もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3

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心筋梗塞、狭心症に対しては、薬物治療、カテーテル治療、バイパス手術などが行われています.重症の狭心症、心筋梗塞の患者さんでは、カテーテル治療、バイパス手術が困難な場合もあります.カテーテル治療、バイパス手術後の狭心症再発に対しても治療が困難なことがあります.こうした患者さんへの新たな治療方法の研究報告が発表されました.
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骨髄幹細胞の冠動脈内注入に関する早期臨床試験で、駆出率が向上し、狭心症症状も改善した
Martha Kerr、Medscape Medical News、Reviewed by Ariana Del Negro
ダラス 11月21日
いくつかの種類の進行性心疾患に対して自己骨髄幹細胞(BMC)を様々な経路で注入する方法が、安全に実行できて有効であることが複数の早期臨床試験で示され、米国心臓協会学術集会2005(AHA 2005)で発表された。ヨーロッパのランダム化対照試験である「心筋梗塞後に左室機能が保存されている患者における経冠動脈前駆細胞移植」試験(TOPCARE-CHD)で、長期間安定した非急性心筋梗塞(MI)患者の梗塞責任動脈にBMCまたは末梢血幹細胞が注入された。a0055913_12495618.jpgTOPCARE-CHDの結果を発表したのは、ゲーテ大学(ドイツ、フランクフルト)の内科教授であるVolker Schachinger, MDである。3カ月以上12年以下の陳旧性梗塞による慢性安定虚血性心疾患で左室機能が保存されている患者109例に、BMCまたは末梢血幹細胞を注入するか、何も注入しないかの処置を行った。患者の平均年齢は59歳であった。BMC注入によって、左室駆出率(LVEF)が処置前に比べて3.1%向上した。末梢血幹細胞でも処置前に比べて駆出率が1.2%増加したが、対照群は処置前に比べてLVEFが1.2%減少した。Schachinger博士の報告によると、LVEFの改善度はニューヨーク心臓協会分類の改善と相関していた。1回拍出量は、BMC群では有意に増加し、標的梗塞部位にも増加があったが、この二つの測定値は末梢血幹細胞群と対照群ともに変化しないままだった。BMCと末梢血幹細胞はともに、プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(pro-ANP)の血清レベルを対照群に比べて「大きく」減少させた。幹細胞注入の効果は長期間持続するらしく、MIが成立した群では注入後半年以上持続する。急性MIにBMCを注入する試験では、効果が現時点で2年間も持続している.ハッセルト大学(ベルギー)のMarc Hendrikx, MD, PhDが、バイパス手術中に陳旧性梗塞域にBMCを直接注入したところ、バイパス手術のみ行った患者に比べて左室の収縮能と壁厚が有意に増加した。さらに別の試験では、重症の狭心症患者の症状が幹細胞治療によって低減したことをライデン大学医療センター(オランダ)のSaskia L. Beeres, MDが報告した。Beeres博士らが対象にしたのは、至適治療にもかかわらず狭心症が重度で、PCIまたはバイパス手術に適格でない患者22例である。腸骨稜から採取したBMCを冠動脈カテーテルを介して梗塞域に注入した。3カ月後、LVEFが55%から61%に向上し、左室の収縮終期容積が49 mLから41 mLに減少した。また、ストレス誘発性虚血を起こすセグメント数が6.1から2.2に減少した。
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この治療は、安全な治療法であり、心臓カテーテル治療を行うことのできる
施設、循環器医であれば、可能な治療法です.
まだ臨床治験の段階であり、日本での実用には、まだまだ時間がかかると思いますが
患者さんへの負担も少なく、これまで、カテーテル、バイパスも困難と
いわれていた重症の狭心症の患者さんにも朗報であると思われます.
一刻も早い実用化を期待しております.
by yangt3 | 2005-11-30 12:50 | カテーテルの話題
最近の心臓超音波の進歩は目を見張るものがあります.
心エコーでも、心臓の冠動脈の流れを推定することができます.a0055913_12455927.jpg
冠動脈の付け根(起始部、左主幹部など)は、直接、心エコーで
冠動脈、血流を見ることが
可能です.心エコーでは、心臓の断面を見ることができます.図のように心臓の各部位と冠動脈の分布の状態がわかっており心エコーで動きの悪い部分があれば、その部分の血流が悪いと判断されます.つまり、心エコーの所見から狭心症、心筋梗塞の診断、ひいては閉塞した
冠動脈の部位まで推定することが可能となっています.
当院では、日本でも有数の超音波の使い手である
足立 正純先生が超音波を担当しています.
足立先生は、学会でも座長や、コメンテーターなども勤めるほどの
腕前です.安心して検査をお任せください.
足立先生のホームページです.
http://www.medical-sounds.com/
学会発表、論文などがご覧になれます.よろしければご覧ください.
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by yangt3 | 2005-11-30 12:47
古高先生と東可児病院は古い繋がりがあります.
以前、古高先生は、東可児病院で仕事をされていた時期がありました.a0055913_23521948.jpg
循環器の診療をされ、ペースメーカー植え込み手術もなされました.東可児病院に古くから通っておられる患者さんのカルテには、古高先生の文字が今も残っています.今の東可児病院が作られる時に私の知人のお父さんが建築にかかわっておられました.その方は、今は古高先生と同じところに逝かれてしましましたが不思議な縁を感じています.結局、古高先生に導かれるようにして、今、私を含めてこの東可児病院で仕事をしています.人生に無駄なものは、何一つ無く
そして、なにかしら不思議な縁で繋がっているんだということを
最近、強く感じています.
これからもよろしくお願いします.
by yangt3 | 2005-11-29 23:53 | 古高先生の想い出

エコノミークラス症候群

エコノミークラス症候群に関するニュースが
報道されていました.エコノミークラス症候群とは
飛行機の座席などに長時間座り続けた場合に
下肢の静脈の血栓が生じて、その下肢静脈血栓が
肺動脈に引っ掛かり肺塞栓を起こす可能性もある状態です.
1.エコノミークラス症候群、初の全国実態調査へ
日経 ネット 11月29日
http://health.nikkei.co.jp/news/top/a0055913_014064.jpg
航空機などの座席に長時間座るのが原因で肺血栓を引き起こす「エコノミークラス症候群」について、日本旅行医学会(東京)は来年1月から1年間、インターネットのホームページ(HP)を利用して全国の旅行者らを対象にアンケート調査を実施する。全国規模で同症候群の実態を調査するのは初めて。同学会専務理事の篠塚規医師は「多くの事例を集めて分析し、予防や治療に役立てたい」と話している。成田空港内の診療所の調査によると、2004年までの約12年間で同症候群にかかった旅行者は91人(疑い例も含む)で、そのうち25人が死亡した。ただ調査の対象は成田空港で倒れるなどした重症例に限られ、「出国時や帰宅時に発症した事例や軽症例などは分からず、実態を把握し切れていない」。
2.機内以外でも起きるエコノミークラス症候群 
日経ネット IT-PLUS 11月29日
http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?i=20051129ac001aa
長時間座り続けた場合などに、足の静脈に血液の塊(血栓)ができる症状「エコノミークラス症候群」は飛行機の座席でしか発生しないわけではない。新潟県中越地震で被災住民の車中での寝泊まりが続いた際、発症の危険性が指摘されたように、地上であっても同じ姿勢を取り続ければ、発症しやすくなる。飛行機のエコノミーシートに座っていた乗客から最初に見つかったためこの別名が付いたが、正式には「深部静脈血栓症」と呼ぶ。同症候群が恐ろしいのは、血栓が血流に乗って主要な臓器を詰まらせてしまうことがあるからだ。特に肺動脈を詰まらせ、肺塞栓を引き起こすと、死に至る危険性が指摘されている。サッカー日本代表のFW・高原直泰が発症したことでも分かるように、比較的若い年齢層でも起きうる。長時間、足を動かさない状況に加えて、水分を取らずにいると、血液の粘度が高まって、さらに発症の危険度が増す。航空会社各社は長時間路線の機内で体操法やマッサージを収録したビデオを放映したり、ミネラルウオーターのペットボトルを配布したりといった予防サービスを提供している。アルコール摂取を控えめにすることや、ゆったりした服装を心がけることも予防に効果的という。日本航空(JAL)の公式サイトでは「快適な空の旅のために」というページで「ゆったりとした服装で身体を締めつけないようにしてください」「適度に水分を補給しましょう」「着席中でも足の運動を積極的にしましょう」とアドバイスしている。足の運動法を具体的に紹介したイラストも載せた。日本宇宙航空環境医学会のサイトでは「エコノミークラス症候群に関する提言」のページで40歳以上、肥満、糖尿病、高脂血症などの危険因子を挙げている。
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エコノミークラス症候群は、飛行機の中で起こるだけではありません.a0055913_031334.jpg
機内以外でもエコノミークラス症候群は起こります.同じ姿勢を長時間取り続けることによって
起こる可能性があります.このことはいくら強調しても強調しすぎることはないと思います.
40歳以上、肥満、糖尿病、高脂血症の危険因子のあるかたは、特に注意が必要と言われます.
具体的には
深部静脈血栓症の危険因子

低危険因子
40才以上、肥満、糖尿病、高脂血症、3日以内に受けた小外科手術(内視鏡的・肛門外科・皮膚科・眼科手術等)
中等度危険因子
下肢静脈瘤、心不全、6週間以内に発症した急性心筋梗塞、経口避妊薬を含むホルモン療法、真性多血症、妊娠・出産直後、下肢の麻痺、6週間以内に受けた下肢の手術・外傷・骨折
高危険因子
深部静脈血栓症・急性肺動脈血栓塞栓症の既往歴あるいは家族歴、先天性血栓形成素因、血小板増多症、6週間以内に受けた大手術(脳外科・心臓外科・整形外科・婦人科・泌尿器科手術等)、心血管系疾患の既往, 癌等の悪性腫瘍
となっています.
つまりは長時間の同一姿勢をさける、適時体操、歩行などで体をほぐす、足の運動も適時行う.
十分な水分の補給を心がける.ゆったりとした服装にする.
過度の飲酒を避ける等がエコノミークラス症候群の予防となるようです.
一般の方もこの病気に関する知識を持つ必要があります.
by yangt3 | 2005-11-29 23:49
典型的な胸痛の症状があり、心電図、血液検査で典型的な所見があれば、どの医療機関でも心筋梗塞を見逃すことは、まずありません.a0055913_858476.jpg
高齢者、糖尿病の方などで、しばしば診断が困難な場合があります.たとえば典型的な胸痛がない、食欲がないなどのありふれた症状では、お話だけでは診断困難です.
高齢者、糖尿病などで症状が分かりにくい場合もあります.
血液検査、心電図で異常がわからない場合もあります.
疑わしき時には、積極的に精査を進めるべきだと思われます.a0055913_8595886.jpg
そういう場合に、簡単な検査で診断の一助になる場合があります.
血液中のトロポニンと呼ばれる物質を測定するものです.
トロポニンは、心臓の筋肉(心筋細胞)を構成する
重要な成分の一つですが(たんぱく質)、心筋梗塞や狭心症などの
障害で血液中に流れ出します.
これを測定することにより早期に診断が可能です.
トロポニンT キットという簡単な測定キットがあります.
通常の血液検査で異常がない状態でも早期にトロポニンの異常を
検査することで心筋梗塞、狭心症の診断が可能です.
救急病院では測定可能となっています.当院も検査可能です.
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by yangt3 | 2005-11-29 09:01

心筋梗塞、狭心症の診断

狭心症、心筋梗塞の診断は、専門の熟練した医師により
行われます.臨床症状、心電図、血液検査、
心臓超音波検査などにより総合的に判断されます.
最も重要なのは、患者さんのこれまでの症状の経過です.
喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症などの治療歴も重要です.
これまでの健診結果も参考になります.
家族、親戚の方で心筋梗塞、狭心症に罹った人がいないか.
心筋梗塞、狭心症の症状は、胸痛、息切れだけではありません.
胃の痛みや、肩の痛み、背部痛、頚部の痛みなど
胸痛以外の症状もあります.ありのままの症状を担当医に
伝えていただくことが診断の近道です.
by yangt3 | 2005-11-29 08:57
<大動脈瘤>原因たんぱく質の異常確認 山口大医学部
11月28日毎日新聞
破裂すると大出血して多くの患者が死亡する大動脈瘤(りゅう)の原因となる細胞内のたんぱく質の異常を、山口大学医学部の松崎益徳教授、青木浩樹助教授らのグループが突き止めた。動物実験でこのたんぱく質の働きを抑える薬を与えると大動脈瘤が縮小したといい、同グループは「薬剤による治療の道が開けた」としている。a0055913_141054.jpg
成果は米医学誌「ネイチャー・メディシン」12月号に発表される。腹、胸部などにできる大動脈瘤は、血管の壁が弱くなり、血圧に押されて風船のように膨らむ病気。コラーゲンなど血管壁をつくる材料が分解されやすくなったり、材料を合成する能力が落ちることが血管壁を弱くすると考えられている。病気の進行を遅らせる薬は登場しているが、根本治療には患部を人工血管に置き換える手術が必要で、患者の負担も大きい。松崎教授らは、患部で血管壁の材料を分解する酵素が増え、逆に材料を合成する酵素が減少することを確認。その原因が「JNK」というたんぱく質の働きが異常に高まることにあると考えた。大動脈瘤を持ったマウスにJNKの働きを抑える薬を与えたところ、血管壁をつくり直す能力が回復し、大動脈瘤が小さくなったという。研究グループは臨床応用に向け、さらに効果的な薬や投与法を開発中。松崎教授は「手術しか方法がなかった動脈瘤を薬で小さくできれば、治療の選択肢が広がる」と話している。
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大動脈瘤は、放置し破裂すれば悲惨な結果となります.
現時点では、大動脈瘤に関しては、適切な時期に
専門の心臓血管外科医に手術をしてもうのが唯一の
治療法となっています.
今回のこの研究は、薬剤治療で動脈瘤を縮小、治療できる
可能性を開いたものです.たとえば、健診や検査で
動脈瘤を指摘、診断されても、この薬剤治療にて
動脈瘤が縮小し手術を受けずにすむ時代が
到来するかもしれません.
by yangt3 | 2005-11-28 14:02

常に患者さんと共に

いつも患者さんと共に悩み
苦しみ、そして喜びをわかちあったそんな先生でした.
古高 先生.
病気を直すだけでなく人を直す(癒す).
そんな先生でした.
心臓カテーテル検査のあとも
そっと優しく患者を気遣う 古高先生.
誰もがいつまでも 貴方を忘れずにいます.
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by yangt3 | 2005-11-28 13:44 | 古高先生の想い出
心電図検査は心臓の電気的活動を記録するものです.a0055913_8521310.jpg
心臓は、刺激伝導系と呼ばれる電気信号のシステムがあり絶え間ない心臓の収縮を制御しています.種々の心臓病で心電図に異常が見られます.最も基本的な検査です.心電図でわかることは、心筋梗塞、狭心症の診断.不整脈の診断などが主なものです.どこでも簡単に、病室でも検査できることが特徴です.心電図で異常が出にくい場合もありさらなる精密検査が必要となることも多いです.

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負荷心電図、トレッドミル検査というのは
運動負荷をかけて心電図の変化を見るものです.
狭心症など冠動脈に異常があれば心電図に異常が出る場合
があります.心電図で異常がでなくても
症状や経過から狭心症が疑われる場合には
心臓カテーテル検査を積極的に行うことをお勧めします.
(最近では、64列CT など高機能なCT 検査が利用できるように
まりましたが、まだまだ心臓カテーテル検査の必要性は
変わりません).
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by yangt3 | 2005-11-28 08:54

慢性完全閉塞の症例

薬剤溶出ステント Cypher は
慢性完全閉塞(CTO; Chronic Total Occlusionと呼ばれます)の
病変に対しても有用です.
症例を示します.
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60代の男性の方です.数年前に狭心症のために
バイパス手術を受けておられます.最近胸痛が出現.
狭心症再発とのことで、カテーテル検査を行ったところ
右冠動脈へのバイパスが完全閉塞していました.
そこで元々の右冠動脈の病変に治療を行いました.
病変を示します.右冠動脈の完全閉塞です.
治療は、病変部を全て薬剤溶出ステントを植え込み
フルカバーし良好な血流、拡張を得ました.
Cypher は、このような長い閉塞病変でも
良好な成績が期待されます.
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by yangt3 | 2005-11-27 08:30 | カテーテルの話題