もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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狭心症のバルーン拡張の流れ

PTCA (またはPOBAと呼ばれます)について説明します.
PTCAはPerucutaneous Transluminal Coronary Angioplastyの略です.
POBAはPlain old balloon angnioplastyの略です.
最近では、バルーン拡張、ステント植え込みなど治療が多岐にわたるため
一括して PCIと呼ぶことが多いです.
PCI ; Percutaneous Coronary Intervention.
今回は、PTCA(POBA)の流れについて説明します.
バルーン拡張のみで治療が終了することは比較的まれですが
この治療手技は、全ての基本ですので説明します.
1)ガイドカテーテル挿入
狭心症のバルーン拡張の流れ_a0055913_21321176.jpg

手首の血管(または、大腿動脈の血管)から穿刺.
治療用のカテーテル(ガイドカテーテル)を挿入.
治療すべき血管まで進めます.ガイドカテーテルは
治療するべき血管に合わせて種類を選択します.
ガイドカテーテルにて確認造影を行い
病変の位置を確認します.
2)ガイドワイヤーの挿入
続いて細いガイドワイヤー(0.014)をガイドカテーテルから
冠動脈の病変を通して行きます.このガイドワイヤーを使って
いろいろな器具を病変まで進めることができます.
狭心症のバルーン拡張の流れ_a0055913_21335458.jpg

病変が非常に狭い場合には、困難なことが多く、一番重要な手順です.
3)拡張用バルーンの挿入
狭心症のバルーン拡張の流れ_a0055913_21352541.jpg

病変の拡張用のバルーンをガイドワイヤーに沿って冠動脈に進めます.
バルーンのサイズは、冠動脈病変の血管に合わせて、長さ、直径を選びます.
狭心症のバルーン拡張の流れ_a0055913_21355251.jpg

病変が固く、閉塞が強い場合には、太いバルーンが通過しない場合もあり
数種類のサイズのバルーンを使いわけて治療することがあります.
狭心症のバルーン拡張の流れ_a0055913_2137286.jpg

4)バルーンによる病変拡張
病変にバルーンを進めて、位置を確認し手元の操作にて
バルーンを拡張します.
狭心症のバルーン拡張の流れ_a0055913_21373682.jpg

バルーンの膨らみ具合より病変の拡張を確認します.
病変拡張が不十分な場合には、何度か拡張を繰り返したり、
拡張の圧を増やしたり、サイズを大きくしたバルーンを用いて
拡張を続けます.
5)バルーン抜去
狭心症のバルーン拡張の流れ_a0055913_21383483.jpg

十分なバルーン拡張にて病変が良好に拡張されたことを確認します.
確認は、造影、場合により血管内超音波などを用いて確認します.
再び、ガイドワイヤーにそって、バルーンを抜去します.
最後にガイドワイヤーも抜去します.
狭心症のバルーン拡張の流れ_a0055913_2139774.jpg

6)造影で病変拡張が良好であることを確認し手技を終了します.
狭心症のバルーン拡張の流れ_a0055913_21394777.jpg

最近では、バルーン拡張で終了することは少なく、バルーン拡張の後に
ステント植え込みが行われることが多いです.
ステントは、原則として薬剤溶出ステントを使用します.
バルーン拡張のみで終わる場合は、
1)血管径が細い病変の場合
2)ステント再狭窄に対する再治療の場合
3)グラフト吻合部の狭窄に対する治療の場合、などがあります.
ガイドカテーテル、ガイドワイヤー、治療器具の基本的な使用方法、組み合わせは
バルーン拡張、ステント植え込みなどで共通しています.

これからカテーテル治療を受けられる方のご参考になれば幸いです.
なお図は、GETZ BROS.CO.LTD のご好意によるものです.

循環器科 進
by yangt3 | 2005-12-26 21:40