もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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千年、働く ー 伝統を守る

7年程前に、急性心筋梗塞を発症し
ステント植え込み、カテーテル治療を行い
救命した方がおられます.
故 古高先生とともに治療した患者さんでした.

その後長い時間が過ぎ去って
古高先生も天上界の人となってしまいましたが
その患者さんは、いくつもの病魔を乗り越えて
元気に過ごされておられます.

先日、その方と久しぶりにお会いすることができ
古いカルテのカテーテル記録に
私の名前と故 古高先生の名前を見つけて
とても感慨深いものがありました.

技術や知識というものは
年とともに進化を続けていくものです.
医療の技術も常に新しい時代に対応するべく
改良、改善を続けていく必要があります.

心や思いのようにいつまでも
変わることのないものもあります.

久しぶりに懐かしい患者さんを前にして
伝統というものについて思いを馳せました.

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「千年、働いてきましたー老舗企業大国ニッポン」
野村 進 著
角川One テーマ21 新書

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 日本には創業100年以上の老舗企業が10万社以上あると
 推定されている。これほど老舗が多い国は世界でも例がない.
 本書は特に老舗製造業に焦点を当て、職人集団としての製造業が、
 どのように生き続けてきたのかを追う。
 老舗製造業に共通するのは、時代の変化に柔軟に対応してきた点だと
 指摘する.例えば、1885年の創業以来、貴金属の売買を手がけてきた
 田中貴金属工業は現在、携帯電話の振動モーター用に小さな
 金属製ブラシを製造する.300年以上の歴史を誇る福田金属箔粉工業は、
 携帯電話の配線基板などに使う電解銅箔を製造している.
 両社は、長年築いた技術を生かし、時代の要請に応じて
 新分野に進出している.

 一方で、創業以来の家業を頑固に守り抜く面も持つという.
 呉竹は、液体墨や筆ペンのほか、微粒子分散技術を活用した
 融雪剤なども製造している.墨の売り上げは全体の5%程度に
 過ぎないが、墨作りの工房を社内に設け、墨職人の育成も
 続けている.利益には直接結びつかなくても、
 「ここだけは譲れない」という意思、理念を受け継いでいると
 解説する.

「血族に固執せず、よそから優れた人材を取り入れる」
「“分”をわきまえる」など、老舗製造業のその他の共通項も
 明らかにする.
 (以上 Amazon.co.jpの商品説明より)

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医学、医療もアートと呼ばれています.
ある意味、医療も病院も
老舗と同じなのかも知れません.

身の程をわきまえる.
コア・ミッションから離れてはいけない.
つまりは、本来の使命から離れてはいけない
ということです.

医療の進歩も、目的を忘れては
迷走し、方向を見失ってしまいます.
医療改革も同様です.
よりよい医療を実現するため、市民の健康を
守るためという目的を忘れたら
何も成りません.

医師個人としても
身の程をわきまえるということは
大事なことだと思います.
医師の本分をわきまえること、
欲得に捕われずに、現場の仕事を
コアミッションとするべきだと考えています.

この「千年、働いてきました」の書には
日本の誇る老舗企業の知恵が
たくさん詰まっています.
曰く

・不義にして富まず

・私欲起こせば家を破壊する

・伝統は革新の連続

仕事に疲れた時に、この本で
少しだけ元気をもらえるような気がします.

医療の伝統というものがあるとすれば
たとえば、古高先生から受け継いで
今も守っているものがあるとすれば
なかなかはっきりとした言葉に
することが難しいのですが
診療スタイルであったり、患者さんへの接し方であったり
仕事への取り組み方であったり
医療への思いであったり、いろいろです.

今は亡き古高先生から受け継いだものを
それでも一言でいうのであれば
「生きとし生けるものへの愛情」ということに
なるのかもしれません.

師匠から受け継いだ伝統を
いつまでも耐えることなく未来に受け継いでいくために
この書にかかれているように、老舗にならって
常に技術、知識の革新に努めていきたいものです.

患者さんのために一生懸命頑張ったことが
何年もたって、長い年月を経ても
ちゃんと患者さんの心に残っているというのが
とても、うれしい気がしました.

久しぶりに古高先生の
あの微笑みを見た気がします.
by yangt3 | 2007-03-23 00:03 | 古高先生の想い出