もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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医師数の地方格差が続く

どこの病院もスタッフが足りない、医師が足りない
などなど、猫の手も借りたい状況が
続いているようです.

大都市の大きな病院であれば
各専門医や、専門スタッフを基準通りに
確保し、24時間対応可能な体制も
作ることもできるかもしれません.

ほとんどの地方都市、地方では
医師数が足りません.

-------asahi.com 2007.06.16
医師数の基準、満たす病院83% 地域間になお格差
http://www.asahi.com/health/news/
TKY200706150464.html

 厚生労働省は15日、全国の病院で05年度、
 医療法が定める医師数の基準を満たした割合は
 83.8%だった、との調査結果を発表した。
 前年度の83.5%からほぼ横ばいだが、
 地域間格差が大きく、北海道・東北地方などで依然として
 深刻な医師不足が続いていることがうかがえる。
 (後略)
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スタッフが足らなくても、現場の仕事は
その場にいる戦力で何とかしなければなりません.




場合によっては必要な人員をそろえる事ができず
特に夜間、緊急、祝日、時間外などは、
少ないスタッフが掛け持ちする必要さえ
あります.

たとえば、救急指定の病院で
時間外、救急を受け入れている病院で
外科医、内科医、救急医、小児科医など
各専門分野の先生、スタッフを
24時間そろえる事は、とても困難です.

オンコールで24時間、いつでも
各専門医に電話連絡できるようにすることも
何かあった時に、病院にかけつけられるように
する事は、実際には大変なことです.

私も実質的に24時間循環器のオンコールを
続けてきましたが、当直でもない日にも
いつ呼び出しを受けるかわからないという
精神的、肉体的ストレスは思いの他大変です.

たとえば急性心筋梗塞の患者が搬送されれば
循環器科医師だけではなく、緊急カテのために
その他の多くのスタッフも緊急の
呼び出しを受ける事になります.

このようにして、あらゆる救急に対応できるように
あらゆるスタッフや医師を24時間対応にすることは
今の現状では、難しそうです.

解決策としては、一つの病院だけで
体制を整えるのではなく、地域の病院群、
病院グループ全体で、診療体制を整えるということです.
ただ公立病院だけでなく、民間病院、私立病院などを
うまくネットワークとして、機能させるのは
大変だと思います.

人手が足らなければ
みんなで助け合うのは、当たり前.
専門分野以外の、不慣れな疾患にも業務にも
お互いに助け合って、なんとか現場を乗り切ります.

でもせっかく専門の技能があるのに
それを発揮できないのは悲しい事です.

--------新潟日報  2007.06.17
救急士が運転、救命処置できず
http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/
index.asp?cateNo=1&newsNo=651

  新潟市で5月下旬、頭を強く打った男性が
 同市消防局の救急車で搬送中に容体が
 急変したにもかかわらず、専門的な救命行為ができる
 救急救命士が運転していたため、
 車内でその処置を受けられず、
 病院で死亡していたことが16日、分かった。

 消防局では「救急救命士以外の隊員が適正な処置を
 行っており、問題はなかった」としているが、
 各消防署長を通じて救急搬送中は救急救命士が
 患者の処置に専念するよう通知した。

 消防局によると、亡くなったのは西蒲区の60代男性。
 頭から血を流して脚立の脇に倒れていた。
 家族からの通報を受け、救急救命士1人を含む
 西蒲消防署岩室出張所の救急隊員3人が出動。
 男性は当初、意識があったため運転は救命士が行い、
 残る2人が処置に当たった。
 しかし、病院に到着する直前に男性の容体が急変して
 意識不明となり、数時間後に死亡した。
 家族には当時の状況や経緯について説明したという。

 同局救急課は「市民の不安を払拭するためにも、
 基本的に救急救命士が処置に当たる体制づくりを
 進めたい」としている。
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専門外の仕事に手が離せずに
もし専門の急性心筋梗塞の患者が搬送されて
すぐにかけつけることができなかったら.
本当に悔しい思いをすると思います.

本当に必要とされるときに
専門的な知識や技術を発揮できるように
体制を整えて欲しいと思います.

普段は昼行灯(あんどん)のように
めだたず、周りに紛れていても
緊急の時、いざという時に
専門の力で、力を発揮できる
そんな人間に鳴りたいものです.

専門的な技能を身に付けた
様々な専門職種が真にその力を発揮するためには
十分に人員を整え、スタッフをそろえ
余裕をもった戦いができるように.

かのヤン提督の言葉にもあるように
少数をもって多数を打つというのは愚策
ということです.

いまだに医療界には、こうした少数で
頑張れ的な精神論がはびこっているのは
悲しい限りです.

命を救うために、手間ひまと、人的資源の
投入を惜しむべきではないと思います.

本当にヤンのような
話のわかる上司に巡り合いたいものです.
現実は、厳しいです.
by yangt3 | 2007-06-18 20:36 | ニュース