幹細胞の膜で心筋梗塞治療
2006年 04月 03日
心筋梗塞(こうそく)を起こした心臓にはり付け、
機能を回復させる治療法の実験が成功したそうです.
幹細胞の膜で心筋梗塞治療 ネズミで実験成功
http://www.asahi.com/science/news/OSK200604020060.html
asahi.com 4月3日
血管や心筋になる能力がある幹細胞を薄膜状に培養して、
心筋梗塞(こうそく)を起こした心臓にはり付け、
機能を回復させる治療に、
国立循環器病センターや東京女子医大などのチームが
ネズミを使った実験で成功した。
今後、ブタでの実験で安全性などを確認した後、
まずは子どもの心臓病治療への応用を研究するという。
3日付の米医学誌ネイチャーメディシン電子版で発表する。
心筋梗塞を起こすと、心筋が死んで心臓の厚さが薄くなり、
収縮する能力が落ちてしまう。
開発した治療法は、ネズミの皮下脂肪から、
幹細胞を取り出して培養。厚さ0.02ミリの薄膜にする。
心筋が薄くなった場所にこの薄膜をはり付けると、
約30倍の厚さに増殖して血管や心筋も再生した。
半分になっていた心臓の厚さはほぼ元に戻った。
心筋梗塞を起こして約1カ月後のネズミに薄膜をはる治療をしたら
その後の生存率は100%だったのに、
治療をしなかった方は約70%だった。
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心筋梗塞の治療においては、ステント植え込み治療や
バイパス手術などが行われますが
虚血の進行により心筋ダメージが進行し
心筋細胞が壊死に陥り繊維化が進むと
心臓の壁が薄くなってしまい、最終的には、心臓拡大、心不全に
至ります.
心筋が薄くなってしまった心臓では、通常の治療では
心筋の再生は、比較的困難な場合がほとんどです.
今回の幹細胞を利用した
いわゆる再生治療は、こうした心筋梗塞で心不全になった
患者さんにとって朗報といえます.
具体的にヒトでの臨床応用にはまだ克服すべき
いくつかの問題点がありますが
早く、臨床の現場でこうした最新の治療法が
可能になることが期待されます.