もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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心臓突然死を防ぐために

なんの前兆もなく元気に過ごされていた方が
突然の心肺停止にいたって
病院に担ぎ込まれることがあります.

いわゆる突然死というもので
予期されない突然の病死のことです.

医学的には発症から死亡までの時間が
24時間以内とされています.

こうした突然死の原因としては、やはり
心臓に原因にあるものが6割以上と
いわれています.

突然死の原因となる心臓疾患としては
急性心筋梗塞、狭心症、不整脈(心室細動)、
弁膜症、心不全、心筋症などです.

それ以外には、脳出血、くも膜下出血などの
脳血管障害、消化管疾患などもふくまれます.

突然死を防ぐためには、つまるところ
心臓突然死を防ぐということになります.

心臓突然死を防ぐために_a0055913_2082494.gif





心臓突然死の中でも最も重要なものが
急性心筋梗塞です.

急性心筋梗塞においては、冠動脈の動脈硬化により
急速に血管の閉塞が起こり症状を発症します.
心筋梗塞に合併し心室細動などの危険な不整脈も起こり
適切な対応、治療を行わなければ
危険な状態となります.

場合により急性心筋梗塞発症後に
心室細動を併発し、1時間以内に突然死にいたることも
あります.

急性心筋梗塞に合併した心室細動でも
発症後すぐに迅速にAEDによる
除細動を行い、引き続きカテーテル治療を行えば
救命の可能性が高まります.

事実、心室細動を合併した急性心筋梗塞において
迅速な救急搬送と、救急救命士による
迅速、的確なAEDによる除細動、引き続きの
素早いカテーテル治療により
救命した症例もあります.

除細動や心肺蘇生にて自己心拍が再開しない症例でも
短時間に人工心肺やカテーテル治療による
迅速な冠動脈の血行再建を行うことによって
救命に至った症例もあります.
ただこうした例は、まれであり
人工心肺がどこの病院でも可能なわけではなく
予後はきわめて悪いといわざるを得ません.

突然死への予防、対応として
すべての人々がAEDを含めた一次心肺蘇生法を
マスターすることが重要です.

それ以前に心臓突然死を予防するために
生活習慣の見直し、早めの細かい心臓の専門的な
健診が大切です.

突然死は、就眠中に多いと言われています.
平成六年度の厚生省の突然死に関する研究では、
就寝中がもっとも多く、
次いで入浴中、休養・休憩中、排便中と
なっています。
また、突然死の原因でもっとも多い心筋梗塞発作は
朝方にピークがあることが知られています。

深夜から未明にかけての
心肺蘇生の救急には、こうした背景があり
受け入れる側として、かなり緊張します.

急性心筋梗塞で来院した患者さんたちも
症状の出現、発症が急激なようですが
救命治療のあとで、落ち着いてよく話を聞いてみると
典型的な症状でないにしろ
なんらかの「サイン」があったようです.
あとはその「サイン」に気がつくかどうかです.

高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病、運動不足、喫煙など
メタボリック症候群はいうに及ばず
精神的なストレスの解消も重要なことです.

心臓突然死を防ぐために_a0055913_208482.jpg

by yangt3 | 2007-01-25 18:34