もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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スタチンとβ遮断薬で急性心筋梗塞を予防

スタチンとβ遮断薬は初回冠動脈イベントの重症度を低下させる可能性がある
という報告があります.

高脂血症の薬剤であるスタチンとβ遮断薬を内服することにより、虚血性心疾患の
冠動脈症状の最初の発現が
急性心筋梗塞よりも安定狭心症になる可能性が高くなることが報告されています.
これらの薬剤を服用していれば
重症の急性心筋梗塞は予防できるということです.

Kaiser Permanente of Northern California(オークランド)の
Alan S. Go博士を主任とする研究チームによる報告です.
アメリカの内科雑誌である
Annals of Internal Medicine誌2月21号に掲載されています.
Ann Intern Med 2006;144:229-238,296-297.
(ロイター2月21日付)

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彼らは急性心筋梗塞を発症した男女916名と安定労作性狭心症を発症した
男女468名をプロスペクティブに登録し、検討しています.
スタチンの使用率は狭心症の患者よりも急性心筋梗塞患者で有意に低かった
(19.3%対40.4%、p<0.001).
β遮断薬の使用率に関しても結果が類似していた
(19.0%対47.7%、p<0.001).

冠動脈疾患の初回発症として
致死性心筋梗塞または心臓突然死を発現する可能性がある
患者2,758例のデータを解析したところ、
同様に狭心症の患者よりもスタチン(14.0%)および
β遮断薬(21.9%)の使用率が有意に低いことが判明した.

多変量ロジスティック回帰分析では、
複数の交絡因子について調整した後も、
β遮断薬とスタチンの最近の使用が冠動脈疾患発症の有意な予測因子であった.
急性心筋梗塞の臨床予測因子は高血圧、糖尿病、喫煙および男性であった.

スタチンはLDLコレステロール値を低下させることに加えて、
内皮機能を改善し、酸化窒素の利用可能性を高め、炎症を抑制し、
プラークを安定化させること、その機序として考えられています.

β遮断薬には血圧をコントロールする作用の他に
「血管を安定化させる作用」があると考えられています.

今回の報告を総合すると
男性の方で糖尿病、高血圧、喫煙のリスクのある人は
スタチン、β遮断薬の投与を検討することにより
急性心筋梗塞の発症のリスクを減らすことができるはずです.

β遮断薬は、糖尿病を悪化させる恐れがありますが
少量投与は可能です.
糖尿病悪化の恐れよりも、急性心筋梗塞の発症の減少の効果の方が
大きければ投与する価値はあります.

循環器医師は、これらの最近の研究の成果を踏まえて
みなさんの内服の調整を細かく行っております.
by yangt3 | 2006-03-06 06:59