり一番救命率をあげる方法だと思います.
東可児病院では、現在、PCPSを利用することはできませんが
新病棟の完成に合わせて 当院でもPCPSを使えるように
スタッフで努力して行く予定です.
これからもよろしくお願いいたします.
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AHAによる新しい心配蘇生のガイドライン(2005年版)ーその5
http://tomochans.exblog.jp/3048292/
2006-01-19T11:05:39+09:00
2006-01-19T11:05:39+09:00
2006-01-19T11:05:39+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
心停止の時のCPRのアルゴリズムです.
原本に基づいて当科で日本語訳したものです.
アップできる画像の画質に限界があります.
きれいな画像を希望される方は
当院までご連絡頂ければ
医療関係者、救急隊の方に限りペーパー、PDF ファイルなどを
お渡しします.
循環器科 進]]>
AHAによる新しい心肺蘇生のガイドライン(2005年版)ーその4
http://tomochans.exblog.jp/3041137/
2006-01-18T00:50:56+09:00
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2006-01-18T00:50:56+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
紹介します.
4 )心肺停止治療における昇圧剤、抗不整脈剤について
ボスミン(エピネフリン)が心肺停止治療に世界中で使用されているにも
かかわらず、これらの薬剤が心肺停止において使用されて
生存率や、退院に繋がる生命予後の改善につながるかどうかを
明らかにした大規模2重盲験試験はありません.
病院外での心肺停止の研究においては、心肺停止時間、経過のことなる
種々の集団の患者が混じっている為に、本来有効である治療法を
同定することも困難になっています.
病院外心肺停止について検討した5つの臨床試験において
バソプレッシン、エピネフリン(ボスミン)は、自発循環の再開、
24時間以内の死亡、退院前の死亡などの臨床指標の差異は
認められませんでした.そもそも心肺停止の蘇生の研究で
対照とすべき群で、全くエピネフリンなどの薬を投与しないわけには
いかず、その意味からも十分な臨床試験を行うことが困難です.
CPR中の坑不整脈薬剤の投与が、生存率の向上に繋がるかどうかの
データはありません.坑不整脈薬剤のひとつであるアミオダロンは
短い期間での生存率の改善(心拍再開して入院となるまで)が
証明されています.しかし退院までの生存率、長期の予後については
プラセボ、キシロカインなどの薬との差異はありません.
このように薬剤の心肺停止における長期予後の改善が証明されていないため、
薬剤の投与よりも確実なCPRの重要性がより強調されています.
2005年ガイドラインでも心肺停止の蘇生において
これまでと同様にエピネフリン投与は行うことに変わりはありません.
エピネフリン(ボスミン)1mg(1アンプル)を静注、または中心静脈投与
以後CPRを続行しながら3〜5分ごとに投与を続けるとなっています.
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筆者の個人的な意見を述べますと
2005年のガイドラインでは、より早期のAEDでの除細動と
確実で中断することのない適切なCRPの重要性がより
強調されています.
つまり、救急隊、救急救命士の方の初期治療の努力が
生命予後の改善に寄与していると考えられます.
様々な問題はあるとは思いますが
現場で救急救命を行っているスタッフの方々が存分に腕を振るえるように
そして少しでも救命率をあげることのできるように、努力して行かなければ
ならないようです.
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AHAによる新しい心肺蘇生のガイドライン(2005年版)ーその3
http://tomochans.exblog.jp/3037708/
2006-01-17T15:53:45+09:00
2006-01-17T15:53:45+09:00
2006-01-17T15:53:45+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
紹介します.
3)除細動の回数は、1回か3回のどちらがよいのか?
2000年のガイドラインでは、心室細動、脈のない心室粗動の治療のために
連続して計3回までの除細動が推奨されていました.
人間、動物において1回除細動法と3回除細動法を比較したまとまった
研究ははなく、最近の知見では3回除細動から
1回除細動への転換を指示するデータが増えています.
そもそも3回除細動法は、初期の除細動の出力が単相はによるもので
最初の1回で除細動出来る効果が低かった為と、
除細動を3回繰り返すことにより胸壁の伝動効率をたかめるために推奨された
経緯があります.
最近の2相波の除細動器では、1回の除細動で高い除細動効果を示します.
(除細動後5秒以内に心室細動が停止するかどうかで定義)
その効果は90%以上であり、ほとんどの場合、最新の除細動器を用いれば
1回で心室細動の除細動が完了します.
もし一回の除細動で心室細動が停止しない場合には、心室細動は、弱い電位であり
さらに除細動を繰り返しても停止する可能性は低い.
1回で停止しない心室細動の患者においては、2回目の除細動を行うより
適切で効果的なCPRを行うほうが、より大きな効果を持つと考えられます.
心室細動が停止したあとは、ほとんどの患者さんは、数分の間
有効でない(臓器潅流のない)リズムを示します.
(PEA Pulseless Electrical Activity)
この時の有効な治療、すぐにするべきことは、適切なCPRです.
従来型の古い除細動器では、3回除細動のあとリズム解析のために
29秒から37秒以上の時間がかかっていました.このために
リズムを確認してCPRを始めるまでに、余分な時間がかかってしまっていました.
上記のように心室細動静止後の脈は、PEA(脈のない電気的活動)であることが多く
遅れることなくCPRを続けることが重要であり、リズム解析のために
CPR開始が遅れることは正当化されません.
専門家の推奨によれば、蘇生を行う人は、除細動後はすぐに
心臓マッサージを始めるべきであるとされています.
少なくともCPRを5サイクル続けるまで、もしくは2分間のCPRが完了するまでは
リズムや、脈拍などの循環をチェックするために、
CPRの手を休めるべきではありません.
病院内で持続モニターが接続しているような特殊な状況においては
医師の裁量にて判断することになります.
1回除細動法の推奨は、最初の除細動の適切なエネルギー、電圧が
どれくらいのものかということを決定する必要があります.
AEDの除細動の通電波形には、除細動にあたって、
古いタイプの単相性波形(monophasic)のものでは360Jで一回が推奨されます.
一般の救急設備ではまだこの古いタイプの
単相性波形の形式のものが使用されていると思われます、
救命にあたるスタッフは自分の施設の除細動器のタイプと性能を把握し
その扱いに習熟する必要があります.
最近の新機種の除細動器では、2相性波形(biphasic)となっています.
2相性AEDの場合では150−200ジュール(biphasic truncated exponential waveform)、
あるいは別の機種では120ジュール(rectilinear biphasic waveform)の
1回除細動を推奨しています.
小児の場合は、単相性、2相性のどちらも 2J / Kgで行います.
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AHAによる新しい心肺蘇生のガイドライン(2005年版) ーその2
http://tomochans.exblog.jp/3036301/
2006-01-17T08:52:05+09:00
2006-01-17T08:52:50+09:00
2006-01-17T08:52:05+09:00
yangt3
2005年CPRガイドライン
AHAの新しい心肺蘇生のガイドラインについてお話します.
原本より要約をお伝えします.
今回は、心室細動による心肺停止のCPRについての議論です.
2)心室細動による心肺停止において心臓マッサージを優先するか
除細動を優先するのか という議論
最近のデータによると、発症から4〜5分以上経過した
心室細動による心肺停止の患者さんにも全て、まず除細動を行うという
方法に関して疑問が出されています.
発症から4〜5分以上経過した心室細動による心肺停止については
通常の心肺蘇生を行ったほうが生存率が高かったという研究報告があります.
しかし、この件については、十分といえるデータはありません.
除細動ブログラムにおいては
素人の目撃者による蘇生は、AED(自動体外式除細動器)を
出来るだけ速やかに使用する必要があるとされています.
救急要請発症から4〜5分以上経過して現場に駆けつけた救急隊員は、
心電図で心拍なし、心室細動、心室頻拍を確認しても、
除細動を行う前に、約2分間、5サイクルのCPRを施行する必要があります.
各救急隊スタッフ、救急救命士は、救急要請から到着、救急処置のシステム
プロトコールを平均反応時間から十分に検討する必要があります.
複数で蘇生を行う場合には、現場に駆けつけたスタッフの一人が
ただちにCPRを行い、もう一人が除細動を準備することにより
早期のCPRと除細動が可能になります.
ここで述べた病院外心肺停止のCPRについてのデータは不十分であり
(1)このCPRの方法が病院内の心肺停止にも応用できあるかどうか
(2)除細動前に行うCPRの理想的な施行時間がどれだけか
(3)心室細動の持続時間がどれだけ経過したら(長引いたら)
除細動を先にではなく、CPRを先に行ったほうがよいのか
こういう疑問については、まだ明らかではありません.
(図表は日本光電よりお借りしております)
AEDについては、その重要性を強調しても強調しすぎることはなさそうです.
一般の方、病院外、施設での目の前での心肺停止の場合は
まずAED(自動体外式除細動器)を使う方法を覚えるべきだと思われます.
救急隊、救命士の方、病院スタッフにおいては、心室細動発症から4〜5分以上
経過していればまずCPRから行いその後に除細動という手順に変更になります.
次のページも、この除細動の手順の変更について
わかりやすい図表がついていて参考になると思います.
心配蘇生法国際ガイドライン(G2005 )の紹介
http://www.kawamura-cvc.jp/AED.html
一般の方向けのAED(自動体外式除細動器)の使い方については
日本赤十字社のページが参考になります.
http://www.jrc.or.jp/safety/kinkyu/aed.html
循環器科 進]]>
https://www.excite.co.jp/
https://www.exblog.jp/
https://ssl2.excite.co.jp/