もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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コンスタント先生 講演会の抄録 心不全の分類について

コンスタント先生の講演会の抄録の続きです.
心不全についてのお話がありました.

うっ血性心不全の症状からの診断として
呼吸困難についてお話がありました.

呼吸困難(Dyspnea)は、心臓病による肺うっ血の症状です.
心筋梗塞、狭心症などによる虚血性心不全、
僧帽弁狭窄、大動脈弁狭窄などの弁膜症による心不全、
左心不全などが原因となります.

心不全の重要な症状である呼吸困難の分類については
有名な NYHA 分類の説明がありました.
これは1994年にニューヨーク心臓協会
(NewYork Heart Association NYHA)による心機能分類です.
呼吸困難という症状から
心不全、心機能の程度を分類するものです.
これは軽症の I度から重症のIV度まであります.
具体的には
・NYHA I度;心不全を有するが、身体活動には制限はなく、通常の身体活動では   
      疲労、同期、呼吸困難、狭心痛などは生じないもの
・NYHA II度;心疾患のために、身体活動に少しの制限はあるが
      安静にすると楽に生活できる.通常の身体活動で疲労、動悸、
      呼吸困難、狭心痛を生じる
・NYHA III度;身体活動に強い制限のある患者であるが、安静にすると
      楽に生活できる.通常運動以下の身体活動で披露、動悸、
      呼吸困難、狭心痛を生じる
・NYHA IV度;心疾患を有し、いかなる身体活動をするときにも苦痛を伴う.
      心不全、狭心症などの症状が安静時にも認められることがある.
      いかなる身体活動によっても苦痛が増強する.
となっています.
これらを使って患者さんの心不全、呼吸困難の症状を
NYHA II度という風に表現します.
弁膜症などによる心不全の場合には、
NYHA III、NYHA IVはオペ対象となります.
実際には手術決定には、心エコーの所見、カテーテルの所見などを
参考にして決められます.
NYHA分類を用いる意味は、呼吸困難という簡単な指標から
だいたいのおおまかな、心不全の重症度の目安がつけられるという点です.
救急来院される心不全においては、安静時にも心不全、狭心症、呼吸困難が
出現した状態であるため、NYHA IV度ということになります.

コンスタント先生の講義の追加事項として
呼吸困難について説明します.呼吸困難も状況によって
さらに細かい分類がされています.

・労作性呼吸困難(Exertional Dyspnea)
 運動、歩行、階段昇降などによって呼吸困難が生じるものです.
 運動負荷により心臓の左心房の圧が上昇し、肺うっ血を生じ
 呼吸困難を生じます.

・起座呼吸(Orthopnea)
 臥位、横になると呼吸困難が増強し、起き上がり、座位になると
 呼吸困難が軽快する状態です.これも肺うっ血によります.
 救急搬送される心不全の方は、しばしばこのような起座呼吸の状態であり
 座位の状態で救急搬送されることがあります.
 無理に臥位、横にした状態で搬送すると、一気に呼吸困難が増悪し
 チアノーゼ、引いては、挿管、人工呼吸が必要な状態に
悪化してしまうこともあります.

・発作性夜間呼吸困難(Paroxysmal nocturnal dyspnea)
 これは、左心不全の重要な症状です.
 昼間は呼吸困難の症状がなく、夜間就眠後1〜2時間後に
 突然、呼吸困難が増強するものです.
 起座、立位になることで症状は改善します.
横臥位、横になった姿勢では、下肢からの心臓への血液の環流量が増加し
そのために心臓の負担が増え、心臓が負担に耐えきれず、結果として
肺うっ血となり呼吸困難を生じます.

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以上、呼吸困難についてまとめると
呼吸困難は、心不全の重要な症状であり、左心房圧上昇に伴う
肺うっ血により引き起こされます.
NYHA 分類は世界中で最もよく使用される分類です.
by yangt3 | 2006-02-01 12:45 | コンスタント先生