ステント治療後の薬の問題
2007年 02月 19日
ステント治療後の薬の服用機関についての記事が
掲載されていました.
------------YOMIURI ONLINE 2007.02.16
新型ステント 薬の服用期間に注意
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070216ik09.htm
この記事で問題になっているのは
ブログでもなんどか話題にした巣tねと治療後の
慢性期の血栓症の問題です.
特に治療から6ヶ月を経過しても
冠動脈ステントの血栓症の問題がクローズアップされ
今回のこの記事になったものです.
先の YOMIURI ONLIE の記事はこちらです.
新型ステント 薬の服用期間に注意
狭心症などに対する新しい治療器具・薬剤溶出ステント(DES)を
使っている患者は、血液の塊(血栓)を出来にくくする抗血小板薬の
服用を少なくとも1年間は続ける必要がある。
米国心臓協会など主要な循環器関連団体は、
先月中旬に発売された医学雑誌「サーキュレーション」で
注意を促した。
心臓の筋肉に栄養を送る冠状動脈が、狭くなったり詰まったりする
狭心症や心筋梗塞(こうそく)では、血管を広げる金網状の筒、
ステントが使われるが、網のすき間から、細胞が増殖して
再狭窄(きょうさく)する問題があった。
そこで、細胞の増殖を抑える薬をステントに塗り、再狭窄を防ぐ
新型のステントが登場した。同協会などはこれまで、
治療後3〜6か月は、
2種類の抗血小板薬(アスピリンとクロピドグレル)の服用を
続けるよう推奨していた。
しかし、最近、治療から6か月を過ぎても血栓が現れることが
報告されたため、2剤の服用期間の延長を勧めることにした。
日本でも、薬剤溶出ステントは2004年に承認されている。
メーカーはアスピリンを無期限に、抗血小板薬の
塩酸チクロピジン(クロピドグレルは国内未承認)を3か月間、
患者に服用させるように勧めているが、今後、対策が求められそうだ。
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薬剤溶出ステント治療後の内服については
以前に記事にしていますのでごらんください
→薬剤溶出ステント植え込み後の内服について
http://tomochans.exblog.jp/i6
→薬剤溶出ステントをめぐる諸問題
http://tomochans.exblog.jp/4893218
ステント治療後の内服に対しての私の現在の見解は
これらの記事にまとめています.
余談ですがこうした薬剤溶出ステントの
血栓のできる可能性についてのニュースが報道されただけで
全世界でのステントの売り上げ、使用は減少したそうです.
→米J&Jの第4四半期決算は増収増益、医薬品や消費者製品の売上高が支援
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200701240007.html
いろいろな健康情報が一般ニュースとして
世に出るようになりましたが
断片的な知識の間をつなぐ情報が抜け落ちていたり
個々の状況での情報の利用についてはまだまだ不十分だと思います.
特に狭心症や心筋梗塞でステント治療を
受けられた方々は、それぞれ個別に
適切な治療や薬物治療が行われています.
一般論ではなく、各論的なきめ細やかな情報と説明が
必要だと思います.
ぜひステント治療後の皆さんは、心配になったら
あれこれネットで調べる前に、
他の人のあれこれ訪ねる前に
やっぱり治療をしてもらった担当の循環器科医師に
全てをぶっちゃけて話をして欲しいと思います.
治療を行った医師、担当医こそが
世界、日本の中で一番、真剣に自分の身体のことを
心配しているはずだからです.
私たち循環器医師も、こうしたステントにまつわる
薬物の問題、内服の問題などについては
日々研究し、頭をなやませています.
よりよい方法、副作用の少ない方法、負担のない方法など
いつも考えています.
細かい話は、また外来で.