iPhoneで聴診学習
2009年 07月 25日
来院される患者さんの心臓の音を聞く(聴診)という作業は
基本的な診察のうちの一つです.
カテ室にこもっているとき以外は
病院の中で仕事している時はいつも聴診器を携えています.
病状が安定して落ち着いている
ご高齢の患者さんの皆さんにとっても
医師との会話だけでなく、医師や看護師さんに
毎日聴診器をあててもらうというのは、けっこう重要な
コミュニケーションであったりします.
私が大学の頃は、今のようにデジタル機器も発達しておらず
iPhoneもなく、なんとCDもまだ世の中に
普及していない頃だったのでした.
(一体いつの時代?)
循環器内科教授の臨床実習(ポリクリ)の際には
医学生たちをぞろぞろと引き連れて
ベッドサイドで聴診レクチャーがありました.
教授が教育用の聴診器でもって、患者さんの心音を
周りの医学生たちに聴かせてくれるわけです.
この図で教授と医学生の二人用ですが、私がポリクリの時代には
6人が同時に聴診音を聞けるというすごい聴診器がありました.
それくらい聴診の学習には苦労していました.
自分で予習、復習しようにもまだCDもない時代では
ひたすら文章に書かれた内容を目で追うだけ...
モーツアルトやベートーベンのシンフォニーを
音楽を聴かずに文字だけで理解しようというような感じで
やっぱり大変でした.
その後は縁あってコンスタント先生の教科書と出会い
聴診学習用の優れたCDなども世間に出回るようになり
ずいぶんと状況はよくなりました.
そしてついに
iPhoneで聴診を学習することができるようになりました!
長い前置きでした(笑)
iMurmurというソフトです.Murmurは心雑音という意味です.
iMurmur
とりあえず医師にとって基本の心雑音が網羅されています.
心音と雑音の説明の図がけっこうすっきりとしてわかりやすいです.
心雑音のサンプルもついていてより理解を助けてくれます.
カスタマレビューで書かれているように
現在のバーションでは、音がすごく小さくて
そのままの音量ではほとんど聞き取ることができません.
私はこのアプリを使うときは、イヤフォンをつけています.
まあちょっと聴診の雰囲気でかえってよいのかもしれませんが.
若いスタッフに心雑音のレクチャーをするときに
iPhoneでさっと基本を教えることができて重宝すると思います.
それにしても私が医学生の頃に
MacとiPhoneがあったら、今頃私は...と思います(笑)