もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)


by yangt3
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すごい人を待ちながら

私の最初の研修医としての生活は
大阪のこじんまりとした病院でスタートしました.

大学病院や、大きな病院からの研修でなかったことが
その後の私の仕事の行方に随分と影響したようです.

最初の研修先では、なんといっても病院の職員ひとりひとり
みんなが顔見知りとなってしまいます.

医師も看護師も、コメディカルも、お互いに名前で呼び合う関係で
良くも悪くも家族的な環境で、仕事は随分とやりやすかったものです.

以来、いろいろな病院に転勤して務めてきましたが
最初の研修の印象が強烈なためか
ついつい身近なスタッフには、ファミリー的な関係を求めてしまいます.

一緒に仕事をする時には、お互いに顔見知りのほうが良いと
いまも思っています.

なにかと理由をつけては、医師も含めて病院スタッフが
何度も歓迎会や飲み会を開いて、コミニュケーションもばっちりでした.

最近の人手不足と、さまざまな状況により、病院の中の環境も
仕事の環境も随分と変わってきました.

最近のはやりの言葉でいえば「フラット化」ということでしょうか.

不況や仕事の忙しさだけではなく
随分と人間関係も希薄になってきた気がします.

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「日本の難点」幻冬舎新書

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宮代 真司 著

この書の中で
若者のコミュニケーションのフラット化について述べられています.

医療の面でいえば、これまで地方を支えてきた
大学医局のシステムが縮小し、医師も引き上げとなり
どこもかしこも人手不足です.

医療の世界も底が抜けた状態であり、これまで医療神話に
支え続けられてきた人間関係も流動的になってきました.

いわゆる3Kと呼ばれる今の病院の職場で
真面目にやればやるほど、仕事が押し寄せて
自分も家庭も犠牲にしてしまうほどです.

下手にこだわらずに「たこ足化」して目の前の苦労をさけて
立ち去り型サボタージュよろしく、もっと楽な世界へ、となります.

リスクの高い救急や循環器、外科、脳外科、産婦人科などで
頑張っていると訴訟のリスクもあがり、バカをみるという風潮です.

他の仕事と同じように、病院の仕事もハードな分
人の出入りがけっこうあります.
仕事に疲れて、人間関係に疲れて、辞めていく人も多いです.

宮代氏の本の中に、自殺者を引き留める話がでてきます.
どんな言葉が自殺を引き留めることができるかという話です.

「生きていればいいことがある」
「死ぬほどのことじゃない」という言葉ではだめ.

本当に唯一、効き目のある物言いは
「お前が死んだら自分は悲しい」
「お前が死んだらつらくて生きていけない」だそうです.

自殺ほど大げさでなくても、医療の現場から、職場から
離れていこうとするスタッフに対して呼びかける言葉も
同じかもしれません.

「君が辞めたら、私は悲しい」
「君が辞めたら、つらくて私は仕事をつづけていけない」
もしくは
病院に通院して治療を受けている患者さんの立場からみれば
日頃なじみとなった医師や看護師さんが
病院を辞めてしまうのは、つらいことになります.だから
「あなたが辞めたら、私はつらい」
「あなたが辞めたらつらくて私は治療をつづけていけない」
ということになります.

こうした現状を解決するための方法として
宮代氏は ミメーシス「感染的模倣」を挙げています.
つまりは
「このすごい人について行きたい」
「自分もこんな風にすごい人になりたい」と思うことです.
もしくは
「せこいヤツ」ではなく「凄いヤツ」になりたいという気持ちです.

医療の世界でも沢山の「すごい人たち」がいます.

私が循環器の仕事を選んだのも
今も循環器の仕事を続けているのも、「’すごい人たち」に感染したからです.

医師が研修医から始めて一人前の医師になる課程というものは
ある意味、そうした様々な上級医師の凄さに
打ちのめされて、感動して、「そういう医師になりたい」と思い
頑張っていくことだと思います.

できれば今の私のいる病院も
そういうなにか「すごい」モノやヒトが存在する場に鳴って欲しいですね.

大変な医療現場も、そうしたある種のカリスマ、すごいヒトで
よい方向に変わっていく可能性があるのだと思います.

私の役割としては、そうした「すごい人」が登場するまで
なんとか病院のコミニュティを支えることです.
by yangt3 | 2009-06-05 00:08 | コーヒーブレイク(雑談)