心肺停止後3時間後に蘇生!
2006年 06月 09日
心肺停止となった29歳の男性が
懸命の集中治療により
無事に生還し退院となったそうです.
<心肺停止>3時間後に蘇生 山岳遭難の男性、信州大病院で
Excite ニュース 06.6.8
http://www.excite.co.jp/News/society/20060608194100/20060609M40.061.html
信州大医学部付属病院(長野県松本市)は8日、
今年4月に長野県の北アルプスで遭難し、
3時間近く心肺が停止した埼玉県鴻巣市の男性(29)が回復し、
今週中にも退院すると発表した。
同病院の岡元和文救命救急センター長は
「心肺停止から回復した例としては国内で最長ではないか。
同じような患者の命を守ることが出来るという
貴重な例になった」と話している。
この男性は4月8日、同県小谷村の白馬乗鞍岳(2436メートル)で
仲間4人とともに遭難した。9日朝に発見されたが、
3人が死亡、男性は意識不明の重体だった。
男性は同日午前9時ごろ、心肺停止が確認されたが、
「蘇生の可能性がある」として信大病院に搬送され、
約3時間後に人工心肺装置を装着。
病院到着時に約22度の低体温状態だったが、装着後に心拍が再開した。
入院3週間後には「寒い」などの言葉を発し、
今月初めには歩行や読書も出来るようになった。
退院後は自宅で、まひの残る指先などのリハビリに取り組むという。
男性はサイン入りの手記を公開。
「心肺が停止したにもかかわらず、生きて帰れました。
今ではお手洗いなども一人で出来るようになりました」などと喜びを表した。
心肺停止状態が続くと脳がダメージを受け、
死亡または障害が残る可能性が高い。
一方、低体温状態では脳のエネルギー消費が少なくなるため、
停止後でも、蘇生することがあるという。
岩手医科大医学部救急医学講座の井上義博助教授は
「これほど長時間停止した後に回復したのは驚き。
迅速な対応と、若さが持つ体力などが奇跡的な回復を支えたのではないか」
と話している。
信州大によると、低体温下で心肺停止し回復した海外での最長記録は、
ノルウェーで報告されている6時間半という。
-------------------------------------------------------
雪山での遭難や、低温の水面下などでの心肺停止の場合には
このように回復する 症例が報告されています.
逆にいえば、こうした状況での
心肺蘇生の努力は、できる限り続ける必要があります.
ここで使用されている人工心肺装置(いわゆるPCPS)は
どこの病院でも一般的に、そして緊急的に使用できるものではありません.
脳や、心臓の不可逆的な障害が進行する前に
心肺蘇生からいかに迅速にこの経皮的人工心肺を装着し治療を行う事が
蘇生のかなめでもあります.
心肺停止に至る原因はさまざまです.
それぞれの病因にあった適切な治療を心肺蘇生と同時に行う事も
重要になります.
救急救命の道のりは、本当に深く
こうした貴重な経験を積み重ねる事で前に進む事ができると思います.