東可児第13同盟:カテーテルの話題
2009-05-08T00:03:50+09:00
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もはや東可児病院循環器科の非公式ブログです(^.^)
Excite Blog
IVUS画像をKeynoteで整理してます
http://tomochans.exblog.jp/8255940/
2009-05-08T00:03:49+09:00
2009-05-08T00:03:50+09:00
2009-05-08T00:03:50+09:00
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カテーテルの話題
ほとんどの症例で、血管内超音波・IVUSを使っています.
カテーテル治療の際にリアルタイムに冠動脈の状態や
病変の状態を観察することができるため
IVUSは、カテ室にはなくてはならない必須の医療器具です.
問題は、膨大な検査データの管理をどうするか、です.
詳細に検討する時には、検査データを最初から全部
目を通すことになりますが
「この間のあの症例はどうだったっけ」という時に
ちょっと困ってしまいます.
個人的にではありますが、とりあえずMacとKeynoteでもって
あくまでデータ整理と検索用ということで
IVUSファイルを作って役立てています.
治療前後の、主立ったIVUS所見を2枚のスライドにまとめています.
3年前から初めて当院の症例を全部こうして作っているので
けっこう膨大な数にはなっています.
なんといっても症例発表やプレゼン、となった時に
すぐにスライドに使えるというのが強みです.
KeynoteはMac専用のプレゼンソフトなので
院内のMacユーザーだけには、IVUSスライドデータを
見てもらうことができます.
こうして仕事をだしにして院内のMacユーザーを増やす作戦です(笑)
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Dio使ってみました!
http://tomochans.exblog.jp/7691276/
2008-11-27T00:07:22+09:00
2008-11-27T00:08:13+09:00
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カテーテルの話題
症例は石灰化のきつい、びまん性の長い病変でした.
まず IVUSカテーテルが通過せず
続いて1.5 mmバルーンも病変の石灰化のために
バルーン破裂を来ししまうような厳しい病変でした.
ガイドワイヤー2本を使って Buddy Wireとしましたが
通常の方法では、ステントを病変に持ち込むことが
非常に困難な症例でした.
石灰化の強い、狭窄度の強いタイトな病変の治療をする場合
最後はロータブレーターを使うしか方法はないのですが
全ての施設で使えるわけではありません.
当院では,心臓外科を併設していないためロータが使えません.
そんな困難な状況の中でなんとか難しい治療を完了させようと
いつも四苦八苦です.
今回は、幸いなことにDioを使用することで
困難な厳しい病変も、Dioサポートのステント植え込みにより
うまく治療を行うことができました.
おもわず、やった!と、カテ室一同、ガッツポーズです.
石灰化を伴う高度狭窄病変では
ガイドワイヤーが通過しても、バルーンの通過が困難であったり
バルーン拡張後の、病変へのステント持ち込みが
困難であったりという状況に陥ることが、たまにあります.
こうした場合に,一般的には
・ガイドワイヤー2本を病変に挿入する Buddy Wireテクニック
・バルーンによりバックアップを高めるアンカーバルーンテクニック
・子カテシステムによるMother and Child テクニック
などを用いることになります.
今回は、話題のDio カテーテルを用いて
ステント植え込みに一工夫を行いました.
もともとは血栓吸引カテーテルとして登場した Dioですが
今回は、子カテとして使用することで
ステントのデリバリーを容易にすることができました.
アウターシースは通常の血栓吸引カテのような形状ですが
インナーシースは、バルーンで定評のある
Lacrosseのテクノロジーで加工されています.
まるでマイクロカテを病変に進める感覚で
Dio システムを高度狭窄病変に進めることで
子カテとして、比較的簡単に使うことができました.
今回、いろいろなテクニックを用いても
ステントの通過が困難であったのですが
Dioを子カテ、ステントデリバリーシースとして使用することにより
なんなくステントの植え込みが完了しました.
これまで、高度狭窄病変へのステント植え込みに
けっこう苦労していたことを思えば
本当に目からウロコが落ちたような アハ!体験でした.
新しく優れた道具を使うことにより
結果的に治療もうまくいきますし、治療時間も短縮します.
さらには被爆時間の軽減、使用造影剤の量の軽減も可能です.
本当に素晴らしい道具だと感じました.
当院では、これから、同様の高度狭窄病変には
いつもこの Dio システムが、がんがん活躍することと思います.
戦いを終えた Dio です.
TRIでスレンダーな治療をめざす医師にとっても
この Dioは画期的なツール、秘密兵器となるのではないでしょうか.
地方の病院でも、こうした優れた道具を駆使することによって
かなりの高度で低侵襲な治療を行うことが
可能となってきました.
12月末には、新しいカテーテル室も稼働が開始となります.
これからがんがん治療を頑張りたいと思います.
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CTO セミナー in 名古屋
http://tomochans.exblog.jp/6771751/
2008-02-09T00:06:57+09:00
2008-02-09T00:06:57+09:00
2008-02-09T00:06:57+09:00
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カテーテルの話題
角辻先生カテラボに、また出かけてきました.
当院で長らく通院されておられる透析の患者さんの
カテーテル治療に立ち会うためです.
透析患者さんとして、病変は、右冠動脈のがちがちの石灰化の
慢性完全閉塞病変(CTO)でした.
当院で可能なカテーテル治療を行いましたが
この右冠動脈の慢性完全閉塞病変については
強い石灰化のため、通常のアプローチ(Antegrade)では
開通させることが困難だったからです.
当日は、当院のME I 君とともに参加.
CTO治療については、権威である角辻 曉 先生に
この治療困難な慢性完全閉塞の治療を依頼した次第です.
角辻先生の力を持っても、かなり難しい症例でした.
それでも8時間あまりの治療を経て
最後には、無事に長らく閉塞していた右冠動脈は
無事に、カテーテル治療により再度開通しました.
なによりも、今回、この困難な治療に立ち向かった患者さんが
一番大変だったと思いますが、きれいに冠動脈を
通してもらう事ができて、主治医としても、本当に感動、感謝です.
名古屋徳洲会病院 循環器科の角辻先生を始め
亀谷先生、三井先生、カテ室スタッフの皆さんには、本当にお世話になりました.
このブログの場をお借りして感謝を述べさせていただきます.
医師としても人間であり、万能ではありません.
全ての医学領域の専門分野、専門治療に精通することは
実際のところ無理な話です.
主治医の力量だけで治療方針が決められるというのは
患者さんにとっても不幸なことだと感じていました.
もし自分が治療できなくても
その道のプロがいるのであれば
本当の主治医であれば、躊躇することなく
専門家に自分の患者を委ねることが、大切な事だと思います.
医師としては、カテーテルについては
自分の手で全てを治療して挙げたかったと
思うところもありますが
現在の病院の状況、スタッフ、医療機器、インフラなどなど
さまざまな条件を考慮して
今回は、カテーテル治療を、角辻先生にお願いした次第です.
まだまだ一部には、古くさい体質が残っていて
患者の囲い込みのようなことがあるのも事実です.
例えば、外科系の医師にかかれば治療方針は
やはり外科手術を主として勧められます.
逆に内科系の医師であれば、なかなか手術にふみきることができず
手術のタイミングが遅れてしまう事もままあります.
自分の力量、自分の病院の力量をここまでと
見切る事は、ある意味、ちょっと悲しい気持ちもしますが
全ては患者さんのため.
無理せず、患者さんにとって
いつも最高のベストの選択と治療ができるように
これからも心がけていきたいと思っています.
それにしても当院で心臓カテーテル検査・治療を始めてから
早2年ですが、まだまだ足りないものばかりです.
現状では、少数精鋭、個人の気合いで乗り切っています.
これからも自分のポジションで、なすべきことを行い
今回のような病院間連携を深めていきたいものです.
いずれは、当院の設備、スタッフもより充実させ
各専門医師を治療のために
当院に招請できるようになりたいものです.
当院カテ室の仕事ぶりは
次の記事をご覧ください.
タマ日記
少数精鋭による緊急PCI
http://blogs.yahoo.co.jp/tamaoking1029/2099110.html
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血栓吸引と末梢保護
http://tomochans.exblog.jp/6769081/
2008-02-08T08:41:20+09:00
2008-02-08T08:41:20+09:00
2008-02-08T08:41:20+09:00
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カテーテルの話題
冠動脈インターベンションを行う際に
病変に多量の血栓が存在する場合には、治療手技による
末梢塞栓や No RelowおよびSlow Flowなどの合併症を
防ぐ為に、専用カテーテルによる血栓吸引が行われます.
急性心筋梗塞の血栓がどれだけ大変なものであるか
以前の記事でも紹介しています.
1)沸き上がる血栓 急性心筋梗塞の恐ろしさ
http://tomochans.exblog.jp/3917651/
2)血栓吸引カテーテル
http://tomochans.exblog.jp/3655307/
実際の治療では、末梢プロテクトバルーン、血栓吸引カテーテル
さらに最近では、フィルトラップと呼ばれる塞栓予防の
手技も併用しています.
3)急性心筋梗塞への新たな取り組みーフィルトラップの使用経験
http://tomochans.exblog.jp/6402020/
血栓吸引カテーテルの総説については以下を参考にしてください
4)血栓吸引カテーテルの成績とその適応
http://www.kessen-junkan.com/2005061302/22.pdf
日本国内で幅広く行われている血栓吸引療法ですが
以外にも急性心筋梗塞の治療においては、欧米での使用は
これまで限られていたようです.
今回、NEJMに、急性心筋梗塞の血栓吸引療法の評価の報告が
発表されていました.
これでも世界的にも、有効な治療であるということが
証明されたということになります.
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N Engl J Med 2008; 358 : 557 - 67 : Original Article.
初回経皮的冠動脈インターベンション時の血栓吸引
Thrombus Aspiration
during Primary Percutaneous Coronary Intervention
T. Svilaas and others
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/xf2hm.htm
背 景
初回経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は,
ST 上昇を伴う心筋梗塞患者の梗塞責任動脈を
開通させるのに有効である.
しかし,アテローム血栓の血液成分屑(debris)の塞栓は,
微小血管の閉塞を引き起こし,心筋の再灌流を減少させる.
方 法
初回 PCI 時の手動吸引が従来の治療法よりも優れているかどうかを
評価するため,無作為化試験を行った.
冠動脈造影の施行前に,計 1,071 例の患者を,
血栓吸引群と従来の PCI 群のいずれかに無作為に割り付けた.
アテローム血栓物質の組織病理学的所見が認められた場合に,
吸引が成功したものとみなした.
血管造影と心電図における心筋再灌流の徴候,
および臨床転帰を評価した.主要エンドポイントは,
心筋ブラッシュスコアが 0 または 1
(心筋再灌流なし,または最小限の心筋再灌流)とした.
結 果
心筋ブラッシュスコアが 0 または 1 であったのは,
血栓吸引群の 17.1%と従来の PCI 群の 26.3%であった(P<0.001).
ST 上昇が完全に消失したのは,それぞれ 56.6%と 44.2%であった(P<0.001).
この利益は,事前に規定された共変量のベースライン値における
不均一性を示すものではなかった.30 日の時点の死亡率は,
心筋ブラッシュスコアが
0 または 1 の患者で 5.2%,
2 の患者で2.9%,
3 の患者で 1.0%であり(P=0.003),
有害事象の発現率はそれぞれ
14.1%,8.8%,4.2%であった(P<0.001).
組織病理学的検査により,患者の 72.9%で吸引が成功したことが確認された.
結 論
血栓吸引は,ST 上昇を伴う心筋梗塞患者の大部分に適用可能であり,
ベースラインの臨床的特徴および血管造影上の特徴にかかわりなく,
従来の PCI よりも優れた再灌流と臨床転帰をもたらす.
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日本のカテーテルを行っている循環器医師にとっては
もはや当たり前、常識的な結論ではあります.
急性心筋梗塞でカテ室に運び込まれた時
閉塞病変に血栓が多量に存在する場合には
なんらかの血栓吸引、もしくは末梢保護デバイスを用いて
治療が行われる事になります.
それ以外には、カテーテル治療による末梢塞栓、末梢への血栓浮遊が
危惧される治療、末梢血管治療、腎動脈治療、鎖骨下動脈治療などでも
血栓吸引、末梢保護デバイスが用いられます.
関連情報としては
今年4月から保険償還が開始される
頚動脈ステント(CAS)の問題があります.
脳梗塞の原因となる頚動脈の狭窄に対して
これまでの外科的治療に加えて、冠動脈や末梢血管で行われているのと
同様のカテーテル治療、ステント植え込み治療が
いよいよ本格的に開始されることとなります.
頚動脈のカテーテル治療においては、その合併症の一つとして
末梢塞栓等による脳梗塞の発症のリスクが挙げられています.
安全に治療を行っていく上で
冠動脈治療で日常的に行われている
上述の血栓吸引や様々な末梢保護デバイスの使用が
不可欠となります.
先日、参加したCCTの学会でも
この頚動脈ステントに関連するセッションは大にぎわいの状況でした.
この領域に循環器医師、脳外科医、放射線医などの様々な専門分野の
知と技術の結集が期待される分野です.
カテ室スタッフの方々は、こうしたデバイスになじんで
使いこなしていただく事を期待します.
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薬剤溶出ステントの再狭窄(再発)
http://tomochans.exblog.jp/6663410/
2008-01-11T00:00:52+09:00
2008-01-11T00:00:52+09:00
2008-01-11T00:00:52+09:00
yangt3
カテーテルの話題
治療器具(デバイス)も、治療する医師の技術(スキル)も.
最近の進歩には、目覚ましいものがあります.
ひところに循環器科医師を悩ませていたステントの再狭窄の問題も
薬剤溶出ステントの登場と臨床での使用が始まり
ほぼ解決されたかに見えます.
薬剤溶出ステントの使用経験が蓄積されるについれて
再狭窄や再発がゼロではないことがわかってきました.
さらには薬剤溶出ステントの再狭窄が起こりやすい要因も
明らかになりつつあります.
その要因としては
・透析患者であること
・糖尿病の有無
・分岐部病変
・複雑なステント植え込み手技、などが挙げられています.
当院でも、多数の症例に薬剤溶出ステントを用いた治療を行っており
幸いに再狭窄症例や遅発性血栓症などの合併症症例はまれです.
もしステントの再狭窄が発症した場合にも
早めに再度のカテーテル治療を行う事により良好な結果が期待されます.
ステント再狭窄が発症した場合の対応として
カテーテル治療を再度行う事になります.
これまでの非薬剤性溶出ステント(BMS;Bare Metal Stent)を
用いた患者さんの再治療においては
バルーン拡張を行ったり、カッティングバルーンと呼ばれる
特殊なバルーンを用いたりしていました.
さらには、再狭窄を起こしたステントの内部に
もうひとつステントを再度植え込みをすることも行っていました.
従来のステントを用いる限りは
ステント植え込みを何度行っても
ステント再狭窄の可能性をゼロにすることはできませんでした.
症例によっては、再狭窄を繰り返して
バイパス手術を余儀なくされる症例があり
循環器医師にとって、再狭窄はかなり高いハードルだったわけです.
薬剤溶出ステントの登場は
これらの再狭窄の問題を一気に解決するものと期待されました.
たしかにステント植え込み後の再狭窄は激変し
従来であれば、バイパス手術の適応とされていた
難しい症例においても、カテーテルによる治療が
行われるようになり良好な成績を収めています.
以前であれば、ステント植え込み治療後には
1ヶ月後、3ヶ月後、半年後、1年後などというように
治療後も、かなり頻回にカテーテル検査を行って
ステント再狭窄による重大な症状が出現する前に
再狭窄を見つけようとしていました.
治療が薬剤溶出ステントとなってからは
こうした治療後の頻回のカテーテル検査も
頻回に行う事もなくなりました.
このような状況の中で、数が少ないとは言え
薬剤溶出ステントによる治療を行ったのにもかかわらず
症状が再発することがあると
治療する医師の側にとっても、治療を受けられた患者さんにとっても
衝撃的な出来事となります.
先日、経験した症例では
2本の冠動脈病変に対して
それぞれ別の種類の薬剤溶出ステントを植え込み治療をしました.
慢性期に症状の再発があり
一方の薬剤溶出ステントは、再狭窄は認めず
片方の薬剤溶出ステントには、びまん性に内膜増殖による
再狭窄を認めました.
同じ術者が同じ手技を用いて治療を行ったわけであり
純粋に2種類のステントの性能の差が出た結果となりました.
詳細は省略しますが
再狭窄したステント病変には
別の種類の薬剤溶出ステントを新たに植え込みを行い
良好な結果をもって再治療を終了しています.
幸いにその後の経過は良好です.
今後、この結果を踏まえて
2種類の薬剤溶出ステントの使い分けを
しっかりと行っていくつもりです.
新しい技術やテクノロジーの進歩があるたびに
これで全てが解決する!という期待に胸を膨らませるわけですが
現実はそんなに甘くはなく
最新の技術や道具もなにかしら問題点を残しているものです.
技術や知識の進歩には終わりはなく
ハードに躍らされる事ない
しっかりとした哲学や信念、もしくはEBMが必要なようです.
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プラビックス使用開始.
http://tomochans.exblog.jp/6422349/
2007-11-09T23:20:39+09:00
2007-11-09T23:20:39+09:00
2007-11-09T23:20:39+09:00
yangt3
カテーテルの話題
ステント植え込み治療を行った場合には
坑血小板薬と呼ばれる薬を処方してきました.
具体的には、バイアスピリン、バッファリンに加えて
パナルジンというお薬の2本立てでした.
パナルジンというお薬は、まれながら時々
お薬の副作用があり、継続が困難になることも
ありました.
そうしたパナルジン不耐症の方においては、
パナルジンを中止し、他の薬剤
例えば、プレタール、アンプラークといった
別の種類の坑血小板薬を使用しなければなりませんでした.
韓国、中國などのアジアを含む諸外国では、すでに
パナルジンではなく、副作用の軽減された
プラビックスというお薬が使用されていました.
そういう意味で、日本の循環器医師は、カテーテル治療後の
内服治療に苦労していました.
ようやく、日本でも、カテーテル治療、狭心症、心筋梗塞において
このプラビックスが使用可能になりました.
わが病院でも、最近
狭心症や心筋梗塞のカテーテル治療後の患者さんに
プラビックスの処方を始めました.
病棟スタッフもカテ室スタッフも外来スタッフも
プラビックスと聞いて、まだ
ピンと来ていない様子です.
実は、ちょっと以前から、脳梗塞の症例には
プラビックスはすでに処方可能となり
脳外科領域では、処方されていました.
こうしたカテ室若手スタッフに向けて
ちゃんとプラビックスについて知ってもらう為に
この記事を作成した次第です.
パナルジンというお薬は坑血小板薬として
脳梗塞や狭心症の治療に永らく使われてきた薬です.
チクロピジンが正式名称であり、血症ンのADP受容体を
ブロックする事により、その効果を発言するお薬です.
冠動脈へのステント植え込み治療においては
バイアスピリン、バッファリンなどアスピリンと呼ばれる
お薬と、このパナルジンの組み合わせが
これまで標準的な治療として行われてきました.
ステント植え込み治療後に
きちんとこうした坑血小板薬の治療を継続することは
ステントを長持ちさせ、かつ
ステント血栓症や症状の再発を防ぎ
再治療を予防するために重要なことです.
プラビックスは、パナルジンの副作用の軽減を目的として
開発された坑血小板薬です.
諸外国では、先行してすでに使用されていたものですが
ようやく日本でも、カテーテル治療に際して
投与が可能となりました.
現時点での適応症としては
「経皮的冠動脈形成術(PCI)が
適応される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞)」
となっています.
初回量として300mgを投与し
一日75mgで維持となっています.
今後、当院カテ室での治療後の
内服は、プラビックスが中心となります.
スタッフの皆さんも、ちょっと勉強しましょう.
こちらがプラビックスのサイトです.
坑血小板薬プラビックス
http://www.atherothrombosis.jp/plavix/index.php
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末梢動脈疾患への取り組みーPPIー
http://tomochans.exblog.jp/6408544/
2007-11-06T20:44:30+09:00
2007-11-06T20:44:30+09:00
2007-11-06T20:44:30+09:00
yangt3
カテーテルの話題
古くから通院されている高齢者の方も
多いです.
さらに通院透析治療も行っており
心臓疾患のみならず、末梢動脈疾患、下肢動脈疾患も
よく見られる疾患の一つです.
狭心症や心筋梗塞と並んで、患者さんの数も多く
適切な治療を行わなければ、大変なことになるかも
しれない、こうした末梢動脈疾患ですが
以外に皆さんの認知度は低いのが現状です.
-----------NIKKEI NET
認知度低い末梢性動脈疾患(PAD)
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20070927hj000hj
末梢動脈疾患(PAD)は、両下肢の健康に関わるだけでなく
悪化すれば、下肢の外科的手術、切断手術も
必要になることがあります.
さらには、その他の狭心症や、脳卒中などの全身の
動脈硬化の危険信号として認識する必要があります.
糖尿病、高血圧、高脂血症で通院中の70歳男性が
両足のしびれ でもって循環器を受診されました.
検査を行ってみると重症の末梢動脈疾患でした.
右足の根元の血管は、分岐部から
完全に閉塞していました(右総腸骨動脈の慢性完全閉塞)
右足への血液供給は他の枝からの側副血行路による
バイパス血液でなんとか保たれていました.
左足の根元の血管も、かろうじて流れがあるものの
90%近くまでの狭窄を認めていました(左総腸骨動脈狭窄)
以前であれば、こうした重症の末梢動脈疾患については
人工血管などを用いた
外科手術が行われていました.
昨今のカテーテル治療の技術の進歩により
こうした症例でも(もちろん全てではありませんが)
より非侵襲的な方法で治療が可能になっています.
当院でも、末梢動脈疾患のカテーテル治療に
積極的に取り組んでいます.
この方の場合は、2回にわけて治療を行いました.
最初は、長い範囲で完全に詰まった
右足の根元の血管を、カテーテルで再開通される治療を
行いました.
技術的、治療的には、かなりハードなものでしたが
幸いに、開通に成功し
最後には、ステント植え込みを行って
まず最初の治療が完了しました.
閉塞していた部分に全てステントを植え込みしました.
ステント治療により
右足の血管は、良好な血流が再開しました.
それから、体の落ち着くのをまって
2回目の左足の血管の治療を行いました.
左足の方は、完全閉塞ではなく
90%近い狭窄とはいっても、流れはあったため
一回目よりは、比較的容易に、治療ができました.
右と同様に、血管の狭くなっている部分に
ステントを植え込みしました.
最終的には、左右の下肢の血管とも
見違えるようにきれいな血液の流れとなりました.
もちろんカテーテルが万能というわけではなく、
末梢動脈疾患の治療をきちんと行っていくためには
血管外科の先生方とのコラボレーションが不可欠です.
まずは、こうした病気があることを
知っていただき
知らないままに、末梢動脈疾患が
悪化することの無いように
まずは、かかりつけ、主治医と相談していただきたいと
思います.
当院カテチームでは
末梢動脈疾患のカテーテル治療にも
一生懸命に取り組んでいますので
よろしくお願いします.
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急性心筋梗塞への新たな取り組みーフィルトラップの使用経験
http://tomochans.exblog.jp/6402020/
2007-11-05T08:51:00+09:00
2007-11-06T14:42:27+09:00
2007-11-05T08:51:58+09:00
yangt3
カテーテルの話題
最初の救急対応をきちんと行うということがあります.
当院は、循環器のカテーテル検査・治療が可能な病院として
循環器救急にもできるだけ
対応できる体制作りに勤めています.
マンパワーや設備に限界があり、心臓外科を併設していないため
重症患者においては、当院で、必要な処置、治療を
行った後に、近隣の期間病院に搬送という手順になります.
10月のカテーテル治療実績を振り返ってみると
実に急性冠症候群、急性心筋梗塞症例が
3割近くを占めていました.
当院の循環器診療の実際において
いかに緊急対応が大きなウェートを占めているかと
いうことです.
急性心筋梗塞、急性冠閉塞への対応システムには
特に意を尽くしていて
カテ室コール15分で、カテがスタートできる体制を
この2年で作り上げました.
今回、さらに急性心筋梗塞の治療について
新たな取り組みを行いました.
急性心筋梗塞や急性冠症候群においては
不安定プラークの破綻と急激な冠動脈血栓形成が
病態の発生の原因となっています.
言葉を変えればスタチン治療などで
安定したプラークは、こうした破綻にいたることがなく
急性心筋梗塞や急性冠症候群を発症するリスクが
少ないという事になります.
逆に不安定プラークと呼ばれる病変では
冠動脈血管壁に、コレステロールや参加資質物質が
どんどん蓄積されて「脂質コア」と呼ばれる
危険な病変を形成しています.
スタチン投与による適切な高脂血症の治療により
こうした不安定狭心症の原因となる不安定プラークを
安定化させて急性心筋梗塞や急性冠症候群の発症を
未然に防ぐというのが、循環器外来での治療の
大きな目的の一つでもあります.
さらには急性心筋梗塞や急性冠症候群を引き起こす前に
いかにして、これらの危険な不安定プラークを
より低侵襲な手段で検査、発見することができるかというのも
現在の大きな研究課題となっています.
通常の冠動脈造影のみでは、不安定プラークの診断には
不十分であり、血管内超音波(IVUS)と呼ばれる検査を
行う事でより確実な診断が可能です.
しかし、全ての患者さんの検査に、この血管内超音波を
行うのは、非現実的であります.
現在最も注目されているのが
64列CTを用いた冠動脈CTによる不安定プラークの
診断です.将来、よりデータが蓄積されれば
不安定プラークの診断が、より簡単なCT検査で
より正確につけられるかもしれません.
現状では、とにかく緊急で搬送される
急性心筋梗塞症例や急性冠症候群症例に
いかに迅速に、きちんと診断と治療が行えるかという所に
重点を置いて診療に望まなければなりません.
急性心筋梗塞では、プラーク破綻による
多量の新鮮血栓により冠動脈が完全閉塞しています.
冠動脈の血流を再開させるためと
血栓が冠動脈末梢に流れて、末梢冠動脈を閉塞し
さらなる合併症や心筋梗塞の発症を引き起こす事を
防ぐ為に、最近では、カテーテルでもって
この多量の冠動脈血栓を吸引除去しています.
具体的には、AsprayやThrombuster と呼ばれる
専用の血栓吸引用カテーテルを用いています.
こうしたカテーテルを使って血栓吸引を行うと
実に多量の血栓を取り除くことができます.
このような血栓は赤色血栓と呼ばれます.
これほどの大量の冠動脈の血栓を放置すれば
どのようなことになるかは、いうまでもないことです.
ある症例で、このようにカテーテル血栓吸引を行ったところ
赤色血栓ではなく、まさしくプラーク内の
コレステロールそのもの、脂質コアと呼ばれる部分そのものが
吸引されたことがありました.
このような血栓は白色血栓と呼ばれて
同様にプラーク破綻の原因となるばかりか
血栓物質が冠動脈の末梢に流れて
大きな合併症を引き起こす鯨飲となります.
こうした症例の冠動脈を血管内超音波(IVUS)で詳細に検討すると
脂質コアの脂質の部分が血栓となって抜け出た
まるで抜け殻のようになった不安定プラークを
観察することができます.
矢印で示した部分が脂質が血栓となって
抜け出た部分になります.
急性心筋梗塞や急性冠症候群の症例においては、
赤色血栓のみならず、不安定プラークからこうした白色血栓を含む
さまざまな血栓が末梢に流れ出て
冠動脈末梢を障害するおそれがあります.
たいていの場合、カテーテル血栓吸引で対応可能ではありますが
もちろん100%確実ではありません.
こうした冠動脈病変から漏れでたプラーク塞栓による
さらなる冠動脈障害を予防することを
末梢保護と呼んでいます.
これまでに GuardWireシステムと呼ばれる
末梢バルーン閉塞デバイスが実用化されています.
これは、冠動脈の末梢で治療の際に、専用のバルーンを
膨らませる事により、病変、プラークから流れた様々な
血栓、塞栓物質を、末梢に流れないようにするための
専用器具です.
冠動脈内の専用バルーンでせき止められた
血栓や塞栓物質は、血栓吸引カテーテルで吸飲除去するという
段取りです.
問題は、この末梢保護デバイスの使用がかなり複雑であるということと
より細い冠動脈末梢血管で、バルーンを閉塞することによる
冠動脈への障害が懸念されること.
基本的には、バルーンで血栓や塞栓物質を食い止めても
それを除去する手段は、これまで通りに
吸引カテーテルであること、などが問題となっていました.
実際には、このGuardWire 末梢保護システムを使いこなすには
かなり煩雑で、急性心筋梗塞の治療には
なかなか使いにくいという印象があって
私たちのカテ室では、もっぱら血栓吸引カテーテルによる
治療が主でした.
今回、新たなコンセプトで作られた末梢保護専用の器具として
血栓異物除去用カテーテル「フィルトラップ」
(ニプロ、日本ライフライン)を使用する機会が
ありました.
これは、先端が金属製のバスケット構造となっていて
浮遊する血栓や塞栓物質を、フィルターとなって
捕捉し除去する専用器具です.
例えば総胆管結石の内視鏡治療において
バスケット鉗子と呼ばれる器具を使いますが
ちょうど似たような構造となっています.
同様のコンセプトで、一時か大静脈フィルターも
こうしたバスケット様の構造となっています.
今回使用した症例は、不安定狭心症です.
左前下行枝に多量の脂質コアを含む不安定プラークを
認めました.
血栓吸引カテーテルだけでは対処が困難と考え
この新しいデバイスであるフィルトラップを使用しました.
図(冠動脈造影)
血管内超音波で病変を確認すると
病変内に多量の脂質コアを認めました.
通常通りの治療では、多量のコレステロールを含む
血栓、塞栓物質が末梢に飛んで
多大なる合併症を引き起こすものと懸念されました.
フィルトラップと呼ばれる末梢保護デバイスを
今回使用しました.
予想通り、通常のバルーンによる拡張を行っただけで
多量の血栓が、フィルトラップのバスケットの中に
捕捉されました.
フィルトラップ内に多量の血栓が捕捉されたため
フィルターより末梢の血液の流れが悪くなっています.
すぐにステント植え込みを行い
カテーテル血栓吸引を行ったあとに、フィルターに捕捉された
血栓ごと、このフィルトラップ血栓除去システムを
体の外にだします.
微細な血栓もきちんとフィルターの中に捕捉されて
大きな合併症を起こす事なく
治療を終了することができました.
この症例はステント植え込みにより
良好な拡張を得ています.
こちらが治療終了後に体外に取り出した
フィルトラップです.
フィルターの先端に、血栓物質が捕捉され
詰まっています.
これらの塞栓物質、血栓物質を除去することなく
末梢に流れ込んでいたら
また大きな治療の合併症に繋がったと思われ
改めて
フィルトラップによる末梢保護を併用した
治療の有用性を再認識しました.
当院では、緊急の治療症例が多い為
血栓吸引カテーテルだけでなく、
今回使用したフィルトラップを用いて治療を行う事で
より安全で確実な緊急治療が可能になると思います.
どのような緊急症例に、今回使用したフィルトラップが
有用であるかは、これから検討を重ねたいと思います.
当院では、緊急症例もほぼ100%近く、血管内超音波(IVUS)を
使用して治療を行っています.
今後、冠動脈造影にて、多量の冠動脈血栓を認めた症例には
まず血栓吸引カテーテルで対応し
引き続き行うIVUSの所見で
今回のような不安定プラークを認めれば
さらにフィルトラップを併用して
緊急治療を行うというストラテジー(治療戦略)を考えています.
フィルトラップの使用方法については
諸先輩方の経験を、積極的に取り入れていきたいと思います.
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眠れない夜
http://tomochans.exblog.jp/6369621/
2007-10-28T22:13:55+09:00
2007-10-28T22:13:55+09:00
2007-10-28T22:13:55+09:00
yangt3
カテーテルの話題
通勤の車の中で、書類を書く時のBGMに
最近めったにいかないカラオケでの持ち歌です.
最近、当直も多く、また寒さのために
忙しくなってきて
当直も眠れない日々が続いています.
この土曜日の当直も
眠れない夜 でした.
その救急コールは、日曜日の早朝に
届きました.
80代の男性.
突然の胸痛発作にて救急要請.
ERに到着してみると、顔面蒼白、冷感があり
胸痛が持続しており
心電図でも広範なST変化を認め
急性心筋梗塞と診断し、すぐに緊急カテとなりました.
カテでみてみると
右冠動脈、左前下行枝の2本に閉塞を認めました.
2枝病変による急性心筋梗塞でした.
カテが始まったのが、まだ早朝で
外は、薄暗い時間でした.
カテコールのもとに
カテーテル治療が始まる頃には、多くのスタッフが
はせ参じてくれました.
IABP挿入、バックアップの上
それぞれに病変にステント植え込みを行い
良好な拡張を得ました.
治療が終わる頃には、集まった仲間達は
また自分の用事のために戻っていきました.
いつもいつも素晴らしき仲間達です.
その後の経過は良好であり、
高齢でも会った為、処置が遅れれば
大変であったと、改めてカテ所見をみて
思うところです.
世間ではハロウィーンで
家の子供たちも、ご近所の子供たちとともに
ハロウィーンにちなんだ会に参加していました.
私は、ハロウィーンの帽子ともらったお菓子をみて
雰囲気を味わうだけの日曜日でした.
循環器の日常は
まあこんなものです.
カテ室の若手スタッフの皆さんはお疲れさまでした.
今回のエピソードのサブストーリーは
次の記事をどうぞ.
タマ日記
盛りだくさん その1
http://tamaoking.exblog.jp/7635622/
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末梢血管治療
http://tomochans.exblog.jp/6265671/
2007-10-05T08:49:48+09:00
2007-10-05T08:49:25+09:00
2007-10-05T08:49:25+09:00
yangt3
カテーテルの話題
カテーテル治療が行われています.
心臓のカテーテル治療はもちろんのこと
腎動脈の狭窄、頚動脈の狭窄などに対しても
積極的にカテーテル治療が行われるように
なっています.
これまでは、心臓・冠動脈の治療は
循環器内科医が行い
脳血管造影、頭部の血管内治療は
脳外科医が行うという慣習でした.
その他の領域は、放射線科医師が行っていました.
下肢動脈硬化症に代表される末梢血管の治療も
同様であり、放射線科、血管外科の医師の仕事でした.
最近になり循環器科医師の間でも、この末梢血管の
診断と治療に関心が集まっています.
循環器の学会や研究会でも、この末梢血管の治療が
話題として良く取り上げられるようになってきました.
冠動脈のインターベンション治療で培った
技術と経験を活かして
多くの循環器科医師が、末梢血管のカテーテル治療に
力を注ぐようになりました.
心臓病や脳卒中については
さまざまなメディアでの紹介や啓蒙により
一般の方の知識もかなり多くなっています.
末梢性動脈疾患(いわゆるPAD)については
まだあまり知られていないのが、現実のようです.
動脈硬化対策については先進国であるアメリカでも
同様の事情のようです.
----------------NIKKEI NET 2007.09.19
認知度低い末梢性動脈疾患(PAD)
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20070927hj000hj
米国人の4分の3が、末梢性動脈疾患(PAD)について
ほとんど知らないか、全く知らないと回答していることが
最新の調査で明らかになった。
医学誌「Circulation」9月18日号に掲載された報告で、
米ブラウン大学(ロードアイランド州プロビデンス)教授の
Timothy Murphy博士は
「今回の結果は必ずしも意外なものではないが、
米国で800万人がこの疾患に罹患していることを考えると、
予想を超える認知度の低さだ」という。
PADは、四肢の動脈内腔に脂肪が沈着することにより
狭窄または閉塞を来す病態で、
特に脚(下肢)の動脈に多く見られる。
脚に痛みが生じることもあるが、症状がないことも多い。
脚の損傷がひどくなると切断手術を要することもあるほか、
心臓発作や脳卒中のリスク増大を示す危険信号でもある。
今回の調査では、電話で質問した50歳以上の男女2,051人のうち
4分の3が脳卒中を知っていると回答し、
3分の2が冠動脈疾患および心不全のリスクについて知っていると
回答した。しかし、PADについて知っていたのは25%で、
筋萎縮性側索硬化症(36%)や多発性硬化症(42%)などの
稀な疾患に比べてもはるかに認知度が低かった。
PADを知っていた人のうち同疾患が心臓発作リスクを
高めることを知っていたのはわずか28%で、
脚切断や死に至ることもあると知っていたのは14%であった。
Murphy氏によると、
PADと心臓発作や脳卒中との関連性についての認識は、
プライマリケア医の間でもようやく広まり始めたばかりだという。
ABI(ankle-brachial index:足首上腕血圧比)と呼ばれる
PADの基礎検査を日常的に実施する家庭医は少ない。
この検査は、
症状がある場合を除きメディケア(米国の医療保険制度)の
適用とならないため、
検査を受けにくいのが現状であるとMurphy氏は述べている。
「PDAと診断された場合、喫煙、高血圧、コレステロール値および
運動不足など、体のあらゆる部位の動脈閉塞を引き起こす
危険因子(リスクファクター)に注意する必要がある」と
共著者である米ミネソタ大学(ミネアポリス)教授
Alan T. Hirsch博士は述べている。
今回の調査では、PADを知っていた人のうち26%が
テレビなどのメディアから情報を得たと答えているのに対して、
医療機関で最初に知ったと回答したのは19%にとどまり、
医師が認知度を高める努力を十分にしていないことも判明した。
Hirsch氏は「医師がPADの症状を重大な危険信号として
認識する必要がある」と指摘している。
--------------------------------------------------------------------------------
動脈硬化のリスクである
喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症などがある患者さんでは
本来の血圧や血糖の治療や管理だけに
留まるだけでなく
こうした動脈硬化の合併症の
予防や診断にも
注意を向ける必要があります.
血圧を下げればよいとか
血糖をさげるだけでよいとか
見かけ上の治療効果に満足して
薬だけ飲んでいればよいというような
消極的な状況になる人も少なくありません.
糖尿病、高脂血症、高血圧の治療の最終目的の一つは
心臓病や、脳卒中といった重篤な動脈硬化合併症の
予防です.
末梢血管疾患も、重要な動脈硬化合併症であり
糖尿病、高血圧、喫煙などのリスクのある方は
積極的に、関心をもって、検査も受ける必要があります.
末梢血管の動脈硬化は
比較的簡単な検査で可能です.
外来で痛みもなく検査を行うことができます.
--------------YOMIURI ONLINE 2007.09.28
動脈硬化 容易に測定
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/
20070928-OYT8T00210.htm
具体的には、動脈硬化の検査として、外来で
・脈波速度検査・ABI
・頚動脈エコー検査
・下肢動脈エコー検査
などです.
糖尿病、高血圧で治療中の方は、症状がなくても
年に一回の検査は必要だと思います.
定期的な、こうした簡単な検査を行う事で
動脈硬化の進行がチェックできます.
外来の検査で動脈硬化の疑いがある方は
あらためて循環器科で必要な検査と治療を
行っています.
当院では、多くの透析患者さんの診療を行っています.
透析患者さんにおいては
脳卒中や狭心症などの合併症の早期診断と治療が
重要な目標です.
下肢動脈硬化症も透析患者さんにとっては
重要な合併症であり
こうした動脈硬化症を未治療で放置すると
重大な結果に至ることが危惧されます.
透析室では、透析患者さんに対して
定期的に、動脈硬化の検査を行っています.
上で紹介した
ABI検査、頚動脈エコー、下肢動脈エコー検査も
透析治療の合間に、定期的に検査を勧めています.
定期健診で異常があれば、循環器科医が介入し
さらなる検査、診断、治療を行っています.
具体的には、カテーテル検査を行い
治療が可能であれば、カテーテル治療を施行.
場合によっては、血管外科医による外科手術を
検討しています.
さらに透析患者さんにおいては、
こうした閉塞性動脈硬化症に対して
LDL 吸着療法と呼ばれる
血液浄化療法も積極的に施行して効果を上げています.
当院での透析室での試みは
わがブログの記事でも紹介しています.
血液浄化による慢性下肢動脈閉塞症(ASO)の治療
http://tomochans.exblog.jp/3359344/
ちなみに私が週一回、外来のお手伝いをしている
灰本クリニックでは
糖尿病、高血圧、高脂血症などの通院患者さんにおいては
ほとんどの方に
年に一回の動脈硬化検査を行っています.つまり
・腹部エコー(腹部大動脈のチェック)
・心エコー(心機能および、大動脈起始部のチェック)
・頚動脈echo(頚動脈競作のチェック)
・下肢エコー(下肢動脈のチェック)
もちろんこれ以外に、糖尿病、高脂血症の患者さんには、
負荷心電図による狭心症の定期健診なども行っています.
さらに癌検診もかならず年に一回は行っています.
検査漬けではないかという批判もあるかもしれませんが
基本とするところは
予想される動脈硬化の合併症を
症状がひどくなる前に、きちんと診断し
早期の治療を行っていく事です.
進行した下肢動脈硬化症は、放置すれば
生命の危険に直結し
下肢切断を余儀なくされる症例の5年生存率は
大腸ガンと同等の数字であります.
決して末梢だから、たいした事がない
ということにはならない重大な病気です.
下肢動脈硬化症、末梢性血管疾患については
かなり症状の進行した患者さんが多いようなので
今しばらくは、どんどん積極的に
検査を行っていく意味はあると思います.
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スタチンとがんとの関係
http://tomochans.exblog.jp/6157836/
2007-09-13T00:02:00+09:00
2007-09-13T00:05:11+09:00
2007-09-13T00:02:17+09:00
yangt3
カテーテルの話題
心血管イベントのリスクを低下させるために
積極的にコレステロール、高脂血症の治療が行われています.
具体的には、総コレステロールではなく
悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの数値を元に
治療が行われています.
先の記事で紹介したように高値となったLDLコレステロールを
低下させるためにスタチンと呼ばれる薬剤が投与されます.
一方でこうしたスタチンの治療においては
肝障害、横紋筋融解などの薬剤使用に伴う副作用が
報告されてきました.
さらに以前より がん専門医の間では
過度のコレステロールの低下ががんの発生を
高めるのではないかという
事実がいわれていましたが、はっきりとした
データはこれまでありませんでした.
今回、こうしたスタチンによる副作用の問題
特にスタチンとがんの関係についての研究が
発表されています.
Effect of the Magnitude of Lipid Lowering
on Risk of Elevated Liver Enzymes,
Rhabdomyolysis, and Cancer
肝酵素上昇、横紋筋融解、がんのリスクに対する
脂質低下療法の強度の効果
Insights From Large Randomized Statin Trials
J Am Coll Cardiol 2007 50:406-408
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/50/5/409
Alawi A. Alsheikh-Ali, MD, Prasad V. Maddukuri,
MD, Hui Han, MD and Richard H. Karas, MD, PhD
Molecular Cardiology Research Institute and Division of Cardiology,
Department of Medicine,
Tufts-New England Medical Center
and Tufts University School of Medicine, Boston, Massachusetts.
目的;LDLコレステロール降下療法の治療強度と肝酵素の上昇、
横紋筋融解および
がんとの関連について検討した.
背景;スタチン治療の合併症は、LDLコレステロールの低下の程度と
関連していると考えられているが、
結論は明らかではない.
方法;スタチンの大規模試験で報告されている合併症を検討した.
LDLコレステロールの低下の程度と肝酵素上昇(肝障害)、
横紋筋融解、
およびがんの関連を統計学的に検討した.
結果;30万90506人に行われた23のスタチン治療において
肝障害、横紋筋融解とLDLコレステロール低下とは
関連は認められなかった.
肝障害は、スタチン投与量を増加させるほど多く発生した.
一方で、LDLコレステロール低下の程度とがんの発生には
関連を認めた.
結論;肝障害、横紋筋融解とLDLコレステロール低下療法の
強度とは関連を認めなかった.
がんの発生とLDLコレステロール低下のレベルとは
関連を認めた.
これらの結果より肝障害、横紋筋融解においては、
LDLコレステロールの低下の程度ではなく
薬剤特異性、および薬剤投与量が
重要な関連因子であると考えられた.
心血管イベントのリスクの低下という利点は、
LDLコレステロールの低下による
がんの発生の増加という問題により、
少し利点が低下すると考えられる.
--------------------------------------------------
今回の研究結果をみると
肝障害、横紋筋融解はともかくとして
スタチンによるLDLコレステロールの低下のために
がんの発生が高まる事は無視できないということになります.
その程度は
LDLコレステロール150程度で
がんの発生が10万人あたり500〜600人
LDLコレステロール100以下で
がんの発生が10万人あたり1500人
となります.
治療ガイドラインのLDLコレステロールの低下目標値は
100前後となっていますので
上記の研究報告によるがんの発生の問題についても
注意を喚起する必要があると思います.
一方で、LDLコレステロールを積極的なスタチン投与で
低下させることにより
致死的な心臓発作や脳卒中を含む心血管イベントを
22〜25%低下させたという報告もあります.
スタチンの継続により
もし脳卒中や心筋梗塞を発症したとしても
スタチンを服用していない場合に比べて
症状や経過が軽くなるということもあります.
がんを恐れてスタチンを全くやめてしまうか.
その場合には、スタチンを服用しないことによる
心血管イベントの発症の増加の可能性があります.
動脈硬化、心血管イベントの予防のために
できるだけスタチンやバイアスピリンを投与しようという
考えが循環器科医師の基本的なスタンスです.
特に強力なスタチン療法によって
LDLコレステロールが過度に低下するような場合においては
がんの検診なども積極的に行っていくことが
大切だと思います.
心臓病をケアする循環器科医師も
スタチンとがんの関係を念頭におき
よりきめこまやかなコレステロール、LDLコレステロールの管理
そしてスタチン治療薬の細かな調整を
心がける必要がありそうです.
こうした問題を含めても
心臓病の患者さんがスタチンを服用して
コレステロール、LDLコレステロールを適切な数字に
保っていく事が
心血管イベントを明らかに予防するわけですので
患者さん個々の状況を
主治医とよく相談して、適切な治療、予防
そして がん検診を続けていくのが
現実的な対応だと思います.
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脳卒中とスタチン
http://tomochans.exblog.jp/6147732/
2007-09-11T00:03:56+09:00
2007-09-11T00:03:55+09:00
2007-09-11T00:03:55+09:00
yangt3
カテーテルの話題
脳卒中を予防するためには
十分な血圧の管理とともにコレステロールや
高脂血症を是正することが重要とされています.
循環器外来では、心臓エコー検査だけでなく
積極的に頚動脈のエコー検査も行っています.
頚動脈に不安定プラークに伴う狭窄を
エコーで認めた場合には、積極的にコレステロールを
低下させ、血管の動脈硬化を安定させ
血栓形成や脳卒中への影響を防ぐ為に
積極的に内服治療を開始しています.
高値となったコレステロール値を下げるための薬剤が
スタチンと呼ばれるお薬です.
スタチン治療は、脳卒中の予防に深く関わっています.
Neurology. 2007;69:904-910.という
アメリカ神経学の雑誌で
脳卒中とスタチンとの関係が報告されています.
これによると
虚血性脳卒中で入院してからスタチンを止めた患者は、
脳卒中後3カ月以内に死亡や要介護に至るリスクが5倍高いことが
研究で明らかとなりました.
虚血性脳卒中とは、つまり脳梗塞のことになります.
さらに、脳卒中の急性期にスタチン治療を中止した患者は、
神経症状早期増悪(END)のリスクが9倍高く、
梗塞体積も大きくなったと報告されています.
実際には、脳梗塞で入院した場合には、程度によりますが
四肢のマヒや仮性球麻痺など、症状が強い場合には
誤飲、誤嚥を避ける為に、スタチンだけでなく
それまで飲んでいた経口の薬剤は中止されることが多いようです.
血圧の管理が必要な場合は、急性期には、
点滴による血圧管理が優先されることになります.
脳梗塞で経口投与が可能になってもしばしば
スタチンなどの高脂血症の薬剤は中止されることも多いようです.
今回の研究では、急性脳梗塞でも、経口からの内服が困難でも
積極的に経鼻胃管を留置して
早期からスタチンの投与を行うことが
脳梗塞の予後を改善させることが
明らかにされました.
スタチンという薬剤は、コレステロールを下げるだけでなく
さまざまな生体保護作用というか
坑動脈硬化作用というか、身体に有用な機能が報告されています.
今回の脳梗塞における神経保護作用も
スタチンの画期的な作用の一つということになります.
その機序としては、血中のコレステロールを下げる事だけでなく
血管内皮の一酸化窒素合成酵素の過剰発現を介した
内皮機能改善作用や抗血栓作用が考えられています.
さらにはスタチンという薬のもっている抗炎症作用も
考えられています.
こちらにも関連記事が掲載されています.
---------------NIKKEI NET
脳卒中後のスタチン中止で死亡リスク倍増
http://health.nikkei.co.jp/hsn/hl.cfm
通常の脳梗塞では、虚血脳組織の治療のために
ラジカット、ノバスタン、キサンボンなどの薬剤が使用されます.
超早期の脳梗塞には
TPAと呼ばれる血栓溶解剤が使用されています.
心房細動が伴っていれば
ワーファリンの投与もおこなわれます.
こうした王道の治療に加えて
脳卒中の急性期におけるスタチンの開始と、継続は
大切な治療の一つということになりそうです.
今や、循環器の医師にとっては、コレステロールの治療薬である
スタチン
(具体的には、リピトール、クレストール、メバロチン、リバロなど)
は非常に大切な薬剤です.
急性心筋梗塞、不安定狭心症の治療にも必須の薬となります.
頚動脈の不安定プラークにスタチンが有用であることは
徐々にデータが集積されているそうです.
私が期待するのは、ASO(慢性下肢動脈閉塞症)と呼ばれる
足の末梢動脈の病気においても
こうしたスタチンの投与が有用ではないかということです.
コレステロールを下げるだけの薬と
思うなよ!
というところでしょうか.
こうした多彩な薬理作用、治療効果をもつスタチンは
これからも注目していきましょう.
実際の外来では、いかに通院される皆さんに
熱意をもってスタチンの薬を続けていただくかに
苦労しています.
副作用が怖いからと、せっかくの薬も
自分の判断’で中止してしまう方もおられて
なかなな難しいと感じています.
通院されている患者さんも、外来で良く説明を聞き
必要があれば、積極的に治療を開始しましょう.
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サイファーかタクサスか?
http://tomochans.exblog.jp/5993036/
2007-08-13T16:54:00+09:00
2007-08-14T09:15:20+09:00
2007-08-13T16:54:40+09:00
yangt3
カテーテルの話題
タクサス(パクリタクセル溶出ステント)が
保険適用となり、現場でも使用可能となりました.
したがって、現在、日本国内で私たちが使用できる
薬剤溶出ステントとしては
・Cypher(サイファー);シロリムス溶出ステント
溶出薬剤として免疫抑制剤であるシロリムスを使用、
Cypher ホームページ
ジョンソン博士の優しい医療講座
http://www.jnj.co.jp/jjmkk/dr/cypher/index.html
・TAXUS(タクサス);パクリタクセル溶出ステント
溶出薬剤として抗がん剤であるパクリタクセルを使用
TAXUS Express2 ホームページ
タクサスエクスプレス ステントを留置された患者さまへ
http://www.taxus-stent.jp/index.html
現在、冠動脈カテーテル治療に用いるステントは
大半がこの薬剤溶出ステントです.
二つの薬剤溶出ステントを使えるわけですが
使用する薬剤やステントの種類が異なり
適切な使い分けが必要になると思います.
薬剤溶出ステントがない時代は
薬剤を使用していない通常のステント、つまり
非薬剤溶出ステント(Bare Metal Stent; BMS)を使用して
治療を行っていました.
一番の問題点は、なんといっても何パーセントかに発症する
再狭窄(再発)でした.
薬剤溶出ステント(DES)の臨床への登場によって
このステント再狭窄の問題は、ほぼ解決されています.
最初に日本国内で使用可能となったサイファーの登場により
あっという間に、90%以上のカテーテル治療に
この薬剤溶出ステントが使用されるようになりました.
カテ室には、緊急対応のために
冠動脈治療用のバルーンや、ステントなどを常時
準備しているわけですが
あっとッという間に、薬剤溶出ステントがカテ室の
重要資材となったわけです.
当院では、サイファーとタクサスを区別することなく
患者背景や病変毎の使い分けを検討しようと考えています.
今は、両方を使えるようにしています.
新しいタクサスステントは、ステントの柔軟性があって
ステントの拡張も良好という印象があります.
病変毎の違い、そして日本での長期成績は、まだこれから結果が
でるところです.
冠動脈カテーテル治療の評価というのは
短期的には、病変への通過(デリバリー)が容易であるとか
拡張しやすいという、いわゆる初期成功率があります.
そればかりでなく長期予後を改善させることが重要です.
つまりサイファーで明らかになっている
薬剤溶出ステントの再狭窄抑制効果を標準として
それと同等の再狭窄抑制があることなどです.
薬剤溶出ステントで問題になっている遅発性ステント血栓症(LST)や
Stent Fructureの問題についても差異があるかどうかも
重要なところだと思います.
さらにサイファーを用いても再狭窄が問題になってくるような
糖尿病患者や透析患者の症例についても
有意な差が出てくるかどうかについても
注目していく必要があります.
日本における薬剤溶出ステントの長期成績、予後は
今後、国内の他施設研究で明らかになっていく予定です.
そして現在、薬剤溶出ステントも新たなタクサスステントが
臨床使用可能となり、状況がまた変わってきています.
病院によっては、全てタキサスステントに切り替えたという話も
耳にします.
最近の循環器のライブ研究会などでは、タクサスステントを用いた
治療がより多くライブ症例として行われています.
実際にカテーテル治療を行う立場としては
二つのステントの違いを良く認識して使用していくことが
重要だと考えています.
つまり溶出薬剤の違いだけでなく
ステントの違いいついても認識する事もあります.
かたや Closed-Cellであり、かたや Open-Cellのステントです.
海外では、さらに新しい薬剤溶出ステントの開発が
進んでいます.
シロリムス系の薬剤とパクリタクセル系の薬剤の両方を
溶出可能としたDural-Drug ステントも研究されているそうです.
両方の薬剤の良さを生かす事ができるでしょうか.
そういう意味では、現在でも一つの病変、一人に患者さんに
サイファーとタクサスの両方のステントを
コンビネーション、クロスオーバーで使用することは
意味があることかもしれません.
さらに実用直前の薬剤溶出ステントとしては
EPC Captureステント があります.
EPCとは、Endotherial Progenitor Celllの略であり
CD34 と呼ばれる細胞表面抗体をコーティングした特別なステントに
ヒト血管内皮前駆細胞を捕捉して作られたステントです.
このステントにコーティングされた内皮前駆細胞が
冠動脈病変において、血管の内皮化、血管修復に
有用に働くと考えられています.
薬剤溶出ステントの研究においては、
研究も臨床治験・経験においても海外の方が豊富な
症例数があります.
日本では、薬剤溶出ステントの臨床使用においては
海外に遅れる感がありますが
逆に海外でのデータを参考にして
血管内エコーを用いた日本のきめ細やかなカテーテル技術で
日本でのよりよいデータを出していきたいと思います.
さらに今後は患者さんの説明にあっては
薬剤溶出ステントの細かい違いや
長期成績などについても、行っていかなければと
思います.
さて表題のサイファーかタクサスか、とう問いですが
現在のところは現場での成績を検討しているところであり
個々の症例毎に考慮して、適切なステントを
選んでいます.
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透析患者さんのカテーテル治療
http://tomochans.exblog.jp/5967450/
2007-08-07T00:32:13+09:00
2007-08-07T00:32:13+09:00
2007-08-07T00:32:13+09:00
yangt3
カテーテルの話題
長期の透析患者さんも多く、その合併症管理は
けっこう大変でした.
2年前に私が循環器科常勤として赴任し
本格的な循環器診療を開始しました.
それまでは、狭心症、虚血性心疾患、急性心筋梗塞などの
症例は、全て初期治療を行った上で
近隣の高次機能病院に搬送されていました.
最近は、当院において心臓カテーテル検査、治療が可能となり
通院中の透析患者さんのカテーテル治療症例も増えています.
薬剤溶出ステントによる治療によって
以前に重要な問題となっていた狭心症の再発、再狭窄は
ほとんど改善されるようになりました.
LASTや Stent Fructureなどまだ検討が必要な事項もあるとはいえ
薬剤溶出ステント(以下DESと略す)によって
循環器科の治療は、大きく進歩したといえます.
当院の透析患者さんにおいても、DESを用いた治療を主に行っています.
薬剤溶出ステントを用いても
透析患者さんにおいては、非透析患者に比べて
再発、再狭窄が多いのではないかということがいわれていました.
幸い、当院では、透析患者さん症例では1例の再狭窄を経験したのみです.
2007年7月13日に行われた
第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会において
透析患者においては、DESを使用しても再狭窄率が高く、
約半数で再狭窄を起こしていることが発表されました.
(金沢医大循環器内科 本山 敦士 氏による発表)
元山氏によれば
・調査の対象は、2004年から2006年に冠動脈治療を施行し、
DESを留置した透析患者連続22人(男性19人、女性3人)。
平均年齢は66±7歳。糖代謝異常を12人に、高血圧を15人に、
脂質代謝異常を5人に、喫煙を4人に認めた。
平均透析期間は11±2.3年で、インスリン使用例は3人だった。
・このうち、治療6カ月後にフォローアップできた15人について検討を行い、
同院でDES留置を行った非透析患者329人の成績と比較した。
・その結果、
透析を行っていない患者の再狭窄率が6.7%(329人中22人)であったのに対し、
透析患者では15人中7人、46.7%に再狭窄が起こっていた。
・なお、透析患者15人について、再狭窄を起こした群(7人)と
起こさなかった群(8人)を比較したが、
病変長、使用したステント長、ステント径、本数に有意差は認めなかった。
透析患者さんへの薬剤溶出ステント(DES)を用いた治療において
透析患者に再狭窄症例が老いという臨床医の感覚が
はっきりとした数字で発表されたということだと思います.
こうした事実は、これまでに海外においても発表されていました.
具体的なメカニズムは、まだ明らかではなく
そのために
透析患者における薬剤溶出ステントの再狭窄に対する
有孔な予防手段がとれないのが現状です.
透析患者さんにおいては、透析を受けておられない方に比べると
全身の血管の高度の石灰化があり、大動脈、腹部血管、冠動脈、頚動脈
脳血管などがCT、レントゲンでみてもびっくりするほどの
石灰化を見る事があります.
従来の非薬剤溶出ステントしかなかった治療の時代において
ステントを植え込みしても再狭窄が多く、
また血管も固く、本当に治療に難渋していました.
また透析患者さんにおいては
維持透析を行う為の、内シャントがあり
カテーテル治療のアクセスも制限されます.
透析患者さんに多く慢性閉塞性動脈硬化症(ASO)が合併し
下肢、大腿動脈からのアプローチも大変なこともあります.
少しでも再発の少ないステント治療の方法を
常に意識して、工夫と検討を積み重ねていく事が
私たちカテーテル治療を担当する循環器科医師の仕事です.
可能性の一つとしては、透析患者の強い石灰化のために
植え込みしたステントの拡張不十分がメカニズムに関与しているかも
しれません.
当院では、できるかぎり血管内超音波(IVUS)を用いて
病変の状況、石灰化の程度などを確認し
ステントの拡張、広がり具合についても、造影だけでなく
多面的に確認しています.
薬剤溶出ステントといえども、
ステントの拡張不十分(Malaposition)があれば
再狭窄の頻度が増えるため
できるだけステントを拡張するように心がけています.
強い石化化を伴いバルーンやステントの拡張が困難な症例では
ロータブレーターを用いた治療やバイパス手術が必要となります.
ロータブレーターを用いた治療は、心臓外科の併設や施設基準があり
当院では、行えない為
近くにある県立多治見病院循環器科に協力をお願いしています.
透析患者さんにおいては、石灰化病変だけでなく
多発病変、びまん性病変、慢性完全閉塞病変などの複雑病変も比較的多く
治療も非透析患者の方に比べれば
複雑な治療になることもままあります.
透析患者さんにおいては、冠動脈疾患のみならず
下肢動脈の動脈硬化疾患も比較的多く
こちらの動脈硬化のカテーテル治療についても最近
積極的に行っています.
低侵襲で、安全で、長期成績の保証された
カテーテル治療のために
さらなる研究の進歩を希望するものです.
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ガイドワイヤー
http://tomochans.exblog.jp/5905414/
2007-07-23T08:57:00+09:00
2007-09-18T21:44:29+09:00
2007-07-23T08:57:41+09:00
yangt3
カテーテルの話題
閉塞したり狭窄した冠動脈の血管の病変部分を
バルーンなどで拡張し、最終的にはステントを植え込みして
冠動脈の良好な血流を保つ事です.
バルーンカテーテルや、最新の薬剤溶出ステントを
冠動脈病変に進めるにあたっては
冠動脈用のガイドワイヤーをまず病変に進める必要があります.
通常の狭心症や急性心筋梗塞などの症例においては
ガイドワイヤーが通らないということはめったにありません.
冠動脈の屈曲が強い病変であるとか
慢性完全閉塞病変のように、非常に石灰化の強い固い病変などでは
ガイドワイヤーの通過に難渋することがあります.
すべての心臓カテーテルの治療において
このガイドワイヤーの通過こそが全てのポイントになります.
ガイドワイヤーが通過しなければ、その後の治療も手技も
行う事ができません.
ガイドワイヤーとは、冠動脈の中を通す細いワイヤーです。
太さは0.014 インチという非常に細いものを使用します.
このガイドワイヤー操作が
カテーテル治療の要であります.
世にいう名人と呼ばれる人たちは
一様にこのガイドワイヤー操作も素晴らしい技術を
持っています.
ちょうど登山でいえば命綱のようなものであり
建築でいえば足場のようなものであり
ガイドワイヤーがなければ
その後の治療のバルーンやステントさえも
病変に持ち込むことができず
治療が失敗に終わってしまいます.
急性心筋梗塞などの時、患者がショック状態となり
もしくは、強い胸痛を訴えて居る時に
いかに速やかに閉塞した冠動脈の病変に
この細いガイドワイヤーを通していくか.
もしくは石灰化して固い病変部のすき間を縫って
ガイドワイヤーを通していく技術.
様々なデバイスが出現しても
昔から今も、ガイドワイヤー技術が重要なことは
変わりありません.
恩師 古高先生もガイドワイヤーの名手でした.
私も最初の数年は、ガイドワイヤーを
触らせてもらう事はできませんでした.
指先の繊細な感覚のみで
病変をすーっと進めていく様は、本当に
クラシックの名曲を聴くような
そんな流れるような感じです.
ガイドワイヤー操作が、治療の要である以上
ガイドワイヤー操作を任されるということは
患者さんの治療の主要な部分を任されるという
ことであります.
古高先生の指導を受けて数年たってやっと
私もガイドワイヤーを使用する許可をもらいました.
それからずっと現在にいたるまで
ガイドワイヤーをいかに使うか
いつも頭を悩ませながら
日々、技術の更新を心がけています.
あの頃、主で使ったガイドワイヤーは
BMWという、どこか外国の車のような名前のものでした.
ちょうど車と同様に、きちんと使いこなすには
しっかりとした技術が必要なワイヤーでした.
現在では、親水性コーティングを施した
ガイドワイヤーが使用できるようになり
いわゆるプラスティックコートガイドワイヤーと呼ばれるものですが
Fielder、Pilot 50 などを主に使用しています.
通常の狭心症も、急性心筋梗塞の治療においても
ほぼこの2本のガイドワイヤーで済んでしまいます.
もちろんガイドワイヤー技術の要となるものは
古高先生から教わったものです.
ガイドワイヤーを取り出して
冠動脈病変を進めていく時、いつも頭には
古高先生の、あの華麗な技を思い出しています.
教わった技術をしっかりと受け止め
もっと上を目指して昇華させることが
私の目標です.
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