狭心症のバルーン拡張の流れ
2005年 12月 26日
PTCAはPerucutaneous Transluminal Coronary Angioplastyの略です.
POBAはPlain old balloon angnioplastyの略です.
最近では、バルーン拡張、ステント植え込みなど治療が多岐にわたるため
一括して PCIと呼ぶことが多いです.
PCI ; Percutaneous Coronary Intervention.
今回は、PTCA(POBA)の流れについて説明します.
バルーン拡張のみで治療が終了することは比較的まれですが
この治療手技は、全ての基本ですので説明します.
1)ガイドカテーテル挿入
手首の血管(または、大腿動脈の血管)から穿刺.
治療用のカテーテル(ガイドカテーテル)を挿入.
治療すべき血管まで進めます.ガイドカテーテルは
治療するべき血管に合わせて種類を選択します.
ガイドカテーテルにて確認造影を行い
病変の位置を確認します.
2)ガイドワイヤーの挿入
続いて細いガイドワイヤー(0.014)をガイドカテーテルから
冠動脈の病変を通して行きます.このガイドワイヤーを使って
いろいろな器具を病変まで進めることができます.
病変が非常に狭い場合には、困難なことが多く、一番重要な手順です.
3)拡張用バルーンの挿入
病変の拡張用のバルーンをガイドワイヤーに沿って冠動脈に進めます.
バルーンのサイズは、冠動脈病変の血管に合わせて、長さ、直径を選びます.
病変が固く、閉塞が強い場合には、太いバルーンが通過しない場合もあり
数種類のサイズのバルーンを使いわけて治療することがあります.
4)バルーンによる病変拡張
病変にバルーンを進めて、位置を確認し手元の操作にて
バルーンを拡張します.
バルーンの膨らみ具合より病変の拡張を確認します.
病変拡張が不十分な場合には、何度か拡張を繰り返したり、
拡張の圧を増やしたり、サイズを大きくしたバルーンを用いて
拡張を続けます.
5)バルーン抜去
十分なバルーン拡張にて病変が良好に拡張されたことを確認します.
確認は、造影、場合により血管内超音波などを用いて確認します.
再び、ガイドワイヤーにそって、バルーンを抜去します.
最後にガイドワイヤーも抜去します.
6)造影で病変拡張が良好であることを確認し手技を終了します.
最近では、バルーン拡張で終了することは少なく、バルーン拡張の後に
ステント植え込みが行われることが多いです.
ステントは、原則として薬剤溶出ステントを使用します.
バルーン拡張のみで終わる場合は、
1)血管径が細い病変の場合
2)ステント再狭窄に対する再治療の場合
3)グラフト吻合部の狭窄に対する治療の場合、などがあります.
ガイドカテーテル、ガイドワイヤー、治療器具の基本的な使用方法、組み合わせは
バルーン拡張、ステント植え込みなどで共通しています.
これからカテーテル治療を受けられる方のご参考になれば幸いです.
なお図は、GETZ BROS.CO.LTD のご好意によるものです.
循環器科 進