冠動脈の分類について ー右冠動脈ー
2006年 01月 05日
心臓の冠動脈の状態を知ることができます.
AHA(アメリカ心臓病協会)によって冠動脈の分類が
なされています.この分類は AHA 分類とよばれ
世界共通です.
冠動脈をその解剖学的な形状から それぞれの部位に
番号付けがされています.
心臓カテーテル検査、治療を行うにあたって
この冠動脈分類をしっかり把握する必要があります.
まず右冠動脈から説明します
1)右冠動脈は その根元の部分が#1と呼ばれています.
以後右冠動脈の末梢まで順番に#4まで分類されています.
・#1ー右冠動脈起始部より鋭縁部までを2等分し近位部を#1と呼びます.
通常は右室枝(RV ; Right ventricular branch)の起始部と
一致します.つまり右冠動脈起始部からRV分岐までが#1です.
・#2ー起始部から鋭縁部まで2等分した遠位部を#2と呼びます.
通常は右室枝(RV)起始部から鋭角枝(AM)起始部までです.
・#3ー鋭角枝(AM)から後下行枝(PD)起始部までを#3と呼びます.
・#4ー後下行枝(PD)分岐部より末梢の右冠動脈を#4と呼びます.
房室結節枝があるものを#4AVと呼びます.
後下行枝は#4PDと呼びます.
その他の血管の名前としては
・SN ; Sinus node artery 洞結節枝
・CB;Conus branch
・RV;Right ventricular branch 右室枝
・AM;Acute marginal branch 鋭角枝
・AV;AV node artery 房室結節枝
・PD;Posterior descending artery 後下行枝 などがあります.
実際の右冠動脈造影を示します.
右冠動脈の起始部から末梢までが十分に観察されています.
正常の右冠動脈であり 狭窄や閉塞などの病変は認めません.
上のAHA分類にならって、右冠動脈の部位の分類が可能です.
治療対象となる右冠動脈造影を示します.
急性心筋梗塞で来院された患者さんの造影です.
右冠動脈の中央の部分で完全閉塞となっています.
上のAHA分類でいうと#1です.細い右室枝(RV)が造影されています.
狭窄病変はその手前から認めています.
この方は、ただちに緊急ステント植え込み術が施行されて
無事に軽快されています.
このようにAHA分類で冠動脈を分類することにより
#1、#3と番号を伝えるだけで 冠動脈造影を見なくても
正確に冠動脈の病状を知ることが可能になります.
医療スタッフ間での 情報伝達もこのAHA冠動脈分類をもとにして
なされています.