もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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最近の狭心症への取り組み

東可児病院循環器科では
狭心症、急性心筋梗塞などの虚血性心疾患に対する
カテーテル治療に重点的に取り組んでいます.

平成17年7月に当院着任以来
心臓カテーテル検査も日帰りで行っています.

急性心筋梗塞以外の狭心症のカテーテル治療も
一泊二日の入院で行っています.

最近の治療の実際について御紹介いたします.

最近の狭心症への取り組み_a0055913_0153913.gif

モデルは、当院事務長さんです(笑)




1) 石灰化病変
当院では、心臓外科が併設していないため
バイパス手術を必要とする患者さんは、
近隣の基幹病院に紹介しています.

最近の傾向として、透析患者さんの治療の
占める割合が増加しています.
また透析に至った原因が糖尿病である方も
多く、結果的に
狭心症の原因となる狭窄が石灰化が強く
非常に固い病変が多いようです.

当院では、心臓外科がないため
ロータブレーターが使用できず
バルーンやステントなどの通常のデバイスで
治療を行っています.

最近経験した症例です.
右冠動脈に95%の狭窄を認めました.
かなり強い石灰化を伴っていました.

最近の狭心症への取り組み_a0055913_0165462.gif


ワイヤーの通過は可能であったものの
通常バルーンが通過せず
ダブルワイヤーとガイドカテバックアップを
併用してなんとか1.5mmバルーンが通過.
IVUSでは、全周性の石灰化病変でした.
1.5mmから型通り、順次サイズアップし
バルーンによる前拡張を行い
最終的にステントを植え込み
良好な拡張を得ています.

最近の狭心症への取り組み_a0055913_0172851.gif


このように石灰化病変も通常のデバイスで
頑張っていますが、バルーン不通過の場合は
当院での治療を断念し
ロータブレーター可能な施設への
紹介をしています.

将来的には、当院でも
64列CTの導入を予定しており
高性能CTが導入された暁には
事前に 冠動脈CTによる評価によって
石灰化やバルーンによる治療の可能性について
現在よりも細かく判定ができるものと
期待しています.

2)慢性完全閉塞病変
最近のカテーテル技術の進歩により
これまで困難であった慢性完全閉塞病変についても
カテーテル治療が可能となってきています.
当院でも症例を選んで
こうした慢性完全閉塞病変の治療を
行っています.

左回旋枝起始部での慢性完全閉塞病変です.
閉塞期間は不祥ですが
強い石灰化は認めませんでした.

最近の狭心症への取り組み_a0055913_0175450.gif


苦労してワイヤーの病変通過が可能でした.
順次、バルーンによる拡張を行い
ステントを植え込みしました.
分岐の狭窄もステントをおいて
最終的に左回旋枝起始部にステントを
植え込みしています.
ステントは、薬剤溶出ステントである
Cypherを用いています.

治療によって左回旋枝の
完全血行再建が得られました.

最近の狭心症への取り組み_a0055913_0181917.gif


この方は、3枝病変であり
慢性完全閉塞のカテーテル治療が
うまくいったため、順次
残りの病変についても
カテーテル治療を行い
治療を完了させる予定です.

このように、東可児病院での
循環器、カテーテル治療の歴史は
まだまだ始まったばかりです.

周辺の大きな病院に比較しますと
スタッフも設備もまだまだこれから
充実させるべく発展途上です.

最近では、従来であればバイパス手術の
適応となるような左主幹部病変も
カテーテル治療が行われるように
なってきています.
当院でも将来的には、こうした
高度な治療に対応できるように
スタッフ、設備の充実を
図って行きたいと思います.

基本的には、救急での対応ができることを
原則とし、患者さんの安全が第一で、
順次、当院で治療可能な症例を
完璧に治療できるように
努力を重ねて行きたいと思います.

施設基準が必要な
ロータブレーターを必要とする症例
バイパス手術を要する症例は
近くの基幹病院に紹介しています.

現在は、血管内超音波を用いた治療ですが
近い将来には64列高性能CTをぜひ
当院にも導入して
よりよい循環器、カテーテル治療ができますよう
頑張って行きたいと考えます.

今後もよろしくお願いします.

最近の狭心症への取り組み_a0055913_0184383.gif

by yangt3 | 2006-11-08 00:19 | カテーテルの話題