もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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救急救命士のアドレナリン投与

東可児第13同盟は
地域の皆さんに開かれたブログとして
地方から、日本中に、そして世界に向けた
情報発信のお手伝いをしたいと考えています.

これまでブログ管理人である私が
主として記事を作成し掲載して参りましたが
実は、以前から様々な方々に
原稿の依頼を続けておりました.

医療現場、救急現場に携わる忙しい方々ばかりで
快く引き受けていただいても、なかなか記事を
執筆される時間もないのが実情でした.

このブログをご覧になって頂いている方で
もし記事執筆を引き受けていただけることがあれば
ぜひブログの方にコメントをお寄せ頂きたいと思います.

具体的な手順としましては、非公開コメントとして
まずコメントを入れてください.
非公開コメントは、ブログ管理人だけしか見る事ができません.
非公開コメントに連絡先を教えていただければ
当方からメールにてご連絡を差し上げます.

どうか皆さんよろしくお願いいたします.

そういうわけで、今回、わが地域の救急救命士の有志の方が
記事を寄せていただきました.本当にありがとうございます!

「救急救命士のアドレナリン投与」についてです.
ぜひ皆さん、ご覧ください.

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救急救命士のアドレナリン投与

 1991年4月23日に救急救命士法が成立、同年8月15日に施行
された救急救命士。誕生から早10年を経過しました。
その10年以上経過したなかで、数々の救命事例が報告されるなか、
統計学的に著しい救命率の伸びを認めるまでにはなりませんでした。

 話が外れますが、救急救命士が誕生したころの日本と、現在
の日本の社会が、命についての考え方、医業についての考え方
が劇的に変わってきたのを皆さんは肌で感じませんか。
 例えば薬剤師。以前は薬局に薬剤師が常駐していなくても
薬局を営業していました。しかし、今は薬剤師という専門職が
いないと営業できません。助産婦でもそうです。助産婦でなくて
も医師の指示さえあれば内診を看護師は実際にはしていました。
が、それも専門職である助産婦でないと内診は行えなくなっています。
 
最近では、積極的延命治療の中止の指針が報道されたり、
死というタブー視されていた領域まで日本人の感覚、価値観が
この10年余りで確実に変化を迎えています。 
 救急の話に戻ると、除細動器(電気ショック)、AEDが
医師だけでなく、救急救命士、一般市民でさえ操作できるように
変わってきました。
 国は、専門性のあるものは専門職の責任の下において業を
任せることとして、救命など専門職の管理下に即時に
置けないものは、一般市民も含めて対処するという、
メリハリのついたものを目指しているのでしょうか。
 
 救急救命士導入により、救命率の劇的な改善は認められず、
2004年7月から気管挿管(認定取得者)と、2006年4月より
アドレナリンの投与(「薬剤投与認定」取得者)が可能となりました。
 これにより、心肺停止患者を病院搬入後の初期治療に近い処置を
救急車を要請した現場や救急車内で行えることが
できるようになったのです。
 しかし、この行為も救急救命士の資格を習得後、研修、実習
と地域ディカルコントロールの許可を得て行えるものであり、
そうそう許可したから多くの救命士ができるようになったわけ
ではありません。
 
 特にアドレナリン投与は、まだ認定されてから1年ほどしか
時間が経っておらず、まだまだ少数ということになります。

 アドレナリンは、副腎髄質より分泌されるホルモンで、神経節や
脳神経系における神経伝達物質でもあります。副腎から分泌されると
心拍数や血圧を上げ、瞳孔を開きブドウ糖の血中濃度(血糖値)を
上げる作用などがあります。
一般の方には強心剤といえば納得されるのかもしれません。

 アドレナリンは1900年に日本の化学者、高峰譲吉と助手の上中啓三が
ウシの副腎から世界で初めて結晶化したもので、
「アドレナリン」と命名したのですが、同時期にアメリカの研究者
エイベルがヒツジの副腎から分離した物質を「エピネフリン」
として発表して 、エピネヒリンの名称が世界で浸透
しました。しかし、後の反照の結果、エイベルの方法ではアドレナリンが
生成できないということが分かり、ヨーロッパ、日本では
「アドレナリン」と名称を変えています。エイベルを排出した
アメリカだけは今でも「エピネヒリン」と呼んでいるそうです。
 日本人研究者の優秀性とoriginalityに誇りを持つとともに
アメリカのegocentricな考え方に、思わず「今も変わらないな」
と笑ってしまうエピソードです。

 そのアドレナリン投与を行える救急救命士が、この管内には
数名います。ここ最近は薬剤を投与できる二人の救急救命士が
研修を修了されました。

 アドレナリンは、分かりやすく表現すると強心剤と書きましたが、
実際には末梢の血管を収縮する作用から、全身の血液を
心臓に戻し、より脳や心臓(冠動脈)へ胸骨圧迫(心臓マッサージ)
によって血液を送りやすくする薬理効果を期待するもので
す。早速この救命の武器の効果画が現れました。昨年の9月、
多治見市でアドレナリンの投与によって66歳の男性が、
後遺症もなく救命できたという報道があったのです。
http://www5.ocn.ne.jp/%7Etajimi/index.htm
 
 アドレナリンを投与できるようになったのは、救急救命士が
気管挿管ができるようになったよりも、劇的に救急現場活動を
変化させる可能性を秘めています。
 
 医師や看護師という臨床で働く医療職の方には、
理解できな\いのが救急現場ではないでしょうか。
 いや、ドクターカーで出動している医師なら理解できる、
と思われるでしょうが、決してそうではありません。
やはり市民感情として
「医師なら信頼できここで病院に近い処置をして家族を助けてくれる」
という医師が綿々と信頼を築いてきた歴史と
数年前にはなかった資格の医療従事者では
できる処置の違いもありますが、信頼の高さが違うのです。
 さらに救急現場は臨床と違い、床も平面でなく段差があり、
さらに狭く階段もあって、ひっくり返すと割れたり
汚してしまうものが満ち溢れて、さらに最悪3名の隊員で
処置を行います。そして救急車まで運びます。
現場は臨床と違い家族が処置に邪魔になるのならば
「大切な処置をしていますのでご家族の方は外でお待ちください」
などと隠すこともできません。
 
 簡単に言うと。救急隊員3名は、下手をすると巨体の患者さんに対して
狭い空間で心肺蘇生を行い、医師の指示の下と家族の許可を得た後に、
「速く運べ、なにをやっている」という家族の目から
逃れられることなく、やりにくい空間でそれを実施し、
部屋のものを壊さないように汚さないように、多くの救命資器材を
抱えながら救命処置を継続しつつ、巨体の患者さんを
救急車に収容し搬送し病院へ向かわなければならないのです。

 それが、アドレナリン投与できるようになると、確かに早く病院へ
運ぶことが基本ですが、いろいろな現場の環境によっては
「ここで医師の指示の下アドレナリンという強心剤を使って、
病院に運んで医師の処置に近いものがここでできます」
「早く運んでほしいという気持ちも理解できますが、
ここでやや時間が懸かりますが薬剤を投与します」
と説明できることになります。
これは救急現場を劇的に変える力を持つことになるのです。

 まだ時間はかかるでしょうが、アドレナリンでの救命事例が
多数報道されれば、市民が救急救命士を医療従事者として信頼
する関係を構築でき、信頼される目で現場活動ができるように
なることでしょう。

 そんな日を夢見るとともに、今まで以上に技術知識の習得とともに
医学論文の発表を積極的におこない、他の医療従事者や市民に
信頼できる医療従事者=救急救命士になって欲しいものです。
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(以下は、ブログ管理人の感想です)
市民の方には、まだまだ啓蒙が必要だと思うのですが
心肺蘇生、救急救命のためには
医師だけでなく、様々な職種のプロフェッショナルの助けが
必要になります.

特に現場での救急救命士さんの気管挿管、アドレナリン投与が
広く、迅速に行われるようになれば
AEDと同様に、より救命率を高める結果に繋がると思います.

日頃、過酷な現場で表にでることもなく
頑張っておられる救急救命士の皆さん、救急隊の皆さんの
こうした絶え間ない努力に対して
市民の皆さんがもっと関心を持っていただき
ひいては、地域が一丸となって
救急救命に取り組む事ができればと思います.

地域の英雄は、皆さんの
身近にいるということですね!
by yangt3 | 2007-06-25 00:03 | 救急救命士さんコーナー